47 / 67
第二章 文月の奪還作戦
第四十五話 証明
しおりを挟む
~2100年7月14日 日本時間9:00 NPOC非常事態対策本部~
「山本管理官、山本非常事態対策本部長から無線です」
タイムリミットまで残り10分。どうやら貴文なりの答えが出たようだ。私は操り人形は嫌いだ。他人に流される様子が見ていて腹立たしい。
部下に何かを決めさせる時必ず即決させるのが私のスタイルだ。だが今回貴文にはわずかばかり時間を与えてみた。操り糸が切れている貴文なら自分なりの答えを、一ノ瀬明衣が我々を裏切っていないと証明して見せるかもしれないと感じた、ただそれだけだ
「こちら非常事態対策本部、山本だ」
「貴文です。父さん、明衣が俺たちを裏切っていないと証明できるかもしれません」
「ほう…聞かせてみろ」
「はい。父さん今何時ですか?」
「急にどうした。今は9:02だが」
「父さんは今何も考えずに日本時間を言いましたね?」
「あぁ。確かに会議室の時計は日本時間だからな。日本時間を言ったまでだ」
「そこがネックだったんです。俺たちは日本と革命国の違いをよく見ていなかった。というより日本と革命国が同じだと思っていたんです」
「と言うと?」
「日本と革命国は政治体制や人口、軍事力など様々な点で異なりますよね」
「それはそうだろう。それらは国が違えばおのずと異なってくる」
「そうです。国が違えばおのずと異なってくるんです。だったら時間だって違うじゃないですか」
「時間…?」
確かに地球は球体であるがために時間の差、時差が存在している。ロンドンとは-9時間ニューヨークともなれば-13時間の時差が存在すると記憶している。日本の標準時子午線は東経135度。ロンドンは本初子午線であるから0度、ニューヨークは西経75度だったと記憶している。経度が15度異なれば1時間の時差が生じる。確か革命国の標準時子午線は東経120度…ということは
「まさか1時間の時差のせいで作戦に狂いが出たというのか…」
「俺はその可能性を疑っています。だから革命国にはまだ2100年7月14日8:10分は来ていないんです」
私はもう一度時計に目をやった。9:05…1時間の時差を考えるとすると
ーーーーーーー
2100年7月14日 革命国時間8:05
ーーーーーーー
だが貴文が言うことが本当であればあと5分で一ノ瀬明衣がRGHにサイバー攻撃を仕掛けることになる。
「貴文、お前の言い分が正しければ本当の作戦開始時刻まで…」
「そうですね。本当の作戦開始時刻まであと5分という事になりますね」
「B隊に告ぐ。5分後にもう一度おとりミサイルを防衛空域に発射する。作戦開始時刻は日本時間9:10、革命国時間8:10だ」
「B隊了解」
最後のチャンスだ。この5分で歴史が決まる…
「山本管理官、山本非常事態対策本部長から無線です」
タイムリミットまで残り10分。どうやら貴文なりの答えが出たようだ。私は操り人形は嫌いだ。他人に流される様子が見ていて腹立たしい。
部下に何かを決めさせる時必ず即決させるのが私のスタイルだ。だが今回貴文にはわずかばかり時間を与えてみた。操り糸が切れている貴文なら自分なりの答えを、一ノ瀬明衣が我々を裏切っていないと証明して見せるかもしれないと感じた、ただそれだけだ
「こちら非常事態対策本部、山本だ」
「貴文です。父さん、明衣が俺たちを裏切っていないと証明できるかもしれません」
「ほう…聞かせてみろ」
「はい。父さん今何時ですか?」
「急にどうした。今は9:02だが」
「父さんは今何も考えずに日本時間を言いましたね?」
「あぁ。確かに会議室の時計は日本時間だからな。日本時間を言ったまでだ」
「そこがネックだったんです。俺たちは日本と革命国の違いをよく見ていなかった。というより日本と革命国が同じだと思っていたんです」
「と言うと?」
「日本と革命国は政治体制や人口、軍事力など様々な点で異なりますよね」
「それはそうだろう。それらは国が違えばおのずと異なってくる」
「そうです。国が違えばおのずと異なってくるんです。だったら時間だって違うじゃないですか」
「時間…?」
確かに地球は球体であるがために時間の差、時差が存在している。ロンドンとは-9時間ニューヨークともなれば-13時間の時差が存在すると記憶している。日本の標準時子午線は東経135度。ロンドンは本初子午線であるから0度、ニューヨークは西経75度だったと記憶している。経度が15度異なれば1時間の時差が生じる。確か革命国の標準時子午線は東経120度…ということは
「まさか1時間の時差のせいで作戦に狂いが出たというのか…」
「俺はその可能性を疑っています。だから革命国にはまだ2100年7月14日8:10分は来ていないんです」
私はもう一度時計に目をやった。9:05…1時間の時差を考えるとすると
ーーーーーーー
2100年7月14日 革命国時間8:05
ーーーーーーー
だが貴文が言うことが本当であればあと5分で一ノ瀬明衣がRGHにサイバー攻撃を仕掛けることになる。
「貴文、お前の言い分が正しければ本当の作戦開始時刻まで…」
「そうですね。本当の作戦開始時刻まであと5分という事になりますね」
「B隊に告ぐ。5分後にもう一度おとりミサイルを防衛空域に発射する。作戦開始時刻は日本時間9:10、革命国時間8:10だ」
「B隊了解」
最後のチャンスだ。この5分で歴史が決まる…
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大人への門
相良武有
現代文学
思春期から大人へと向かう青春の一時期、それは驟雨の如くに激しく、強く、そして、短い。
が、男であれ女であれ、人はその時期に大人への確たる何かを、成熟した人生を送るのに無くてはならないものを掴む為に、喪失をも含めて、獲ち得るのである。人は人生の新しい局面を切り拓いて行くチャレンジャブルな大人への階段を、時には激しく、時には沈静して、昇降する。それは、驟雨の如く、強烈で、然も短く、将に人生の時の瞬なのである。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
春秋館 <一話完結型 連続小説>
uta
現代文学
様々な人たちが今日も珈琲専門店『春秋館』を訪れます。
都会の片隅に佇むログハウス造りの珈琲専門店『春秋館』は、その名の通り「春」と「秋」しか営業しない不思議な店。
寡黙で涼しい瞳の青年店長と、憂いな瞳のアルバイトのピアノ弾きの少女が、訪れるお客様をもてなします。
物語が進む内に、閉ざされた青年の過去が明らかに、そして少女の心も夢と恋に揺れ動きます。
お客様との出逢いと別れを通し、生きる事の意味を知る彼らの三年半を優しくも激しく描いています。
100話完結で、完結後に青年と少女の出逢い編(番外編)も掲載予定です。
ほとんどが『春秋館』店内だけで完結する一話完結型ですが、全体の物語は繋がっていますので、ぜひ順番に読み進めて頂けましたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる