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第2章 不幸な子、幸運の子
9話 シスター
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教会へと連れて来られた次の日、私はジョンさんに色んな所に連れていってもらうことになった。
日本の服は外出ると目立つからと新しい服を用意してもらって、お風呂に入る。出かける準備。
新しい服は、元々私が着てたフリルの服よりもだいぶんシンプルで少しだぼっとした印象の服だった。無地で装飾もなく、少し生地も荒い。ここはあまり衣服の技術が発展してないのかも。……なんて、お世話になっておいて文句なんて勿論言わないけど。心の中で留めとく。
お風呂は軽く50人は入れそうなくらい広い。大浴場が教会にあるだなんて予想外。ましてや花風呂なんて。いい香りだけど。
ふう、と一息ついていたら、他にも人がいたことに気づく。しかもこちらを厳しい目で見ている。シスターさんだ。
シスターさんの服はもちろん着ていなく、下ろされた長い髪のシスターさんは昨日見たよりも更に美しかった。
「本当にジョンさんと一緒に暮らしてるんですってね」
急に声を掛けられて、少しビックリした。まさかシスターさんから声を掛けてくるなんて。
「そうなんです。あ、私は姫川アイです。よろしくお願いします」
ペコッと頭を下げる。そういえば自己紹介がまだだったからついでにすることにした。
シスターさんはこちらを怪訝そうに見ていた。
「よろしくだなんて、したくないですわ。他所から来たことを理由に、マリア様に近寄ろうとする方なんてろくな方じゃないってきまってます」
ふん、とそう言ってシスターさんはそっぽを向いた。にしてもマリアさんに近寄ろうと、だなんてもしかしてシスターさんはマリアさんの事が好きなんだろうか。
それで私にここにいて欲しくないと、そういう事なのだろうか。勝手に在らぬ疑いをかけられるのも嫌だから否定する。
「私はそんなこと考えていません。居場所がなくてここを紹介してもらっただけです」
「そうおっしゃっていても、どうせ皆マリア様の事を好きになるんですわ。女性も男性も恋をしてしまう美貌の持ち主なんですもの。加えて性格も神様のように美しいですから」
確かに、麗しい顔をしていたし、優しかったけども。けど、そんなことでは私は人を好きにならない。他ならぬ、龍也が好きなんだから。失恋してもなお。
「私は好きになりませんよ。他に、好きな人がいますから」
「ふん、どんな殿方か存じ上げないですけど、マリア様より素敵な殿方なんておりませんわよ」
私からしたら龍也が1番かっこいいです、と言い返そうとしてやめる。このシスターさんは事実として言っているのではなく、好きだからそう思っているのだと気づいたから。
この人はただの恋する乙女なんだ。そう考えると、頬を膨らまして怒っている姿はとても愛らしい。元から愛らしい顔ではあったけど。つい、笑みがこぼれる。
「ちょ、何笑っているんですの!こっちは真剣に話してるんですのよ!?」
「私はその人のことが好きなんですよ。シスターさんがマリアさんの事を好きなように、私もその人のことが好きなんです」
「す、好きなんかじゃ……」
顔を真っ赤にして俯くシスターさん……か、かわいい。写真撮りまくりたい。
するとおもむろにシスターさんがお風呂からあがる。どうしたのだろうか。なんて思っていたらこちらを振り返った。
「シスターではなくて、あやめです。名前。あと、マリア様の事はマリア様のお呼びしてください」
そう言うとまた前を向いて走り去って行った。
お風呂場で走るのは危ないよ、と思ったけどこけなかったからいいか。
それよりよりも、名前を教えてもらった。シスターさんは名前までかわいいみたいだ。
日本の服は外出ると目立つからと新しい服を用意してもらって、お風呂に入る。出かける準備。
新しい服は、元々私が着てたフリルの服よりもだいぶんシンプルで少しだぼっとした印象の服だった。無地で装飾もなく、少し生地も荒い。ここはあまり衣服の技術が発展してないのかも。……なんて、お世話になっておいて文句なんて勿論言わないけど。心の中で留めとく。
お風呂は軽く50人は入れそうなくらい広い。大浴場が教会にあるだなんて予想外。ましてや花風呂なんて。いい香りだけど。
ふう、と一息ついていたら、他にも人がいたことに気づく。しかもこちらを厳しい目で見ている。シスターさんだ。
シスターさんの服はもちろん着ていなく、下ろされた長い髪のシスターさんは昨日見たよりも更に美しかった。
「本当にジョンさんと一緒に暮らしてるんですってね」
急に声を掛けられて、少しビックリした。まさかシスターさんから声を掛けてくるなんて。
「そうなんです。あ、私は姫川アイです。よろしくお願いします」
ペコッと頭を下げる。そういえば自己紹介がまだだったからついでにすることにした。
シスターさんはこちらを怪訝そうに見ていた。
「よろしくだなんて、したくないですわ。他所から来たことを理由に、マリア様に近寄ろうとする方なんてろくな方じゃないってきまってます」
ふん、とそう言ってシスターさんはそっぽを向いた。にしてもマリアさんに近寄ろうと、だなんてもしかしてシスターさんはマリアさんの事が好きなんだろうか。
それで私にここにいて欲しくないと、そういう事なのだろうか。勝手に在らぬ疑いをかけられるのも嫌だから否定する。
「私はそんなこと考えていません。居場所がなくてここを紹介してもらっただけです」
「そうおっしゃっていても、どうせ皆マリア様の事を好きになるんですわ。女性も男性も恋をしてしまう美貌の持ち主なんですもの。加えて性格も神様のように美しいですから」
確かに、麗しい顔をしていたし、優しかったけども。けど、そんなことでは私は人を好きにならない。他ならぬ、龍也が好きなんだから。失恋してもなお。
「私は好きになりませんよ。他に、好きな人がいますから」
「ふん、どんな殿方か存じ上げないですけど、マリア様より素敵な殿方なんておりませんわよ」
私からしたら龍也が1番かっこいいです、と言い返そうとしてやめる。このシスターさんは事実として言っているのではなく、好きだからそう思っているのだと気づいたから。
この人はただの恋する乙女なんだ。そう考えると、頬を膨らまして怒っている姿はとても愛らしい。元から愛らしい顔ではあったけど。つい、笑みがこぼれる。
「ちょ、何笑っているんですの!こっちは真剣に話してるんですのよ!?」
「私はその人のことが好きなんですよ。シスターさんがマリアさんの事を好きなように、私もその人のことが好きなんです」
「す、好きなんかじゃ……」
顔を真っ赤にして俯くシスターさん……か、かわいい。写真撮りまくりたい。
するとおもむろにシスターさんがお風呂からあがる。どうしたのだろうか。なんて思っていたらこちらを振り返った。
「シスターではなくて、あやめです。名前。あと、マリア様の事はマリア様のお呼びしてください」
そう言うとまた前を向いて走り去って行った。
お風呂場で走るのは危ないよ、と思ったけどこけなかったからいいか。
それよりよりも、名前を教えてもらった。シスターさんは名前までかわいいみたいだ。
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