絶海学園

浜 タカシ

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第二章 文月の奪還作戦

第四十四話 違い

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~2100年7月14日 8:50 革命国領空内 D隊機内~
父さんに決められた期限まで残り20分。俺は明衣が俺たちを裏切っていないと証明することができずにいた。

「どうしたらいいんだ…」

明衣と連絡を取り合う手段はない。もちろん明衣が今何をしているか分かるはずもない。でもただ一つ希望はある。それは父さんが俺に時間をくれたという事だ。隊員の話を聞いていく中で父さんが人の話に流されるような人間が嫌いで自分の意見に責任を持たせるために即決させるというのを知った。本来であれば俺にも同じことをするだろう。でも父さんしなかった。それはどうしてか…。俺を信用してくれているあるいは父さんは明衣が裏切りを働いていない理由に気が付いている…そのどちらかだ。

ここで父さんとのやり取りを思い出してみることにした。その中で特に気になったのは作戦失敗を伝えられた時の無線だ。

『なんだ貴文、可能性なんて1%もないのか?だったら一ノ瀬明衣は我々を裏切ったまでだ。何を悩む必要がある。まぁ日本と革命国が手を組むなんて最初から不可能だったんだ。何十年も敵対しあってきたのに急に「はいはい今日から仲間」とはいかないだろう。日本と革命国は歴史も文化も人でさえも違うんだからな。何もかもが違うんだよ』

父さんが最後に行った「何もかもが違う」とはどういう事だろうか。
確かに連合国と革命国は色々なことが違う。政治体制、軍事力、通貨、人口、領土の大きさ…あげればきりがない。俺はふと前方のモニターに目をやった。モニターには現在どこを飛行しているかが表示されている。今は革命国の上をグルグルと旋回している。このモニターのすごいところは世界地図に昼と夜とがきちんと表示されているところだ。今日本や革命国は朝で明るいがロンドンは夜で暗い。

「今ロンドンって何時だっけ」
「急にどうしました山本非常事態対策本部長」
「いや、モニター見てたらロンドンは夜だから何時かなと思って…」
「えーっとですね…13日の23:50ですね」

隊員の一人がモニターのロンドンをタップすると現在の時間と日本との時差が表示された。

「ロンドンとは9時間時差があるのか…」

時差も違いの一つだろう…待てよ…

「ちょっ、貸して」
「はっ、はい…山本非常事態対策本部長急にどうされました?」
「ちょっと確かめたいことが」

俺はそう言いながらモニターの革命国をタップした。

ーーーーーーー

革命国:7:50(日本との時差-1時間)

ーーーーーーー

モニターに表示されたのは革命国の現在時刻と日本との時差…これを見る限り
まだ革命国に7月14日8:10はきていないみたいだ。
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