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第一章 国立太平洋学園の潜伏者
第十一話 作戦
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~2100年4月9日 13:00 NPOC SS層地下水道管~
地図を頼りに水道管の入り口を見つけたころには13時になっていた。かれこれ1時間も探していたことになる。この地図を作ったやつらはよくここを見つけられたものだ。
プルルルルプルルルル。外部との通話用の衛星電話が鳴った。相手は今回の作戦団長だ。
「はい、もしもし」
「橙桜か。私だ、作戦の決行は予定通り明日0時だ。侵入ルートはどうなっている」
「作戦を完璧に遂行ために最適なルートを発見したわ。これから下見よ。メールでルートの案を送るから見て頂戴」
私はこういうと電話をさっさと切った。全システムがダウンしてるからと言って、まだやつらは稼働を続けているはずだ。長電話はリスクを伴う。
「さてと、行きますか」
私は地下水道管へ入った。確かに地図に書いてあるように水路を挟んで歩道がある。この広さなら今夜の作戦は滞りなく決行できるだろう。
「問題はこれがUS1に続いてるかだなぁ」
地図を見る限り下の層につながっているところは何か所かあるようだ。でも人が歩けるような歩道まであるかはわからない。しばらく歩くとこのうちの一か所に着いた。実際に見てみると階段も整備されている。これなら大丈夫だ。私は階段を見ながら「この階段を下りればUS1だろう。」と口にしてみて気を引き締めなおした。階段を下り終え少し歩くとカーブが多くなってきた。この上は何があるのだろうか。そんなことを思っていると上から男女の会話が聞こえてきた。
~2100年4月9日 13:15 US1 噴水公園~
俺と優芽は執務室に案内してもらい、東から追加でいくつか説明された後、一般エリアに戻ってきた。
「ねぇ、貴君。貴君は生徒の中にスパイがいると思う?」
ベンチに並んで座っていた優芽が聞いてきた。
「俺はいないと信じたい、が生徒の中にスパイがいる可能性も0じゃない。だから俺としては5分5分といった所だな」
「私は犯人は生徒の中にいないと思うよ!優芽は100%そう思う」
優芽は自信満々に言った。こういう暗い内容の話のときに優芽がいるとなんだか少し心が軽くなる。
「でも一応調査はしような。優芽の言う通り生徒の中に犯人がいないってことを証明するためにも」
「そうだね。よーしがんばるぞ!」
優芽はこぶしを突き上げ一人で「エイエイオー」と気合を入れている。
だが、どうやって調べていけばいいだろうか。調査対象者9万人。到底二人じゃらちが明かない。
「あっ、貴文君と優芽ちゃん!こんにちは」
「あっ、明衣ちゃんだー。朝ぶりだね」
朝ぶりって何言ってるんだ優芽は。俺は心の中でツッコんだ。そういえば明衣はどこから出てきたんだろうか。
「二人とも何話してたんてすか?」
「今回のサイバー…」
優芽の馬鹿…。慌てて俺は優芽の口を手でふさぎ、
「今回の野菜バイキングすごいらしいよ。っていうはなしさ」
とごまかした。俺は優芽を引き寄せて小声で
「お前は馬鹿か?いくら明衣だからって今回の事件の詳細を話しちゃダメだろ。さっき東に執務室で注意されたばっかりだろうが。」
と優芽のおでこにデコピンを一発くらわしながら言った。俺は明衣の方に振り返った。
「明衣もよかったらこんど一緒に行かないか。俺たちのなじみの店を紹介するよ」
「わぁーそれは楽しみてす!」
俺は明衣が「でも…」と言った気がした。が明衣は相変わらず笑っている。空耳だろう。
「バイキングー、バイキングー、うれっしいなー」
優芽は一人で即興のバイキングの歌を歌っていた。
「ては私は用事があるのて失礼しますね」
「おぅ、またな」
「じゃあねー明衣ちゃん」
こうして再び明衣と別れた俺と優芽は俺の家に行くために噴水公園を後にした。
地図を頼りに水道管の入り口を見つけたころには13時になっていた。かれこれ1時間も探していたことになる。この地図を作ったやつらはよくここを見つけられたものだ。
プルルルルプルルルル。外部との通話用の衛星電話が鳴った。相手は今回の作戦団長だ。
「はい、もしもし」
「橙桜か。私だ、作戦の決行は予定通り明日0時だ。侵入ルートはどうなっている」
「作戦を完璧に遂行ために最適なルートを発見したわ。これから下見よ。メールでルートの案を送るから見て頂戴」
私はこういうと電話をさっさと切った。全システムがダウンしてるからと言って、まだやつらは稼働を続けているはずだ。長電話はリスクを伴う。
「さてと、行きますか」
私は地下水道管へ入った。確かに地図に書いてあるように水路を挟んで歩道がある。この広さなら今夜の作戦は滞りなく決行できるだろう。
「問題はこれがUS1に続いてるかだなぁ」
地図を見る限り下の層につながっているところは何か所かあるようだ。でも人が歩けるような歩道まであるかはわからない。しばらく歩くとこのうちの一か所に着いた。実際に見てみると階段も整備されている。これなら大丈夫だ。私は階段を見ながら「この階段を下りればUS1だろう。」と口にしてみて気を引き締めなおした。階段を下り終え少し歩くとカーブが多くなってきた。この上は何があるのだろうか。そんなことを思っていると上から男女の会話が聞こえてきた。
~2100年4月9日 13:15 US1 噴水公園~
俺と優芽は執務室に案内してもらい、東から追加でいくつか説明された後、一般エリアに戻ってきた。
「ねぇ、貴君。貴君は生徒の中にスパイがいると思う?」
ベンチに並んで座っていた優芽が聞いてきた。
「俺はいないと信じたい、が生徒の中にスパイがいる可能性も0じゃない。だから俺としては5分5分といった所だな」
「私は犯人は生徒の中にいないと思うよ!優芽は100%そう思う」
優芽は自信満々に言った。こういう暗い内容の話のときに優芽がいるとなんだか少し心が軽くなる。
「でも一応調査はしような。優芽の言う通り生徒の中に犯人がいないってことを証明するためにも」
「そうだね。よーしがんばるぞ!」
優芽はこぶしを突き上げ一人で「エイエイオー」と気合を入れている。
だが、どうやって調べていけばいいだろうか。調査対象者9万人。到底二人じゃらちが明かない。
「あっ、貴文君と優芽ちゃん!こんにちは」
「あっ、明衣ちゃんだー。朝ぶりだね」
朝ぶりって何言ってるんだ優芽は。俺は心の中でツッコんだ。そういえば明衣はどこから出てきたんだろうか。
「二人とも何話してたんてすか?」
「今回のサイバー…」
優芽の馬鹿…。慌てて俺は優芽の口を手でふさぎ、
「今回の野菜バイキングすごいらしいよ。っていうはなしさ」
とごまかした。俺は優芽を引き寄せて小声で
「お前は馬鹿か?いくら明衣だからって今回の事件の詳細を話しちゃダメだろ。さっき東に執務室で注意されたばっかりだろうが。」
と優芽のおでこにデコピンを一発くらわしながら言った。俺は明衣の方に振り返った。
「明衣もよかったらこんど一緒に行かないか。俺たちのなじみの店を紹介するよ」
「わぁーそれは楽しみてす!」
俺は明衣が「でも…」と言った気がした。が明衣は相変わらず笑っている。空耳だろう。
「バイキングー、バイキングー、うれっしいなー」
優芽は一人で即興のバイキングの歌を歌っていた。
「ては私は用事があるのて失礼しますね」
「おぅ、またな」
「じゃあねー明衣ちゃん」
こうして再び明衣と別れた俺と優芽は俺の家に行くために噴水公園を後にした。
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