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原作崩壊後:神魔の覚醒
107:ばいばーい!
しおりを挟むエレティコ! それは“異端者”のこと! つまりお前らが3000年間育んできたもの全部をこの手でぶっ壊してやるって言ってんだよ! というわけでぶん殴ってやるぜやるぜやるぜ!!!
『ッ! 戯言をォ!』
なんか気に障ったらしいクソ女神どもに向かい、突貫する。今の私は、ティアラでありながらフアナであり、エレナでもある。つまり三人が出来るコト全部出来るってわけ! 素体が私寄りなせいで、メインは私の能力が基本になるけど……。知ってる? 1+1+1って無限大なんだよ?
(まぁそもそもビエントとタイタンも融合してるからその数式間違ってるけどな)
(……もしかして私の旦那様って算数できない?)
あぁーもう! 頭の中で騒がないで! あとこういうのは雰囲気的なものなの! そもそも私達の力が1で収まるわけないでしょうが! というわけでフアナ! エレナ! 魔法と槍借りるよ!
右手に握るオリンディクスと、左手に握るディフェクト。その二つの槍に、それぞれのエネルギーを込めていく。体内を巡る神秘と魔力と活力。そのすべてを高速で廻し身体強化を行いながら、槍たちの真価を発揮していく。狙うは一点。クソ女神どもの脳天だけ。
「オラァッ!」
『嘗めるなぁ!!!』
両方の槍を上から振り下ろし、その頭蓋を割るために叩き落す。大振りで、何の技術も感じさせないただの力任せ。その攻撃に激昂したのか怒りの声を上げながらその爪で迎撃しようとするクソ女神たちだったが……。
その爪が、簡単に叩き割られる。
あはっ! 私もエレナも。それ相応の槍術持ってるって忘れた? できないんじゃなくて、しなくてもいいからそうしただけだっての! んじゃ授業料にお代わり貰ってけッ!
(エレナ! 借りるよ!)
(えぇ、好きなだけ持って行きなさい!)
右に持つオリンディクスに全力の神秘を、左に持つディフェクトに全力の活力を叩き込み、かけるのは回転。タイタンとビエントの2対の翼で回転を掛け。さらにこの槍たちを押し込んでいく。回転数が上がるごとに、その神秘が、活力が、光を放って行く。その腹で絶命するぐらいに味わいな!
「開闢のォ! 『大蒼月』ッ!!!」
「ッッッ!!!」
折られた爪を即座に再生しながら、両手を腹部に向かわせ二本の槍で形作られる螺旋を受け止めようとする女神。けれどそんなもの、防御にはならない。素手より武器持ちの方が強いって相場が決まってるのよ!
数度回転することでその手が弾け飛び、腹部へと突き刺さり、回転し、突き破る。両断され、上半身と下半身に別れちゃったクソ女神。翼と槍を大きく広げながら回転の勢いを消し、振り返ってみればそんな愉快な姿が見て取れた。あはァ! せっかく合体したのに二つに分かれちゃったね! 今どんな気持ち? どんな気持ち!?
『こんなものォ!!!』
私の煽りにキレながら、そう叫ぶことで体内に蠢く神秘の様なものを爆発させる女神。それにより分割された肉体を呼び戻し、接合。そして弾き飛ばされた両手も再生を完了させる。けれどその過程で自分たちの権能を強く使用したのだろう。よりその神秘が、強く濁った。
……このまま殴り続ければ、いい感じに神秘を劣化し続けて行って、最終的には神格が掻き消えるまでいくんじゃないの? そうとなればいくらでもメ/ガミにしてあげないと!
(っと、流石にそう簡単にはいかせてくれないか。)
そう考えていると、奴らが私を消し飛ばすために、その大量の神秘をより強く起動させた。その瞬間に現れるのは、おそらくゴジケサの権能。より邪悪で凶悪になった真っ黒な口たちが、視界を埋め尽くすほどに開かれていく。そしてその口にチャージされていく、黒と白が複合した、光。ミサガナがよく使ってた光の柱と、高圧で胃の中を放射するゴジケサの技。そのミックスってところか。実際当たったら痛そう。というか数が多すぎてアレだな。ちょっと私じゃ面倒かも。というわけでフアナ~、代わってー!
(かしこまりましたわ。では、失礼してッ!)
その瞬間、体の主導権が私からフアナに代わる。それと同時にこの肉体も神秘によって包まれ、書き換えられていき……。成長した私を素体とした姿ではなく、成長した“フアナ”の肉体を素体とした『エレティコ』がここに再臨する。
「黒颯のエレティコ・フアナフォーム。というのでしょうか? まだ少し勝手が解りませぬが、ご容赦くださいまし。」
(あぁなるほど、さっきそういう言い方をしてたのはこのためか。)
(そ! いいでしょー!)
肉体も服装も、まるっきり変わる。さっきまでは私の鎧がより発展したような服装だったけど、今の『エレティコ』はフアナを象徴するようなドレスに。髪の配色も変わってるし、能力値ももちろん違う。……あとやっぱりフアナの成人態の胸部装甲凄いね。あのおっぱいさんこと宣教師のメメロさんと比べれば控えめだけど、すごいサイズ。ヤバいわね。……ん? エレナどうしたの? あ、そういう事言い出したらフアナが集中できなくなるから辞めろ? 確かに。んじゃ静かにしてまーす!
「あら残念ですわ。さて……、では少し仕事をさせてもらおうと致しましょうか。すでに神ですらない者よ。少々気合を入れることをお勧めいたしますわ。間違って消し飛ばしてしまえば、拍子抜けでしょう?」
『ッ! ならお前を消し飛ばしてやるッ! 死ねぇ!!!』
奴がそういった瞬間、おそらく万は下らないだろう光の束が、一斉に私達へと降りかかる。視界全て。360度すべてが敵の攻撃によって埋め尽くされる。まぁ確かに命中すれば消し飛ばされるかもしれないけど……。フアナ相手に遠距離戦で挑もうなんて、そして少しでも問答する時間。時間稼ぎをさせるなんて。やっぱ何も学んでないんじゃないの?
「芸がありませんこと。魔法戦というものは……。こうやるのです。」
彼女がそういった瞬間。私たちの体内に流れているすべてのエネルギーが、魔力へと変換される。そして周囲にまき散らされる大量の魔力たち。何の術式も込められていない、ただの魔力。私達を守る様に展開されたその粒子たちが……、女神が放った光柱のすべてを、止める。
何でもない、ただの魔力。神秘に劣るはずのエネルギーを、何の術式もなく。ただ“魔力の圧縮率”という一手だけで、押しとどめたのだ。
「さて。定石でしたらこの魔力で頂いた魔法を強化し、お返しする。自身の攻撃で死に至って頂くという手法をとるのでしょうが……。旦那様の言葉で言い表すのであれば、“ロマン”に欠けます。せっかくです、少し限界に挑戦してみましょうか。お二人とも、手をお借りしても?」
(もっちろん!)
(はいよ、好きなだけ使って。)
私とエレナからさらに送り出される神秘と活力。そのすべてを魔力に変換し彼女が起こすのは、“創世”。
その魔力だけで軽く女神を滅ぼせそうな属性球、それを全属性用意し、一点に集めていく。フアナが柔らかく開いた両手の上に形作られていくのは、もう一つの世界。この大陸や星がいくつも重なる様な大宇宙。そのすべてが内包された可能性の塊、世界の種を、生み出していく。
さっき彼女が見せてくれたのは強く光っているおかげで存在を認知出来たような、ほんの小さな欠片。けれど今の彼女、いや私達ならば。もっと大きな世界を作り出すことが出来る。使える魔力も、脳のキャパシティも各段に上だ。
「…………これが、限界ですか、ね。」
少し息を乱しながら、彼女が生み出したのは、ビー玉程度の世界。無限の可能性を表しているのか、虹色に強く輝いている。そして込められた力の総量は……、私でも計り切れないレベル。こんなもの叩き込まれれば、普通に消し飛んじゃいそう。
んじゃフアナ?
「えぇ、そうですわね。全て、消し飛ばして御覧に入れましょう。」
『ッ!』
ようやく事態の深刻さに気が付いたのだろう。速攻で逃走を選択する女神たちだったが……。フアナが何も対策しないハズがない。後ろに向かって逃げ出した女神たちが、何か堅い壁にぶつかる。思い起こされるのは、以前ミサガナと戦ったときにその神が生み出した神秘による檻。
お前らが勝てない相手に当たった時、逃げようとするような存在なのは最初から理解してる。それに、こんなもの何の防備なしに放っちゃったらマジでこの大陸が海に沈んじゃうからね~。あらかじめ対策済みよ。
「では、楽しんで。」
そう言いながらフアナが“世界”を起動し、転移によりその“檻”外へと離脱する。檻の中に残されたのは、女神たちが開いた口と、その本体。一瞬にして檻が極光に包まれ、内部が虹の光に消し飛ばされていく。
「次があるのかは解りませんが……。今度はサングラスでも持ってきましょうか。」
(確かに、ちょっと眩しいねぇ)
(なんか魔法でそういうのないの? ほら“檻”自体に遮光の性質付けるとか。)
「……いいアイデアですわね。流石旦那様のライバル。」
三人でそう話しながら、内部の様子を伺う。文字通り消し飛ばしたんだけど……。あのクソ女神なら生き残っててもおかしくない。増殖すればするほどその神秘は濁るけど、いわば無限に成長し続けるのが今のクソ女神だ。その増加分を全て肉体の保持と再生に注ぎ込めば、世界が破壊されるときに起きる莫大なエネルギーを全て耐えきることが出来るかもしれない。
そしてその予測は……、当たる。
『はぁ、はぁ、はぁ……。ッ!』
光りが収まると共に、叩き破られるフアナの檻。そこから出てくるのは、よりその神秘を濁らせた女神たち。最初に比べると大分神秘総量自体は上がってるけど、連続して消し飛ばされる檻の中にいたんだ。その精神的疲労はとんでもないモノだろう。
『許さない、許さない! 家畜の分際でぇ!!!』
「あら、今度は……。“分身”ですか。」
女神が叫びながら生み出すのは、先ほど開かれた口よりも大量な、自分自身。本体と同一の能力を発揮できるその複製体たちが次々と生み出されていき、私達に襲い掛かってくる。先頭の複製体がその腕部を巨大化させ、全力で殴りかかってくるが……。魔力防壁によって軽く受け止め、ただの魔力の放出だけで、吹き飛ばすフアナ。
「けれどこの数となると、少し難しいですわね。近接戦は得意ではありませんし……。エレナ様? お願い致しても?」
(お、やっと出番ってわけね! じゃあ変わるわよッ!)
エレナがそういった瞬間、体の主導権が移る。そして引き起こされるのは、神秘による強い光。私たちに向かって飛びよってくる複製達たちを全て消し飛ばしていき、同時にその肉体も作り替えていく。先ほどと同様に、素体となるのは肉体の主導権を握る人物の体。エレナの肉体だ。
ドレスが鎧へと作り替えられていき、その肉体はより筋肉質のものへ。女性的な柔らかさを保ちつつも、武人として最上の肉体を持つ存在が、ここに再誕する。
「黒颯のエレティコ・エレナフォーム! ってね!」
(うぇーい! エレナ頑張れー! 最強最速!)
(力と速さ! 合わせれば最強に見えますわよー!)
「なんか応援がちょっとアレじゃない……?
そう言いながら、彼女が“空間”から取り出すのは、フアナフォームの時は収納されていた私達の槍。エレナはそれを融合させ……、一つの武器へと作り替えていく。神秘にも、活力にも対応した一本の巨大な槍に。私は普通に使い分けとかできるし二本の方が都合がいいけれど、エレナは一緒くたにした方が効率いいもんね! 合体したオリンディクスちゃんも頑張れ! 恥かいちゃやーよ!
「さて。全力で行きましょうかッ!」
彼女がそういった瞬間、全ての存在の視界から、私達の姿が消える。というか同じ体内にいる私とフアナですら、半分ぐらいしか知覚できない光速をはるかに超えた世界。
私が万能、フアナが魔法火力とすれば。エレナの強みは絶対的な力と速さ。その強みが、合体したからこそ向上する。私が纏う神秘によって肉体の能力をより向上させ、魔力によってさらに伸ばす。そこから活力を燃焼させれば……。もう止められるものは誰もいない。
「ほらほら! 歯応え全然ないわよッ!!!」
複製体たち、おそらくそのすべてに思考があり、最適な動きを取ろうとしていたのだろう。近接戦へと特化するためにその腕部を肥大化させた存在。かく乱するためかその速度を上げるために羽を生み出した存在。後方から支援するために光球を生成したり、“口”を開こうとした存在。数えきれない程の種類がいる複製体たちを……。
全て、消し飛ばしていく。
『くッ! あぁぁぁあああああ!!!!』
「お、上がってくるのか。そう来なくちゃ。」
けれどそれを遮る様に、無理矢理神秘を燃やしてエレナの速度へと入ってくる女神の本体。かなり無理をしているようだが、確実にその速度はエレナと同等。対応するために赤熱したその爪を、私たちに突き刺そうとして来る。けれどそんなもので、エレナが負けるはずがない。
「よっ!」
軽い掛け声と共に、足だけでその爪を折り飛ばす彼女。そしてその痛みからか苦悶の顔を浮かべようとした女神の顔を、蹴飛ばし、頭部を吹き飛ばす。そしてさらに追撃を入れようとする彼女だったが……、流石に本体がこれ以上やられるのは許容できなかったのだろう。複製体たちも同様にエレナの世界へと入門しその攻撃を防ごうと突撃してくる。
「なら、全部消し飛ばしましょうか!」
そう言いながら全身の神秘、魔力を活力へと変換していく彼女。私もフアナもさらにそれを投入し、生み出された活力が全て。合一化した巨大な槍へと叩き込まれる。蒼く光り輝くそれが、この世に生み出された太陽のように放光し……。私たちに向かってきたすべての存在に向かって、振るわれる。
神すら超える速度と力。たった一度で済むわけもなく、この世界全てが細切れにされるほど叩き込まれたソレは、私たちに迫って来ていたすべての存在を、みじん切りにしてしまう。勿論女神の本体も、同様に。
複製体たちはそのまま空気に溶けていくが、本体はそうではない。即座にその神秘をもって肉体の保護に移ったようだが……。ソレをしたせいで、エレナがいる光速の世界から、叩き出されてしまう。
「まぁその隙を逃すほど、私は優しくはないんだよねッ!」
エレナが張り上げた声にこたえるように、巨大な槍が脈動する。
全ての複製体を切ったことで生まれた、活力。複製体と言えどその力量は本体と同一。数えきれない程のそれを両断し、この世から消滅させ、保有していた体力全てを活力へと変換したソレ。ひとかけらも余さず、槍の効果によって集約され、すべてが私たちの力になる。これをすべて攻撃に回せば……。創世にすら劣らない威力になることは、明白だろう。
「これが、私の全力! とくと味わい為さいな!」
強く蒼く輝く槍が、女神に向かって、放たれた。
「『超蒼月』ッ!!!」
寸分たがわず直撃したソレは、女神の細胞を残さず消滅させ、吹き飛ばしていく。視界を確保できない程の光があふれ出し、直後に起こる大爆発。文字通り、その肉体を吹き飛ばした。
けれどまだ、その神秘の反応は、残っている。
……エレナ。悪いけど代わってくれる? うん。ありがとう。
爆発の光が収まり行く中で、エレナに体の主導権を代わってもらい。私が前へと出る。自然と肉体も再度作り替えられ、私を素体としたものに。
「まぁ相手さんは神だ。肉体がなくても、“格”さえ残っていればまぁ……。戻ってくるよね。」
フアナの攻撃によって消し飛ばされた女神であったが、爆発が収まった空に、無から肉片が生み出されていく。そして瞬時に人の体へと形成されたソレは、再度この世に生れ落ちてしまった。その過程の中でまた神秘を増やしたのだろう。よりその濃度が、混ざりものの多さが、極まっている。
そろそろ、か。
「まったく生き汚いことで。これだけやられてもまだ死なないとか。ちょっと引くんですけどォ~。」
『ッ! 貴様貴様貴様ッ!!!』
そう叫びながら、爪をもって切りかかってくる女神。確かに最初に比べて力は強くなっているようだが……。ソレだけだ。合一化が解かれたオリンディクスをもって。それを受け止める。
「お前、そろそろ限界が近そうだけど、いいの? このままじゃ神じゃなくて、バケモノとして死ぬことになりそうだけど……。まぁティアラちゃん的には? どっちでもいいんだけどォ?」
『ふざけ、ッ!!!』
そう叫ぼうとした女神の首を、槍で両断する。即座にその首を腕でつかみ再生しようとする女神だが、まぁそのおかげでお腹ががら空きだ。全力で蹴りつけながら同時に強い振動を与え、内臓を全て破裂させてやる。くっつきかけていた首の裂け目と、口から吐き出される大量の血。
そう、“血”だ。
『…………え。』
回復の為に、その権能をより強く使用し、神秘を濁らせてしまったのだろう。
ついにその神格が、裏返る。
それを奴が理解した瞬間。それまでその肉体に収まっていたものが、どんどんと溢れ出てくる。
『え。ぉ、ぉお、おゴ? GOgARY?』
「あーあ。言ったのに。」
どんどんとその肉が膨れ上がって行き、まだ人の形を保っていた存在が、醜く膨れ上がっていく。私の知る原作におけるラスボスの姿へと変貌していくその存在には、すでに神秘の欠片も感じない。2柱が持っていた権能も、扱うことが出来ないだろう。
これまで食い散らかしていた存在たちに浸食され、飲み込まれた存在がこいつだ。もう人語を解すこともできない。出来たのなら神のまま、その憎たらしい顔を延々と消し飛ばしてあげたかったんだけど……。仕方ないね。せめて最後は“使徒”として、相応しい死を送ってあげようじゃないか。
「オリンディクス、ディフェクト。お願いね。」
私達の愛槍にそう頼みながら、自身の背に宿るアユティナ様の紋章を強く浮かばせる。そしてその二つの斧が交差する紋章に向かってオリンディクスとディフェクトが吸い込まれていき……。紋章が、書き換えられた。アユティナ様の使徒でありながら、“私達”である事の証明。
全身からあふれ出る、神秘。肉体が白く光り始め、二槍によってより自身の格が向上したことを、理解する。
これが私たちの最終フォームって奴?
「「「さぁ、フィナーレと行こうか。」」」
この身に宿る全てのエネルギーが奔流となって流れ始め。2対の翼が高度を上げて行く。ただの化け物となってしまった女神たちの先に向ける掌には、ただの光の球体が、生成された。
「んじゃ、ばいばーい。」
“神”の光が、落とされた。
◇◆◇◆◇
それからの話をしよう。
まぁ色々あったというか、あり過ぎたんだけど……。まぁ簡単にまとめるとすれば、大勝利って感じだった。
無事最後の攻撃で女神だったモノを吹き飛ばすことが出来た私たちは、この大陸を3000年間占拠していた悪辣な神を討伐し、アユティナ様の手の元に戻すことが出来たわけだ。色々と混乱はあるだろうけれど、まぁそれも長くても数百年程度のもの。時間が経つごとに元の姿に戻り、神に見守られながら人は発展を手にしていくことだろう。
ある程度落ち着いた後、みんなでアユティナ様の元に行ったんだけど、あの方は本当に楽しそうにしていた。たぶんこれから始まる人の進化と成長が楽しみで仕方ないんだろうね。
(……というか、あの時アユティナ様が抱いていた二人の赤ん坊は何だったんだろ? どこかで見たというか、白と黒というか、なんかこれ以上考えない方が幸せというか……。うん、気にしないでおこ!)
実はあの最後に放った光。どうやらあの時私たちは神格を得るまでに至っていたらしいんだけど、三人とも別に神になる気なんてないし、それぞれ自分の生活がある。と言うことで戦闘後は普通に分裂し、元の姿に戻りながらみんなのとこに戻る形となった。
その後はまぁ、戦後処理だよね。
皇帝は捕まえたわけだし、帝国はクソ女神のせいでボロボロ。組織的な抵抗が出来るはずもなく、正式に帝国はその歴史に幕を下ろすことになった。しばらくの間は属国化して統治していくみたいだけど、徐々にその国境線が消えていき、一つの国になっていくことだろう。墳墓にいるヘイカによると、3000年前のクソ女神たちがこの世界に来るまでは一つの国に纏まってたみたいだし、ようやく元通りになるって感じなのかな?
んで、王都に戻った後は第二王子とか国王に迎えられたわけなんだけど、またアイツ凄いこと言い始めてさ。『これどうしたらいいの? どう考えても王国帝国合わせて大陸丸ごとプレゼントしないと釣り合わないのでは?』とか言い出してさぁ。別に褒章なんていらないのにねぇ? 正直公爵だってあんま要らないし。
(だから固辞したけど、流石に何ももらわないのはダメってことで、公爵位のさらに上。大公ってのに私とエレナが成ることになった。まだエレナは成人するまで“令嬢”って立ち位置に収まるらしいけど、私ももう大公様になっちゃったわけだ。わぁ、どうしよ。って感じだよねー。)
実際色々困ったのよ。領土運営のコトとか全く解らんのに領土増えたし、家臣団の結成とか無理だし。というか国から人材送ってもらう話も、帝国占領しちゃったせいで人手不足だから無理ってなっちゃって……。もう大変。五大臣の元部下とかを後光で洗脳して無理矢理廻してたけど、それでも結構きつかったのよね。
マジでフアナが居なけりゃどっかで破綻してたわ……。
ヘイカの元でいつの間にかそういう経営術を学んでいた彼女は、『妻としての役目を果たしますわ~!』なんて気合入れながらとんでもない速度で仕事を処理していった。あ、これ私要らない奴じゃんってすごく思ったよね。まぁ領地経営の時も色々というか、“アイツ”が何か復活したと思えばTS化して攻め込んできたりとか、色々あったんだけど……。あ、ごめん。ちょっと辛いから思い出すの辞めていい?
(まー退屈することはなかったよねぇ。)
他にも色々あったんだよね、うん。なんかフアナの魔法が失敗して古代も古代に飛ばされたりとか、なんか急に別世界線にお呼ばれしたとか、死んでも死にそうにないアイツのコトとか、子供のコトとか……。ほんとに、退屈だけはしなかった。
けどまぁ、ちょっとここで話すのにはスペースが足りなそうだし。
それはまた、別のお話、ってことで。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一旦こちらで完結となります、長期間お世話になりました。
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面白くて更新が早い!最近の生きがいです。素晴らしい作品をありがとうございます。
あ。ヤバイです。変態ロリコンがかっこよく見えちゃいましたwwwしにさらせとか思ってたのにwww
まぁ変態ロリコン野郎ですからね、あいつ……。
まさか、帝国女神の使徒は黒騎士…?😱
いつも楽しみにしていまーす!
更新大変かと思いますが、応援してます!( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧
ありがとうございますー! 頑張りますね!