20 / 67
第二章 文月の奪還作戦
第十八話 空白の三か月
しおりを挟む
あの日から、優芽が革命国軍に拉致された日から3か月が経った。俺はこの間なにもできなかった。ただ優芽を守れなかった自分を責め続け、優芽の無事を祈るばかりの辛く長い、たった3か月なのに1年にも10年にも感じられる、そんな日々を過ごしてきた…。
ーーーーーー
~2100年7月1日 NPOC非常事態対策本部~
「西郷優芽さんが拉致されてから早3か月が経ちましたが…」
対策本部内の空気はとても重い。それもそうだ。この3か月優芽の手がかりは何一つ見つかっていない。東は話を変えこう切り出した。
「予備システムに移行してから今日までサーバー攻撃はなく、通常通りに機能しています。ただメインシステムは復旧まではもうしばらく時間をいただきたい」
「まぁ、しょうがないだろうな」
いつも通りの雰囲気で会議は進んでいった。
ーーーーーー
「山本君…山本君…会議終わったよ」
東に声を掛けられ俺は我に戻った。どうやら会議は終わってしまったようで会議室には俺と東以外誰もいない。
「やっぱり西郷さんのことが気になるか…」
俺は黙ったまま頷いた。
「この3か月間システム管理部としても全力を挙げて捜索に当たってきた。しかし結果は君も知っての通りだ。もう私たち一般人の力でどうこうなる世界ではないよ」
「そうだよな…」
どこにいるかもわからない優芽。たとえ優芽が監禁されている場所が分かったところできっとそこは革命国だろう。もう俺に成すすべはない。
「ただ…ね、一つだけあるんだよ方法が。でも少し面倒でね」
「なんだよ!方法って。優芽が助けられるなら面倒でもいい。教えてくれ」
俺は必死に東に頼み込んだ。東はしばらく考えてこう言い始めた。
「分かった。では手続きを取るよ。でも一つだけ最後の忠告だ。きっとこの面倒なことをしてしまうと君が今まで信じてきたこと、事実だと思ってきたことがあっという間に崩れ去るかもしれない。それでも君は西郷さんを自分を犠牲にしてまで助けるかい」
東の一言一言が俺に重くのしかかった。俺はあの日誓った。命に代えても優芽だけは守るって。でも俺は守れなかった。優芽との約束を。だからせめて優芽を助け出したい。俺の心はずっと揺るがない。
「あぁ、俺がどうなっても優芽だけは助け出す!」
「分かった…。では手続きを取るから待っていてくれ」
東はそう言うと壁にあるNPOC内のあらゆる部署につながる受話器を上げた。
「…もしもし、NPOCシステム管理部長の東です。…はい、いつもお世話になっております。…申し訳ありません。お忙しいのは重々承知しております。ただ今回は人命がかかっておりますので…はい。その件です…」
東はやたら敬語で電話の相手と話している。10分ほどしてやっと電話が終わった。
「ふぅー、待たせたね。手続きが完了したよ」
俺はさっきから感じている疑問について質問してみることにした。
「東、さっきから気になってたんだけど何なんだ手続きって」
「あっ…そうだね…君にはこの…このNPOCの秘密を話しておくべきだろうね」
「秘密?」
「あぁ、重大な秘密さ。このNPOCのUG3には…」
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「連合国軍の軍事兵器開発基地があるんだよ」
ーーーーーー
~2100年7月1日 NPOC非常事態対策本部~
「西郷優芽さんが拉致されてから早3か月が経ちましたが…」
対策本部内の空気はとても重い。それもそうだ。この3か月優芽の手がかりは何一つ見つかっていない。東は話を変えこう切り出した。
「予備システムに移行してから今日までサーバー攻撃はなく、通常通りに機能しています。ただメインシステムは復旧まではもうしばらく時間をいただきたい」
「まぁ、しょうがないだろうな」
いつも通りの雰囲気で会議は進んでいった。
ーーーーーー
「山本君…山本君…会議終わったよ」
東に声を掛けられ俺は我に戻った。どうやら会議は終わってしまったようで会議室には俺と東以外誰もいない。
「やっぱり西郷さんのことが気になるか…」
俺は黙ったまま頷いた。
「この3か月間システム管理部としても全力を挙げて捜索に当たってきた。しかし結果は君も知っての通りだ。もう私たち一般人の力でどうこうなる世界ではないよ」
「そうだよな…」
どこにいるかもわからない優芽。たとえ優芽が監禁されている場所が分かったところできっとそこは革命国だろう。もう俺に成すすべはない。
「ただ…ね、一つだけあるんだよ方法が。でも少し面倒でね」
「なんだよ!方法って。優芽が助けられるなら面倒でもいい。教えてくれ」
俺は必死に東に頼み込んだ。東はしばらく考えてこう言い始めた。
「分かった。では手続きを取るよ。でも一つだけ最後の忠告だ。きっとこの面倒なことをしてしまうと君が今まで信じてきたこと、事実だと思ってきたことがあっという間に崩れ去るかもしれない。それでも君は西郷さんを自分を犠牲にしてまで助けるかい」
東の一言一言が俺に重くのしかかった。俺はあの日誓った。命に代えても優芽だけは守るって。でも俺は守れなかった。優芽との約束を。だからせめて優芽を助け出したい。俺の心はずっと揺るがない。
「あぁ、俺がどうなっても優芽だけは助け出す!」
「分かった…。では手続きを取るから待っていてくれ」
東はそう言うと壁にあるNPOC内のあらゆる部署につながる受話器を上げた。
「…もしもし、NPOCシステム管理部長の東です。…はい、いつもお世話になっております。…申し訳ありません。お忙しいのは重々承知しております。ただ今回は人命がかかっておりますので…はい。その件です…」
東はやたら敬語で電話の相手と話している。10分ほどしてやっと電話が終わった。
「ふぅー、待たせたね。手続きが完了したよ」
俺はさっきから感じている疑問について質問してみることにした。
「東、さっきから気になってたんだけど何なんだ手続きって」
「あっ…そうだね…君にはこの…このNPOCの秘密を話しておくべきだろうね」
「秘密?」
「あぁ、重大な秘密さ。このNPOCのUG3には…」
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーー
「連合国軍の軍事兵器開発基地があるんだよ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

大学寮の偽夫婦~住居のために偽装結婚はじめました~
石田空
現代文学
かつては最年少大賞受賞、コミカライズ、アニメ化まで決めた人気作家「だった」黒林亮太は、デビュー作が終了してからというもの、次の企画が全く通らず、デビュー作の印税だけでカツカツの生活のままどうにか食いつないでいた。
さらに区画整理に巻き込まれて、このままだと職なし住所なしにまで転がっていってしまう危機のさなかで偶然見つけた、大学寮の管理人の仕事。三食住居付きの夢のような仕事だが、条件は「夫婦住み込み」の文字。
困り果てていたところで、面接に行きたい白羽素子もまた、リストラに住居なしの危機に陥って困り果てていた。
利害が一致したふたりは、結婚して大学寮の管理人としてリスタートをはじめるのだった。
しかし初めての男女同棲に、個性的な寮生たちに、舞い込んでくるトラブル。
この状況で亮太は新作を書くことができるのか。そして素子との偽装結婚の行方は。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
Tokyo Flowers
シマセイ
現代文学
東京で働く25歳のユイは、忙しい毎日の中で、ふと立ち止まり、日常に 隠された美しさに気づき始める。それは、道端に咲く花、カフェの香り、夕焼けの色… 何気ない日常の中に、心を満たす美しさが溢れていることに気づき、彼女の心境に変化が訪れる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
これも何かの縁(短編連作)
ハヤシ
現代文学
児童養護施設育ちの若夫婦を中心に、日本文化や風習を話題にしながら四季を巡っていく短編連作集。基本コメディ、たまにシリアス。前半はほのぼのハートフルな話が続きますが、所々『人間の悪意』が混ざってます。
テーマは生き方――差別と偏見、家族、夫婦、子育て、恋愛・婚活、イジメ、ぼっち、オタク、コンプレックス、コミュ障――それぞれのキャラが自ら抱えるコンプレックス・呪いからの解放が物語の軸となります。でも、きれいごとはなし。
プロローグ的番外編5編、本編第一部24編、第二部28編の構成で、第二部よりキャラたちの縁が関連し合い、どんどんつながっていきます。
微熱の午後 l’aprés-midi(ラプレミディ)
犬束
現代文学
夢見心地にさせるきらびやかな世界、優しくリードしてくれる年上の男性。最初から別れの定められた、遊びの恋のはずだった…。
夏の終わり。大学生になってはじめての長期休暇の後半をもてあます葉《よう》のもとに知らせが届く。
“大祖父の残した洋館に、映画の撮影クルーがやって来た”
好奇心に駆られて訪れたそこで、葉は十歳年上の脚本家、田坂佳思《けいし》から、ここに軟禁されているあいだ、恋人になって幸福な気分で過ごさないか、と提案される。
《第11回BL小説大賞にエントリーしています。》☜ 10月15日にキャンセルしました。
読んでいただけるだけでも、エールを送って下さるなら尚のこと、お腹をさらして喜びます🐕🐾
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる