16 / 67
第一章 国立太平洋学園の潜伏者
第十四話 ふるさと
しおりを挟む
~2088年 日本本島~
私は日本海に面した小さな港町だった。父は漁師で海に一度出てしまえば半年は戻ってこなかった。そんなある日だった。
「一ノ瀬さん、一ノ瀬さん大変よ!旦那さんが」
漁協で働いていたおばさんが家に飛び込んできた。
「漁船が沈没したって…」
あの時の母の顔は今でも鮮明に覚えている。小さかった私にはよく分からなかったが、革命国海軍の攻撃を受け父の漁船は海に沈んだらしい。あの日から父は一度も戻ってこなかった。
父の葬儀が終わり、母は病気がちになった。私は家にいるのが辛くて一人で浜辺に行き遊ぶことが多くなった。あの日も浜辺で遊んでいた。
「お嬢ちゃんいくつ?」
軍服を着た大男たちが私の後ろに立っていた。怖かった。
「お兄さんたちが船に乗せてあげるよ。ついておいで」
私は船と聞いて乗ってみたくなった。父はいつも言っていた
「明衣、船はいいぞ。海を独り占めにできるんだぞ。明衣も大きくなったら乗せてやるからな」
父が楽しそうに話してくれた船がどんなものなのか興味があった。私は男たちに連れられ船に乗り、気づいたら革命国にいた。拉致されたのだ。
「お前は今日から旺 橙桜だ」
私は革命国の人間になるため、名前を与えられた。私は母が恋しくなり毎日泣いた。どうして母は助けに来てくれないのだろう。私の助けてほしいという希望はいつからか、なぜ助けに来ないんだという不満に変わり、母に対する憎しみに変わっていた。そこからは早かった。私を捨てた母を、日本を潰すため毎日、毎日訓練に明け暮れた。そして私は10歳という若さで1等航空司令官になっていた。
年が明けてすぐサムが私に作戦の依頼に来た。その内容は私が願ってもない、日本に復讐するのにぴったりなものだった。
~2100年4月9日 23:55 NPOC SS層~
作戦開始まであと五分。もう少しで仲間たちが作戦決行のためにこのNPOCに降り立つ。私は緊張していた。でもシミュレーションは完璧だ。滞りなく作戦は実行できるだろう。
遠くからヘリコプターの音が聞こえてきた。
「さぁ、ショータイムよ」
私は日本海に面した小さな港町だった。父は漁師で海に一度出てしまえば半年は戻ってこなかった。そんなある日だった。
「一ノ瀬さん、一ノ瀬さん大変よ!旦那さんが」
漁協で働いていたおばさんが家に飛び込んできた。
「漁船が沈没したって…」
あの時の母の顔は今でも鮮明に覚えている。小さかった私にはよく分からなかったが、革命国海軍の攻撃を受け父の漁船は海に沈んだらしい。あの日から父は一度も戻ってこなかった。
父の葬儀が終わり、母は病気がちになった。私は家にいるのが辛くて一人で浜辺に行き遊ぶことが多くなった。あの日も浜辺で遊んでいた。
「お嬢ちゃんいくつ?」
軍服を着た大男たちが私の後ろに立っていた。怖かった。
「お兄さんたちが船に乗せてあげるよ。ついておいで」
私は船と聞いて乗ってみたくなった。父はいつも言っていた
「明衣、船はいいぞ。海を独り占めにできるんだぞ。明衣も大きくなったら乗せてやるからな」
父が楽しそうに話してくれた船がどんなものなのか興味があった。私は男たちに連れられ船に乗り、気づいたら革命国にいた。拉致されたのだ。
「お前は今日から旺 橙桜だ」
私は革命国の人間になるため、名前を与えられた。私は母が恋しくなり毎日泣いた。どうして母は助けに来てくれないのだろう。私の助けてほしいという希望はいつからか、なぜ助けに来ないんだという不満に変わり、母に対する憎しみに変わっていた。そこからは早かった。私を捨てた母を、日本を潰すため毎日、毎日訓練に明け暮れた。そして私は10歳という若さで1等航空司令官になっていた。
年が明けてすぐサムが私に作戦の依頼に来た。その内容は私が願ってもない、日本に復讐するのにぴったりなものだった。
~2100年4月9日 23:55 NPOC SS層~
作戦開始まであと五分。もう少しで仲間たちが作戦決行のためにこのNPOCに降り立つ。私は緊張していた。でもシミュレーションは完璧だ。滞りなく作戦は実行できるだろう。
遠くからヘリコプターの音が聞こえてきた。
「さぁ、ショータイムよ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

大学寮の偽夫婦~住居のために偽装結婚はじめました~
石田空
現代文学
かつては最年少大賞受賞、コミカライズ、アニメ化まで決めた人気作家「だった」黒林亮太は、デビュー作が終了してからというもの、次の企画が全く通らず、デビュー作の印税だけでカツカツの生活のままどうにか食いつないでいた。
さらに区画整理に巻き込まれて、このままだと職なし住所なしにまで転がっていってしまう危機のさなかで偶然見つけた、大学寮の管理人の仕事。三食住居付きの夢のような仕事だが、条件は「夫婦住み込み」の文字。
困り果てていたところで、面接に行きたい白羽素子もまた、リストラに住居なしの危機に陥って困り果てていた。
利害が一致したふたりは、結婚して大学寮の管理人としてリスタートをはじめるのだった。
しかし初めての男女同棲に、個性的な寮生たちに、舞い込んでくるトラブル。
この状況で亮太は新作を書くことができるのか。そして素子との偽装結婚の行方は。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
Tokyo Flowers
シマセイ
現代文学
東京で働く25歳のユイは、忙しい毎日の中で、ふと立ち止まり、日常に 隠された美しさに気づき始める。それは、道端に咲く花、カフェの香り、夕焼けの色… 何気ない日常の中に、心を満たす美しさが溢れていることに気づき、彼女の心境に変化が訪れる。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
微熱の午後 l’aprés-midi(ラプレミディ)
犬束
現代文学
夢見心地にさせるきらびやかな世界、優しくリードしてくれる年上の男性。最初から別れの定められた、遊びの恋のはずだった…。
夏の終わり。大学生になってはじめての長期休暇の後半をもてあます葉《よう》のもとに知らせが届く。
“大祖父の残した洋館に、映画の撮影クルーがやって来た”
好奇心に駆られて訪れたそこで、葉は十歳年上の脚本家、田坂佳思《けいし》から、ここに軟禁されているあいだ、恋人になって幸福な気分で過ごさないか、と提案される。
《第11回BL小説大賞にエントリーしています。》☜ 10月15日にキャンセルしました。
読んでいただけるだけでも、エールを送って下さるなら尚のこと、お腹をさらして喜びます🐕🐾
大学受験はほぼ無くなりました(注※これは小説です)
F.conoe
現代文学
大学受験がなくなり、ほぼすべての講義はオンライン化された。
これはSFか、それとも未来予想図か。
近未来の新しい学校教育の話。
※この物語はフィクションです。
しがらみやらお金の制限を取り払って、
全く新しい学校教育を今の技術力で作るならどういうものになるのかな?
と考えてみたシミュレーション小説です。
オンライン化をゴリ押しできる設定にしたら思いのほか政治の話をすることになりましたが
ラストを多くの人に読んでほしいなと思うものとなりました。
ぜひ読んで欲しいです。
(設定上、小中高の教育も改革する必要があり思いつく限りの改善案を出しましたが、これで完璧だと思っているわけではないです)

イクォール
おにぎり
現代文学
ユウスケとアヤは、些細なことでじゃれ合うような関係だった。
ある日、ユウスケはアヤをからかった後、機嫌を直させるためにお気に入りのパン屋へ誘う。
焼きたてのクロワッサンを食べながら過ごす時間は、彼にとってかけがえのないものだった。
しかし、その幸せな瞬間は突然終わりを迎える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる