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第二章 文月の奪還作戦
第三十二話 決断(前編)
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~2100年7月14日 3:00 NPOC非常事態対策本部~
事態は一刻を争う状況になった。とうとう革命国側から優芽の命のリミットを叩きつけられたのだ。
「西郷統括学園長、大変申しにくいのですが今回の救出作戦はいったん中止にすべきかと」
東が重い空気を変えよと一言発した。確かに革命国側からの優芽解放の条件は不審動きをせず、UG3の実験データを開示することだ。これから行う作戦が革命国にばれてしまえば戦争の開始は不可避だろうし優芽の命も保守されなくなる。
「でも東君、中止にするという事は相手の要求に応じるという事だろう?それはUG3の実験データを開示することつまり連合国の手の内を明かすことではないのかね?山本さん、どうですか…」
「西郷さん、防衛省としましてはやはりUG3の実験データは開示できない、というのが一貫した立場です。ですから本日6時開始の作戦準備も予定通り進めています」
日本の運命か、優芽の命か、天秤にかけたらきっと多くの人が「女の子が死んでしまうのはかわいそうだけど、日本が滅ぶのはダメだ」という意見を持つだろう。
「自分が傷つかなければそれでいい…か」
「どうした貴文、何か思うところがあるのか」
「日本が滅ぶのはダメだ。きっと誰もがそう思う。でもそしたら優芽の命はどうなるんだ?」
会議室の空気がさらに重くなった。どちらを守るか…。究極の選択だろう。
「今回は…残念ですが西郷さんをあきらめるしかないのでは…」
「東君、君は本気でそれを?」
「統括学園長、私も…私も本意ではありません。でも日本が滅びればこの世界は終わる。だってそうでしょう。連合国の戦力の約30%がなくなる訳です。連合国に勝ち目はなくなります…」
「そんなことは私も分かっているよ…。でも娘の命だ!簡単に『はいそうですね』とは言えないだろう!」
しばらく議論がなされたが、やはり日本を守る側と優芽の命を優先する側に二極化してしまった。俺はどちらにも加われず孤立してしまった。
「わかりました。もうらちがあきません。多数決で決めましょう」
「多数決だと?ふざけるな!」
「だってしょうがないでしょう?どこかで決めないと。日本を守らないと。世界を守らないと。西郷さんのことは本当に残念ですよ。でもどこかで区切りをつけないと。統括学園長あなた分かっていますか?あなたの味方は今この会議室には誰もいないじゃないですか。だったら多数決でとっとと西郷さんをあきらめてもらうしかないですよ。もしもあなたが潔くあきらめてくれるなら話は別ですけどね。もし最後まであなたが抵抗し続けるのであればあなたをそれ相応の罪で罰しなくてはならなくなりますよ」
「…。わ…分かった。2分時間をくれ。私の中で区切りをつけたい。私は一人の父親である前にここに住む120万人の命を預かっている。どこかで…ど…こかで…」
優芽のお父さんはここまで言うとその場で泣き崩れてしまった。俺はお父さんのそんな姿を見て何かが吹っ切れた
「東、お前さっき西郷統括学園長にだれも味方がいないといったな?」
「どうしたんだい山本君。あぁ言ったさ。だって事実だろ?」
「事実じゃないさ。本当に確認したか?」
「さっきから何ごちゃごちゃ言ってるんだい?確認したさ、だってそうだろみんな話し合いでは日本を守ることが優先だと言っていたじゃないか」
「あぁ、みんなは言ってたな。ただ俺はそんなこと一言も言っていない!」
「た…貴文君?」
「山本君、君まで裏切るつもりかい?」
「裏切るだ?誰が裏切った。俺は俺の意見を、答えを言ったまでだ」
「ほう、面白い、じゃあ握りつぶしてあげるよ!山本君!」
事態は一刻を争う状況になった。とうとう革命国側から優芽の命のリミットを叩きつけられたのだ。
「西郷統括学園長、大変申しにくいのですが今回の救出作戦はいったん中止にすべきかと」
東が重い空気を変えよと一言発した。確かに革命国側からの優芽解放の条件は不審動きをせず、UG3の実験データを開示することだ。これから行う作戦が革命国にばれてしまえば戦争の開始は不可避だろうし優芽の命も保守されなくなる。
「でも東君、中止にするという事は相手の要求に応じるという事だろう?それはUG3の実験データを開示することつまり連合国の手の内を明かすことではないのかね?山本さん、どうですか…」
「西郷さん、防衛省としましてはやはりUG3の実験データは開示できない、というのが一貫した立場です。ですから本日6時開始の作戦準備も予定通り進めています」
日本の運命か、優芽の命か、天秤にかけたらきっと多くの人が「女の子が死んでしまうのはかわいそうだけど、日本が滅ぶのはダメだ」という意見を持つだろう。
「自分が傷つかなければそれでいい…か」
「どうした貴文、何か思うところがあるのか」
「日本が滅ぶのはダメだ。きっと誰もがそう思う。でもそしたら優芽の命はどうなるんだ?」
会議室の空気がさらに重くなった。どちらを守るか…。究極の選択だろう。
「今回は…残念ですが西郷さんをあきらめるしかないのでは…」
「東君、君は本気でそれを?」
「統括学園長、私も…私も本意ではありません。でも日本が滅びればこの世界は終わる。だってそうでしょう。連合国の戦力の約30%がなくなる訳です。連合国に勝ち目はなくなります…」
「そんなことは私も分かっているよ…。でも娘の命だ!簡単に『はいそうですね』とは言えないだろう!」
しばらく議論がなされたが、やはり日本を守る側と優芽の命を優先する側に二極化してしまった。俺はどちらにも加われず孤立してしまった。
「わかりました。もうらちがあきません。多数決で決めましょう」
「多数決だと?ふざけるな!」
「だってしょうがないでしょう?どこかで決めないと。日本を守らないと。世界を守らないと。西郷さんのことは本当に残念ですよ。でもどこかで区切りをつけないと。統括学園長あなた分かっていますか?あなたの味方は今この会議室には誰もいないじゃないですか。だったら多数決でとっとと西郷さんをあきらめてもらうしかないですよ。もしもあなたが潔くあきらめてくれるなら話は別ですけどね。もし最後まであなたが抵抗し続けるのであればあなたをそれ相応の罪で罰しなくてはならなくなりますよ」
「…。わ…分かった。2分時間をくれ。私の中で区切りをつけたい。私は一人の父親である前にここに住む120万人の命を預かっている。どこかで…ど…こかで…」
優芽のお父さんはここまで言うとその場で泣き崩れてしまった。俺はお父さんのそんな姿を見て何かが吹っ切れた
「東、お前さっき西郷統括学園長にだれも味方がいないといったな?」
「どうしたんだい山本君。あぁ言ったさ。だって事実だろ?」
「事実じゃないさ。本当に確認したか?」
「さっきから何ごちゃごちゃ言ってるんだい?確認したさ、だってそうだろみんな話し合いでは日本を守ることが優先だと言っていたじゃないか」
「あぁ、みんなは言ってたな。ただ俺はそんなこと一言も言っていない!」
「た…貴文君?」
「山本君、君まで裏切るつもりかい?」
「裏切るだ?誰が裏切った。俺は俺の意見を、答えを言ったまでだ」
「ほう、面白い、じゃあ握りつぶしてあげるよ!山本君!」
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