クソガキ、暴れます。

サイリウム

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原作開始前:聖戦編

81:対峙

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「おぉ、まーた派手にやったな。」


軽く空を見上げてみれば、大空に出来上がった二つ目の太陽。おそらく魔法で生成された火球に神秘を混ぜたが故にそうなっているのだろう。異様に込められた魔力が神秘と反応することで常識を超えた出力を発揮している。あまり速度は出ていないので回避自体は簡単だろうが、当たれば私よりも魔法への抵抗力が高いナディでも結構なダメージを覚悟しなければならないだろう。

そんな火球を放ったのは、いつの間にか背中から真っ黒な羽を生やした私の“孫”。息子がいたころはどんどんと成長していく姿に感心したものだったが……、あいつはまた別格だな。色々とおかし過ぎる。『男子三日会わざれば刮目して見よ』、だったか? ティアラは3秒でいいな。

そう考えていれば、同じように空に視線を送っていた“初代使徒”サマが何の感情も読み取れない様な顔で、口を開く。


「……今代が死んだか。」

「おん? それにしては反応は薄いな。大事な大事なお仲間だろう? それにあの感じ、回収される前に全部消し飛ばされてるぜ? もう二度と復活できないってのに、淡泊だねぇ。」

「何もできぬ使徒など存在する価値すらない。女神の気を煩わせるほどの力しかないのなら、早々に消えた方が奴のためになっただろう。」


……おー、こわ。こいつはガチの狂信者さんだな。心の底からそう信じ切って言ってやがる。これじゃあ死んでいった奴も浮かばれないだろうに。まぁあの女神を信じる奴らからすればそっちの方が“ウケ”がいいのかもしれんが、もし自分が同じ立場だったらキレてぶち殺しに行くだろうな。

ま、その点こっちは色々とマシそうで安心だ。トップのティアラは確かに狂信者ではあるが人の情を理解していない奴ではない。クソガキっていう言葉が相応しいが、本当のクソではないからな。そしてそんな孫が信じる神も、人を人として扱うタイプの奴だ。未だにちゃんとした信仰は出来てねぇが、孫を預けるぐらいならしてやってもいいと思える相手。……暴走しまくるアイツの手綱握ってくれるしな。


「っと、アイツがしっかり決めたんだ。私も仕事しなくちゃ婆として面目立たないな。」

「……すでに実力差は理解しているはずだ。今更何をしようが、結末は変わらん。」

「お堅いことで。」


そんな面白味もない回答をするコイツを、鼻で笑ってやる。まぁ事実、このままでは眼前の使徒サマをぶっ殺すのは不可能に近いだろう。私と同じ基礎能力でゴリ押すタイプ。けれど経験や技術を蓄積し身に着けていないわけではない。ほぼすべてにおいて自身の上位互換。確かにこのままでは勝てるか怪しい、いや勝てないと言っていいだろう。

だからまぁ……、ズルをさせてもらう。なに、あっちも“神秘”っていう訳解らんの使ってるんだ。私も“神”の力を借りても文句ないだろう?


(というわけでアユティナ、“アレ”やってくれ。)

【お! ようやくオリアナさんが頼ってくれた! デレ期来た!?】

(ティアラみたいなこと言ってんじゃねぇよ。)


昔はティアラを介してやり取りしなければならなかったが……。信者やアユティナという神を認知するものが増え、よりその力を増しているのだろう。私の問いかけにすぐに反応し、そう返してくるアユティナ。私と同じようにティアラの成長を喜んでいるのか、それともこれから始まるのであろう女神の殴殺が楽しみなのか、非常に気が乗った声を返してくれる。

気持ちは解らんではないが、今は戦闘中だ。手早く頼むぞ。


【あはは! ごめんね、ティアラちゃんがようやく到達してくれたのがうれしくてね。これからのことを考えるとテンションがおかしくなっちゃってるのよ! んじゃ、さっそく始めるよ!】


奴がそう言葉を放った瞬間、私の胸の奥で何かが弾け、全身から湯気が噴出し始める。まぁ話は聞いていたが……、傍から見ればただのびっくり人間だな。


「ッ! 何を……!」

「実力ではそっちの方が上、更にそこに神秘っていう面倒なもんが追加されてる。」


どんどんと、体が“元”に戻っていく。肉体の強度が徐々に上がり、全身を纏う肉の質が向上し、声も年のせいで少し皺がよっていたものに、ハリが戻ってくる。これが潤いってやつか? 失ってからこそ、重要さに気がつくって言うのは身に染みて理解していたが……。戻ってくるとはねぇ。


「けど私はワガママでね。得体の知らない力ってのは好まないんだ。何事もシンプルに解決する。まぁ年のせいで色々面倒なことを考えなきゃやっていけなかったんだが……。」


今はもう、関係がない。

既に長く感じていなかった全身に血が駆け巡る感覚を覚えながら、自身を纏っていた白い湯気を全て吹き飛ばす。


【『万全』の槍鬼で足りないのならば! 『最盛期』の槍鬼に戻してしまえばいい! 迸る若さ! 頂点に達した肉体! それがそれまで蓄積された技術によって強大な暴力となり放たれる! まさに鬼! オーガ! 最強のお婆ちゃんの再誕だァ!!!】

「えらくテンション高いな……。」


そう言いながら、軽く槍を地面に突き刺し、懐に入れてあった紐を取り出す。髪も色艶を取り戻しており、毛量もだいぶ戻って来た。後ろで結んでいなけりゃ邪魔になるだろう。子供を産む前のことを思い出しながら、久方ぶりに髪を結う。


(んでアユティナ様よ、この“奇跡”の代償って幾らなんだい? やっぱり若返りは寿命で払う、って感じか?)

【え、要らないんだけど寿命とか……。普通に晩御飯のおかずとかでいいよ?】

(……いっつも思うが、おかず要求して来る神って色々どうなんだ? 威厳もクソもないぞ?)

【えー! んじゃまた今度ふらっと下界降りるからその時にご飯奢ってよ。あ、あと若返りの効能は3時間だけだからね! それが終わったら元に戻っちゃうから気を付けるように!】


へいへい。了解。んじゃどっか美味い飯屋でも……、ん? お前こっち来るって言ったか?

……いや、今気にしても仕方ない話か。考えないようにしておこう。というか結局メシに落ち着くんだな。普通神ってもっと色々エグイ代償、寿命とか親族の命とか大量の生贄とか、そういう物を持って行くんだと思ってたが、案外食い意地張ってるのかね? まぁアユティナだけかもしれんが。


「さて、残り3時間か。……ま、“神殺し”してもお釣りが来そうだな。」

「女神を、殺す、だと?」

「おう、そうだぜ? こんな感じに、なッ!!!」


若くなった体の試運転がてら、強く踏み込み距離を詰める。上がり過ぎた力の扱いを少し間違えてしまい、踏み込んだ地面が消し飛んだ気がするが……、まぁ後で埋めればいいだろう。

奴がこちらの姿を認識するよりも早く接近し、その顔めがけて拳を叩き込む。

けれどまぁ、相手も熟練の使徒サマだ。体に染み込んだのであろう動きで、両腕を前に出しガードの構えをとる。先ほどまでの私ならばそこで受け止められて終わりだっただろうが……、今はもう違う。構えられた両腕を単純な腕力だけで押し破り、その鼻っ面に拳を叩き込む。


「オラァッ!!!」

「ッ!」


そのまま吹き飛ばされる使徒、とっさに全身から力を抜きダメージを最小化しようとしたのだろうが……。そんなもの、“圧倒的”な力の前では何の意味もない。明らかに顔面の一部を砕かれた使徒サマ。昔じゃ整った顔って言われてたかもしれねぇが……、今はそのグチャグチャになった顔の方がイケメンだぜ?


「き、貴様……ッ!」

「にしてもいいなぁ、“若さ”って。何もかもが自由だ! ははは! 確かにこりゃぁ不味いな! 愉しくてしょうがねぇ!」


ティアラの奴が毎日毎日無駄に笑っていやがった気持ちも解るってもんだ。頭で思い描いた以上の動きが出来て、どれだけ動こうとも疲労がたまる気配もない。やろうと思えば一月ぶっ続けで殺し合いが出来そうなほどに、純に澄み切った肉体! これが若さか! あ~、三時間ってのがもったいないな。


「これは終わった後も死ぬ気で体鍛えねぇとな。今の私多分20代前半ぐらいだろ? となればティアラも後10年ぐらいにこれに到達するんだ。アイツが大人になって大人しくなるとか考えられないし、頭ブッ叩いて止められるようにしとかねぇと……。」

「何をごちゃごちゃとッ!」


そう言いながら、槍を持って切りかかってくる初代サマ。


「あぁ悪い悪い。お前さんが遅すぎてよ?」


おそらく奴にとっての全力。それを軽く受け止め、押し返してやる。先ほどまでの立場が逆転したかのように、奴が死に物狂いで連撃を叩き込み、こちらがそれを涼しい顔をしながらはじき返していく。アユティナが私に施した若返りは、ただ肉体の時間を巻き戻したものではない。

言わば普段の状況の私から、老化という“デバフ”を消し去った姿。つまり現役時代よりも強くなった今の私が、そのまま若くなったんだ。そりゃぁクソ強くなるよな、って話だ。


「まぁ確かに、技術や経験はお前さんの方が上だろう。これはそう簡単に手に入るもんじゃねぇ。……だがお前さんも言った通り、んなもん“圧倒的な力”の前じゃ全て無力。」

「グッ!」

「じゃぁ……、気張れよッ! 槍鬼サマのご降臨だぜぇぇぇ!!!」


さっきよりも何倍も早く視認できるようになった世界で、何倍も速く攻撃を打ち込んでいく。

一撃一撃ごとに奴の体が軋み、壊れていく。三度打ち込むころには奴が持っていた武器など粉々に砕け切ってしまっており、五度目にはその身に纏っていた鎧も全て消し飛んだ。十度殴ればもうただのぼろ雑巾であり、生きているのかすら怪しいレベル。

まぁ準備運動くらいにはなったんじゃねぇか?


「さぁ! 終わりにしようかッ!」


既に物言えぬ体になってしまった初代サマを一度地面に叩き込み、大地を割る。そしてその衝撃で跳ね跳んだ奴と地面の間に槍をぶち込み、そのまま空へと吹き飛ばす。


「ティアラッ!」


私がそう叫べば、アイツも理解しているのだろう。空にいくつもの“空間”が開かれ、足場が生成されていく。その一つに手を掛け、そのまま大空へ。そしてもう一度足場とし大空へ飛び上がることで、先に飛ばされた使徒サマよりも上空に到着する。

後は、撃ちあがって来た奴ごと全部吹き飛ばすだけ。

格段に総量が増え、廻しやすくなった全身の魔力を叩き起こし、そのまま槍にぶち込んでいく。先ほどよりもより鮮やかな赤に、そしてより刺々しくなった魔力が【アダマントの槍】に集まって行き……、巨大な赤い槍が出来上がる。正直柄じゃねぇが……、今は若いんだ。少しぐらい羽目を外しても構わねぇよな!

ぶち抜けッ!


「『紅の滅槍グングニル』ッ!!!」


放たれた真っ赤な槍は、初代使徒の腹部へと確実に突き刺さり、その肉体を消し飛ばしながらそのまま王国教会の本陣へ。桁違いの腕力と規格外の魔力によって生成されたソレは陣地に生成されていた女神の障壁すら簡単に打ち破り、内部へと到達。そして大地へと接した瞬間、すべてが爆発する。

一瞬にして紅い魔力が辺りを包み込んでいき、消し飛ばしていく。

天に伸びた真っ赤な巨柱がその威力を表しており、この場にいた全員に『もうこれ以上使徒が復活することはない』、そして『すでに王国教会は敗北した』という二点を嫌でも理解させる光景を作り出していた。


「……あ~ッ! やっぱダメだわ! クソ恥ずかしいッ! いい年して技名とか叫ぶんじゃなかった!!!」







 ◇◆◇◆◇






「いやこんなヤバいことしでかしておいて、そんなこと言う?」


私が作り出した“空間”の足場に立ちながら、顔を真っ赤にして恥ずかしがるお婆ちゃん。……いやなんか若くなってるし、お婆ちゃんというよりも年の離れたお姉ちゃんって感じかも。お肌ぴちぴちだし。なんか色々とヤバい。すごく、すごくえっちです!


「あ、ティアラ。……さっきの聞いてた?」

「グングニル、だっけ? いいじゃんかっこよくて。それに威力も申し分なしだし。……アレどれだけ破壊してるんだろ? 大地エグイ深さまで抉れてない?」

「違う、違うんだよ! こんな孫もいるような婆があんなこと口走っちまったかと思うと……!」


色々と耐えかねるモノがあるのだろう。そう言いながら強く恥ずかしがるお婆ちゃん。

私としてはそんなことよりも、技の威力に若干引いているのだが……。あ、あのさ? タイタン。アレ絶対今の私達じゃ攻略不可能というか、どう足掻いても直撃したら死ぬよね……。うわぁ。

いやタイタンと合体してるから移動力も上がってるし、効果範囲外に逃げること自体は可能だと思うのよ。けれど少しでも掠ったらその部位の肉体全部持って行かれるだろうし、直撃したら全身消し飛ばされちゃう。え、何? オリアナさん戦略核兵器にでもクラスアップしたの?


(もうお前だけでいいんじゃないかな、ってレベルだよね……。)

(プ……。)


おそらくというか、確実にさっきの攻撃に使った【アダマントの槍】はぶっ壊れているだろう。回収が面倒なので辺り一帯を切り取って空間にぶち込みながら、アユティナ様に新しいオリアナさんの槍を要請する。すると神も予め用意してくださっていたのか、秒で12本セットが飛んできた。即座にその中の一本を取り出し、お婆ちゃんに投げ渡しておく。

流石槍鬼というべきか、顔を真っ赤にしながら両手で顔を覆ってしまっていたとしても、飛来物には敏感なのだろう。何でもないように槍を受け取りながら、先ほどと同じように恥ずかしがっている。……お、オリアナさん? 多分この後、神との戦いなんでもうそろそろ元に戻ってもろて……。


「あ、あぁ。そうだな、ちょっと待ってくれ。今深呼吸するから……、ッ!!!」


彼女がそう言った瞬間、ほぼ同時にこれまで感じたことのない程に巨大な“神秘”を察知する。この戻してしまいそうなほどに気持ちの悪い神秘、どう考えても王国の女神『ミサガナ』のモノだろう。

一瞬だけオリアナさんと視線を交差させ、周囲を伺う。


『……誰かと思えばその気配、アタシに負けた奴のじゃない。飛んできて失敗だったかしら?』


酷く耳に障るうざったい声、前世ゲームで遊んでいたころは特に強い感情を抱いたことはなかったが……。世界がひっくり返ったとしても決して相容れない奴の声が辺り一帯に響いてくる。そして、その声と同時に置き始める、異変。この戦場に散らばっていた神秘たちの反応が乱れ始めていく。

視界の端を確認してみれば、未だ生き残っていたのであろう使徒、また復活できずに灰となり死んだ使徒、そしてオリアナさんによって消し飛ばされたはずの教会陣地から“神秘”が再度宿り始める。残っていた肉体すらも全て“神秘”に変換し、後には何も残らない。光の粒の様なものが次々と生成されていく。

けれどそれが形を保つことはなく、ある一点。

私たちの眼前目掛けて、集まり始めた。

そんな神秘の粒たちは一度球体に固まり、再度動き始め形を整え始める。

ゆっくりと四方に線を伸ばしたそれが形作るのは、人型。作中で何度も見ることになる、女性の肉体を形成していく。……神そのものが肉体をこの世界に降ろそうとしているのではない。自分に従っていた使徒たちの肉体を分解して再構成することで自身の分身を生成しようとしているのだ。

まるで、自分がわざわざ下界に降りる必要などない、という様に。


(……嘗めやがって。)


私がそう強く意識した瞬間、神秘が完全に肉体を形成しきり、生み出された神の人形が、目を開く。


『……へぇ。やっぱりアイツって趣味が悪いのね。ちんちくりんに、筋肉達磨。そんなものが信者だなんて美意識が成ってないわ。まぁそれだからアタシに負けたんだろうけど。あははッ!』

「ふぅん。神のくせに自分から出てこない臆病者がそんなこと言うんだ。そのご自慢の美意識って奴、もう腐ってるんじゃない?」

『あらぁ? おチビちゃんの方はお口も悪いのねぇ。そんな子しかいないないなんて、同情しちゃうわぁ。……ケドそこの赤いの。お前は厄介ね。』


神の人形がそう言った瞬間、手を上げる。

即座に構える私とオリアナさんだったが……、3000年間無駄に神秘を貯め続けただけあるのだろう。こちらが視認できるよりも早く膜の様なものが展開され、オリアナさんだけが弾かれてしまう。その後私と神の人形を大きく囲むのは、何重にも編み込まれた神秘の檻。……相手を私だけに限定したのか。


『確かお前たちの言う……、“一騎討ち”だったかしら? アタシは優しいからね。用意してやったわ。』

「よく言う、“勝てない”奴だけ弾いたくせに。」


おそらく図星だったのだろう。人形の表情が一瞬だけ固まるが……。すぐにムカつく笑みを浮かべ始める。こちらのことを見る目は依然として養豚場のブタを見るような眼。こちらを脅威とは全く思っておらず、まるで『暇だから遊んでやろう』というものだった。

一瞬だけ後ろを確認してみれば、吹き飛ばされたオリアナさんが飛んできたナディさんに回収されている。

そのまま私たちを大きく包み込んだこの神秘の膜を破壊しようとしてくれているようだが……、びくともしていない。オリアナさんもナディさんも、自力で神秘を生み出すことはできない。そしてアユティナ様から神秘を借りたとしても……、ちょっとこれを破るのは難しいだろう。

二人はまだ神秘の扱いに慣れていない。使徒ではない二人は、神秘を扱うのではなく、神秘を打ち破る方針を取った。私のサポートや神器を扱えばそちらの方がダメージ効率がいいのは確かだけど……。おそらく『ミサガナ』の神秘によってかく乱され、この檻の外に“空間”を開けない今。その選択が裏目に出てしまった。


(こいつ、確実に私が使徒であることを見抜いた上で、閉じ込めていやがる。)


神にとって使徒は信者以上に大切なものだ。神の代弁者でもある私たちがいることで、神はより人の世界に干渉することが出来る。いれば信者をより増やすことが出来て、失えばそれまでの信者が離れてしまう要因になる。眼前の女神にとって、使徒を殺すということはアユティナ様の力の供給源を握りつぶすことに他ならない。

そして私が死に、信者が死に、アユティナ様を知る者が世界から消えれば、またあの方は、この世界から追い出されてしまう。

だからこそ奴は、私を神秘の檻に閉じ込め、確実に殺し切れる状況を作った。……私からすれば違うけど。


【……ティアラちゃん、どうする? いけるよ。】

(いえ! まだいいです! 私にやらせてくださいっ! 一回ぶん殴らないと色々気が済まない!)


アユティナ様の問いかけにそう答え、槍を構え直す。自分で檻を作って閉じ込まれてくれたんだ。お前は私を閉じ込めたつもりかもだけど……、逆だ。


『さぁ、愚かな神を信じた愚かな人類よ。せいぜい足掻いてアタシを楽しませるといいッ!』

「……あははッ! そのふざけた口を縫い合わせてやるッ!」


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