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第三章 来訪、襲来、ガルムドゲルン

#10 烈華絢蘭

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「うむ…こうなってしまっては仕方が無い…。ナオト君」

「………はい」

「ギルドマスターとして正式に依頼をしたいのだが…」

 あーやっぱり……そうなりますよねー………。
 けど俺勇者なんて立場にはなりたくないんですけど……そもそも圧倒的に向いてないし。
 でもなぁ…そうしないとガルムドゲルンがなぁ…みんな良い人達ばっかだし、俺の性格的に絶対放っておけないんだよなぁ……。

「……魔王、討伐………ですか…………」

「…すまない。だが魔王が必ずいるとは限らないだろうから、もし、魔王の存在が確認出来たら、で構わない…。受けてもらえないだろうか」

「…一応、俺に依頼をする理由を伺っても?皇都から来た漂流者達ではなくて」

「それは…これから紹介する烈華絢蘭のメンバーと話をすれば分かると思う…。クリス、済まないが彼等を呼んできてもらえるか」

「…分かりました。正直私もあまり話はしたくありませんが…」

 そう言いつつ席を立って呼びに行ったクリス女史…えー……あなたまでそんなこと言うの?ソイツらもどんだけなんだよ…ってか、ヒロシといいここのみんなに良く思われてない漂流者、多くないか…?

「すぐ来るだろうから少し待ってほしい。今の内にナオト君の話を聞こうか。と言ってもリオ君の事だろうが」

「あ、はい。リオを俺達のパーティーに入れたいんですが…」

「うむ、分かった。パーティーを組めるようランクを考慮すればいいのだね。ではとりあえず三獣姫と同じゴールドランクでいいかな?」

 あれ、こんなあっさり認めてくれるとは…あ、でも伝説の勇者の騎乗竜って分かってくれたみたいだし、それでかも?

「はい、ありがとうございます。無理言ってすみません」

「無理を言っているのはこちらの方だからな。これくらいならどうということは無い」

「そうだね。リオ君の場合実力的にはもっと上のランクでもいいとは思うけど、今はこれでお願いするよ」

「いや、パーティー組めるなら何も問題無いよ。ありがとう」

 良かった、すんなり通ってくれて。
 これでリオもパーティーメンバーになれたし、堂々と胸張って冒険者出来るな。

「これで正式にリオはウチらのパーティーメンバーやっ。改めてよろしくやっ」

「リーちゃん~、これからぁよろしくねぇ~、ふふっ」

「リオ、期待してるぜっ、よろしく頼むわっ!」

「………み、んな…………ありが、と…う………よろし、く……………」

 うん、みんなの反応見てると上手くやっていけそうだ。
 まぁ、着々とハーレム状態が拡大してるわけですが…そこは俺の鋼の意思次第ってことで、何とか頑張っていこう…ぶっちゃけ全然自信無いけど。
 だってみんな可愛いし、少なからず俺に悪い印象は持ってないみたいだし…それにホント可愛いし。
 信じちゃいないけど、アコ的好感度基準値はみんな超えてるみたいだし…信じちゃいないよ、もちろん。
 アコがからかってるだけとしか思ってないからなっ。


[………不本意です]


 うるせぇ!何が不本意だっ!お前の自由奔放さがおかしいんだって気付けよっ、スキルのくせにっ!
 って、もうホント何でこう俺をツッコませようとするんだよ、お前は…。
 くそっ、変に役立つから余計モヤモヤするわ…逆手に取りやがって、切り離したくても出来ないっていう。


[賢明な


 だからもういいってのっ!!



 またそうやってアコとグダグダやってる内にクリス女史が戻って来て…後ろから4人、ゾロゾロ付いて部屋に入って来た。

 コイツ等が烈華絢蘭ってお抱え漂流者パーティーか…。

 見た感じ歳の頃は全員同じくらい…中学生、いや、高校生成り立てってところか。

 先頭に入って来たのは爽やか系イケメンって感じで如何にもリーダーシップ取りそうなタイプ、あれ?これ勇者向きじゃないのか?俺より全然いいと思うけど…後は実力次第なんだけど、当然チートとか持ってるはずだし……意外と勇者っぽいスキルなんじゃないの?属性は光と聖で闇とか邪を打ち払えるみたいな。

 次に入って来たのは活発系だけど部活少女って感じじゃなくて、どっちかっていうとワイワイ騒ぐのが好きそうなタイプの女の子、この子も勇者向きなんじゃないかなぁ…。
 短めのポニーテールでニコニコしてる、美少女ってほどじゃないけど、可愛い部類に入るんじゃないかな…俺主観になっちゃうけど。

 その後入って来たのは眼鏡を掛けた知的系イケメン、っておい何でこんなにイケメン率高いんだ…ヒロシも多分イケメンの部類に入ると思うし、なんか俺だけおかしいって気がしてきた…やっぱ俺間違ってこの世界に来たんじゃないか?イレギュラーとか超泣けてくるんですけど……。
 眼鏡君はこのパーティーの参謀ってところか、知力を活かして作戦立てて…スキルも魔法系なんじゃないかな、多分。

 そして最後に入って来たのは黒髪ロングのお嬢様系美少女…ちょっと目付きが鋭いから気位高そうだけど、この子も頭脳派って感じがする。
 いや、でも意外と文武両道の完璧お嬢様だったりしたら武器持って前で戦ったりするのかもしれない。
 魔法も使いこなす万能タイプってところかも。


 ソファーには全員座れないからだろう、烈華絢蘭が入って来た後にラナとリズが椅子を4脚持って入って来た。
 えっと、ご苦労さまです。

 椅子を設置し終えたんだけど、ラナとリズは戻る気配が無い…え、なに、話聞きたいの?いや、リズの場合は多分サボりたいだけだろ、それ…。


「呼び立ててすまないね、紹介したい人がいたのだよ」

「別に構わないけど。それで、紹介したい人って…この人達かい?」

 おっとイケメンリーダー、もうこっちに来て長いのか?言葉遣いがかなり砕けてるな…。

「…初めまして、漂流者のナオトです」

「そうか、僕らと同じ漂流者だったのか。さっきも漂流者に会ったけど、君は少しまともそうだね」

「っていうかその格好、ちょっとウケるんですけどっ、あははっ!」

「…厨二病というやつですか、まさかこちらでそんな人に会うとは思ってませんでしたよ。クククっ」

「向こうの世界でも見た事ありませんよ、そこまで徹底した格好は…。貴方よく恥ずかしくないわね。ふふふっ」

 …あー、うん、まぁ、ヒロシと同じ反応ですよねー。
 別にもうどう思われようと気にしないですけどね、だってこの格好でも素敵って言ってくれる人達がいますから。
 …負け惜しみなんかじゃないよ?決して。

「んんっ!あー、それでだ。今回このガルムドゲルンを防衛するにあたって漂流者同士協力を…」

「は?別にいらないよ?協力なんて。私たちだけで十分だしー」

「ですね。寧ろこちらの邪魔にならないようお願いしたいくらいです」

「まぁまぁ、曲がりなりにも彼は漂流者だ。少しくらいは役に立つんじゃないか?」

「どうかしら。彼より周りの方達の方がまだ役に立ちそうだと思うのだけれど」

 俺より姫達の方がマシだってさ。
 っていうか全員凄い自信家だった…しかも初対面で相当見下されてますね、俺。
 これでも君達よりは歳上なんですけど、今の見た目じゃそうなるのか…ええ、特に気にはしませんよ、大人ですからね、一々これくらいで目くじら立てたりはしませんって。

「それなんだが…本当に君達4人で1万の魔物をどうにか出来るのかい?」

 うん、まぁ、フィルさんの言いたい事は分かる。
 俺もその自信がどこから来てるのか知りたいし。

「1万っていっても所詮雑魚ばかりだろう?数なんて関係ないさ」

「そーだねー、魔物なんてどれも大したことないしー」

「僕の魔法ですぐに殲滅してみせますよ」

「烏合の衆に対して何をそんなに心配する事があるのかしら」

 …なぁ、アコ。
 こいつらの自信の源が知りたいんだけどさぁ…アコから見てコイツ等の強さってどんな感じ?ステータスとか特に見せなくていいから、アコ主観の分析結果だけ教えてくれるか?


[パーティー・烈華絢蘭:異世界転移者4人による攻守バランス型パーティー。やや攻撃寄り。ソードマン・須藤烈を主軸にランサー・宮藤蘭子と前衛を、アーチャー・平岸華凜とマジックユーザー(属性魔法アルテビュータ)・長門絢久が火力後衛。パーティー平均位階10。ゴブリン程度の集団であれば数千単位での殲滅が可能と思われる。共通固有スキル:スキル融合が特徴]


 あー、サンキュー、アコ。
 この4人は召喚されたわけじゃなくって転移されてきたんだ。
 仲良し4人組で何かに巻き込まれた系かな?
 だからだろうな、パーティー前提の強さってところは。
 けど今回の相手がゴブリン程度だとは思えないからなぁ…やっぱりちょっと不安だ、コイツ等だけで殲滅とか。

「えっと、君達は今までどんな魔物を相手にしてきたのかな?」

「どんな、と言われてもね…いろんな魔物としか」

「そうだねー、大っきいのとかちっちゃいのたくさんとか」

「魔物なんてどれも同じようなものでしょう。一々覚えてなんていられませんよ」

「だからさっきも言ったでしょう、烏合の衆だって。どれも大差なかったわ」

「あ、はい、そうですか…」

 うん、まぁ、その調子でいってくれれば大丈夫だとは思うんだけど、想定外の強敵とか現れたら一瞬で崩れそうだわ…。
 これは協力とか無理だな、パーティーで完結してるっぽいし、好きなようにやらせた方がまだマシだと思う、うん。

「しかし今回の魔物は、もしかしたら君達がいつも戦っていたという魔物とは少し違うかもしれないのだよ…」

 フィルさんの心配も分かる、魔王が絡んでるかもしれないし、もしかしたら魔物同士連携してくるなんて事があるかもしれないし。
 そういう予想外なことされると弱そうな気がするんだよなぁ…このパーティー。

「大丈夫、僕達にかかればどんな魔物だって余裕さ」

「ですね。くれぐれも僕の作戦の邪魔はしないようにしてください。僕にはそれが一番の不安材料ですから」

「そちらが何をしようが勝手ですけれど、巻き込まれて私達のせいにするのだけはやめてほしいわ」

「そーゆーこと。ま、とにかく私たちにまっかせっなさーいっ」

 ……泥舟に乗ってる気分になるのは何故だろうか…不安を煽る台詞にしか聞こえないっていう不思議。
 これ、ヒロシの方がまだマシな気が…ヒロシと組もうかなって思い始めてきたぞ……。


「「「「「「「「………」」」」」」」」


「話はそれだけかい?だったら僕達はもう行くよ。そろそろお腹も空いてきた頃だし夕食を取って英気を養うことにするよ」

「うん、わたしもお腹空いちゃったー」

「夕食を取りながら作戦のチェックでもしますか」

「…いつも通り何も変わらないと思うのだけれどね」

「…あ、あぁ…そうか、分かった。では、すまないがよろしく頼むよ…」

「オッケー、んじゃねーっ」

 そう言って部屋を出て行った烈華絢蘭の面々…終わりの方はもう全員唖然としてたね…。


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