17 / 67
第一章 国立太平洋学園の潜伏者
第十五話 絶海学園(前編)
しおりを挟む
~4月9日 23:57 NPOC UG3層 システム管理課~
先ほどレーダーで捕捉した敵機はNPOC上空を旋回している。
「敵機の様子はどんな感じだ」
「はい。2分ほど前から上空旋回を開始。SS層偵察部隊の報告によると機種はヘリコプター型。用途は人輸送用と思われ攻撃能力はないとのことです」
「人輸送用か…」
敵の今回の作戦の粗筋が分かってきた。どうやら奴らは攻撃を仕掛ける気はないらしい。
「偵察部隊に継ぐ。今回の攻撃及び発砲は敵が先制攻撃を仕掛けた時にのみ現場判断で許可する。無意味な攻撃や発砲は国際問題になりかねん」
「司令官よろしいのですか。報告から察するに今回の敵の作戦はNPOCへの上陸だと思われますが」
「奴らとて馬鹿ではない。先にサーバー攻撃を内部から仕掛けシステムをダウンさせたんだ。攻撃を仕掛けるときに『今から攻撃しに行きます』と事前通達して戦う者はいないだろ。だから今回奴らに攻撃する意思はないと見ていい」
奴らはどんな事をしてくるのだろう。まぁ、私を楽しませてくれ。
「ショータイムだ」
~4月9日 23:59 NPOC上空~
「作戦開始まで60,59,58…」
いよいよカウントダウンが始まった。ここまでは作戦通り来ていて、防衛システムも作動する気配はない。俺は衛星電話をかけた。3コールほどして相手が電話にでた。
「サム、こちらは問題ないわ…そのまま作戦を決行して頂戴」
「了解だ橙桜。では予定通りで」
ここまで話すと電話は切れた。俺は改めて下を見た。NPOCというこの人工島は本当に広い。でも周りは見渡す限りの海しかない。俺は前々から疑問に思っていたことがあった。国土の狭いことで有名な日本とてわざわざこんな場所に学園を作る必要などあったのだろうか。誰がこの絶海に浮かぶ学園ー国立太平洋学園を作ったのだろうか…。
「3,2…作戦開始」
部下たちが大空に飛び出していった。
~4月10日 0:00 NPOC SS層~
作戦が始まった。空から無数の点が下りてきているのが見える。点はあっという間に大きくなり、NPOCに降り立った。
「旺1等航空司令官お疲れ様です」
サムが集めた今回の作戦メンバーは噂に聞いてはいるが精鋭ばかりとのこと。だからだろうか。動きに無駄がない。
「よしお前たちついてきなさい」
私は部下たちを地下水道管へと案内した。下調べ通り広い歩道を通り、US1に続く階段を下った。この急カーブに差し掛かったという事はこの上は噴水公園だろう。
「この梯子を上り、マンホールを開ければ地上よ。私はここて待機して指示をだす。失敗すんじゃないわよ」
「了解しました」
部下たちは梯子を軽やかに駆け上がっていった。
~4月10日 0:05 NPOC US1層 噴水公園~
我々作戦遂行部隊は旺1等航空司令官に指示を受けた通りマンホールからUS1層への侵入に成功した。
「ターゲットの寮は南西方向の第1棟714号室よ。電子ロックはこちらて解除するから私の指示て突入して頂戴」
俺たちは旺1等航空司令官からの無線を聞き南西方向への移動を開始した。
先ほどレーダーで捕捉した敵機はNPOC上空を旋回している。
「敵機の様子はどんな感じだ」
「はい。2分ほど前から上空旋回を開始。SS層偵察部隊の報告によると機種はヘリコプター型。用途は人輸送用と思われ攻撃能力はないとのことです」
「人輸送用か…」
敵の今回の作戦の粗筋が分かってきた。どうやら奴らは攻撃を仕掛ける気はないらしい。
「偵察部隊に継ぐ。今回の攻撃及び発砲は敵が先制攻撃を仕掛けた時にのみ現場判断で許可する。無意味な攻撃や発砲は国際問題になりかねん」
「司令官よろしいのですか。報告から察するに今回の敵の作戦はNPOCへの上陸だと思われますが」
「奴らとて馬鹿ではない。先にサーバー攻撃を内部から仕掛けシステムをダウンさせたんだ。攻撃を仕掛けるときに『今から攻撃しに行きます』と事前通達して戦う者はいないだろ。だから今回奴らに攻撃する意思はないと見ていい」
奴らはどんな事をしてくるのだろう。まぁ、私を楽しませてくれ。
「ショータイムだ」
~4月9日 23:59 NPOC上空~
「作戦開始まで60,59,58…」
いよいよカウントダウンが始まった。ここまでは作戦通り来ていて、防衛システムも作動する気配はない。俺は衛星電話をかけた。3コールほどして相手が電話にでた。
「サム、こちらは問題ないわ…そのまま作戦を決行して頂戴」
「了解だ橙桜。では予定通りで」
ここまで話すと電話は切れた。俺は改めて下を見た。NPOCというこの人工島は本当に広い。でも周りは見渡す限りの海しかない。俺は前々から疑問に思っていたことがあった。国土の狭いことで有名な日本とてわざわざこんな場所に学園を作る必要などあったのだろうか。誰がこの絶海に浮かぶ学園ー国立太平洋学園を作ったのだろうか…。
「3,2…作戦開始」
部下たちが大空に飛び出していった。
~4月10日 0:00 NPOC SS層~
作戦が始まった。空から無数の点が下りてきているのが見える。点はあっという間に大きくなり、NPOCに降り立った。
「旺1等航空司令官お疲れ様です」
サムが集めた今回の作戦メンバーは噂に聞いてはいるが精鋭ばかりとのこと。だからだろうか。動きに無駄がない。
「よしお前たちついてきなさい」
私は部下たちを地下水道管へと案内した。下調べ通り広い歩道を通り、US1に続く階段を下った。この急カーブに差し掛かったという事はこの上は噴水公園だろう。
「この梯子を上り、マンホールを開ければ地上よ。私はここて待機して指示をだす。失敗すんじゃないわよ」
「了解しました」
部下たちは梯子を軽やかに駆け上がっていった。
~4月10日 0:05 NPOC US1層 噴水公園~
我々作戦遂行部隊は旺1等航空司令官に指示を受けた通りマンホールからUS1層への侵入に成功した。
「ターゲットの寮は南西方向の第1棟714号室よ。電子ロックはこちらて解除するから私の指示て突入して頂戴」
俺たちは旺1等航空司令官からの無線を聞き南西方向への移動を開始した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

大学寮の偽夫婦~住居のために偽装結婚はじめました~
石田空
現代文学
かつては最年少大賞受賞、コミカライズ、アニメ化まで決めた人気作家「だった」黒林亮太は、デビュー作が終了してからというもの、次の企画が全く通らず、デビュー作の印税だけでカツカツの生活のままどうにか食いつないでいた。
さらに区画整理に巻き込まれて、このままだと職なし住所なしにまで転がっていってしまう危機のさなかで偶然見つけた、大学寮の管理人の仕事。三食住居付きの夢のような仕事だが、条件は「夫婦住み込み」の文字。
困り果てていたところで、面接に行きたい白羽素子もまた、リストラに住居なしの危機に陥って困り果てていた。
利害が一致したふたりは、結婚して大学寮の管理人としてリスタートをはじめるのだった。
しかし初めての男女同棲に、個性的な寮生たちに、舞い込んでくるトラブル。
この状況で亮太は新作を書くことができるのか。そして素子との偽装結婚の行方は。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
“K”
七部(ななべ)
現代文学
これはとある黒猫と絵描きの話。
黒猫はその見た目から迫害されていました。
※これは主がBUMP OF CHICKENさん『K』という曲にハマったのでそれを小説風にアレンジしてやろうという思いで制作しました。
Tokyo Flowers
シマセイ
現代文学
東京で働く25歳のユイは、忙しい毎日の中で、ふと立ち止まり、日常に 隠された美しさに気づき始める。それは、道端に咲く花、カフェの香り、夕焼けの色… 何気ない日常の中に、心を満たす美しさが溢れていることに気づき、彼女の心境に変化が訪れる。

イクォール
おにぎり
現代文学
ユウスケとアヤは、些細なことでじゃれ合うような関係だった。
ある日、ユウスケはアヤをからかった後、機嫌を直させるためにお気に入りのパン屋へ誘う。
焼きたてのクロワッサンを食べながら過ごす時間は、彼にとってかけがえのないものだった。
しかし、その幸せな瞬間は突然終わりを迎える。
春秋館 <一話完結型 連続小説>
uta
現代文学
様々な人たちが今日も珈琲専門店『春秋館』を訪れます。
都会の片隅に佇むログハウス造りの珈琲専門店『春秋館』は、その名の通り「春」と「秋」しか営業しない不思議な店。
寡黙で涼しい瞳の青年店長と、憂いな瞳のアルバイトのピアノ弾きの少女が、訪れるお客様をもてなします。
物語が進む内に、閉ざされた青年の過去が明らかに、そして少女の心も夢と恋に揺れ動きます。
お客様との出逢いと別れを通し、生きる事の意味を知る彼らの三年半を優しくも激しく描いています。
100話完結で、完結後に青年と少女の出逢い編(番外編)も掲載予定です。
ほとんどが『春秋館』店内だけで完結する一話完結型ですが、全体の物語は繋がっていますので、ぜひ順番に読み進めて頂けましたら幸いです。
微熱の午後 l’aprés-midi(ラプレミディ)
犬束
現代文学
夢見心地にさせるきらびやかな世界、優しくリードしてくれる年上の男性。最初から別れの定められた、遊びの恋のはずだった…。
夏の終わり。大学生になってはじめての長期休暇の後半をもてあます葉《よう》のもとに知らせが届く。
“大祖父の残した洋館に、映画の撮影クルーがやって来た”
好奇心に駆られて訪れたそこで、葉は十歳年上の脚本家、田坂佳思《けいし》から、ここに軟禁されているあいだ、恋人になって幸福な気分で過ごさないか、と提案される。
《第11回BL小説大賞にエントリーしています。》☜ 10月15日にキャンセルしました。
読んでいただけるだけでも、エールを送って下さるなら尚のこと、お腹をさらして喜びます🐕🐾
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる