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第1章 信じること、信じたくないこと
4話 ジョン
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少し奥に行ったすぐそこに、扉はあった。
「ジョン、開けるぞ」
3回ノックして声を掛けてイマイさんが中に入る。例のジョンさんであろう人は寝ていて、それで返事がなかったようだ。……声をかけたとはいえ、勝手に入っていいのだろうか。
「おい、ジョン。起きろ」
「んー?あ、イマイだー」
イマイさんに叩き起されて、ジョンさんはむにゃむにゃと言いながら起きた。
髪も目も澄んだ金色で、爽やかさのある好青年だ。歳は20代後半くらいだろうか。イマイさんやマリアさんやシスターさんとは違う、少し親しみのある感じがする。気のせいだろうか。
「どうしたの?それに…女の子?」
「あぁ。異国人らしい」
「えぇ!?異国人なの!?ほへぇ~、君もか」
「君も、ってもしかしてジョンさんも!?」
「そう。僕も異国人なんだ。フランスっていう国の」
「フランス!!知ってます!私は日本から来たんです!」
「君も地球から来たんだね~」
まさかのまさかだった。私と同じ、異国人の人がここにいたなんて。しかもフランス。道理で親しみがあるはずだ。日本でフランス人は何度も見かけたことがある。
「話が合うようで良かったな。という訳で、しばらく面倒見てやってくれ」
「この子を?イマイの頼みなら全然引き受けるけど……いいの?彼女は立派な女性でしょ。僕、これでも男だし」
ほわほわしてる性格かと思ってたけど、意外としっかりしているみたいだ。けど、面倒を見るくらい。ここはシスターさんもマリアさんもいるから大丈夫でしょ。
「私は気にしませんよ」
「気にしませんよ、って君ね……ここは部屋がないから僕と同室になるってことだよ?間違いがあったらどうするの」
「間違いって……同室なんですか?」
シスターさんがいたけど、シスターさんと同室じゃ駄目なのかな……さすがに同室は。
「まあいいか。僕は何もする予定ないし、大丈夫だよ。君が襲ってこない限りは」
「お、襲いませんよ!?」
「冗談だよ」
そう言ってジョンさんが笑う。
初対面なのにとんでもない冗談を言うな……。外国人らしいというか。
「けど、ごめんね。同室なのは本当なんだ。シスターと同室なんてことはほぼ不可能だよ」
「大丈夫ですけど、なんで不可能なんですか?」
泊めさせてもらう側だし、文句は言えないよね。言わない。けど、不可能って。確かにさっき睨まれた気がするけど。
「まぁ、彼女にも色々あるのさ。仲良くなってみたらわかるんじゃない?」
睨んできた人と仲良くか、できるかな。
「あの、同室を許可していただいてありがとうございます。その、衣食住のあてがなくて。助かりました」
「どういたしまして。懐かしいな。僕もそんな時期があったなー」
「ジョンさんもここに来ていたんですか?」
「まあね。困ってた時にマリアに会ってね」
ジョンさんとは気が合いそうだ。仲良くなれるかもしれない。同室になるし、地球のことも色々と話したいな。
「あ、そうだ!イマイさんも色々とありがとうございました」
「あー、イマイなら君が『気にしませんよ』って言ってた時くらいから帰っていったよ」
「え、お礼がしたかったのに」
気にしませんよ、って同室かどうかも分からなかった頃じゃん。結構前から居なくなってたんだ。気づかなかった。
でも確かに、途中から会話に参加してなかったかも。ここのことよく分からないし、また会えるかどうかも分からないのに。お礼、どうしよう。
「うーん。またイマイに会いに行くと思うし、その時に一緒に行こうよ。この国の紹介がてらね」
「ありがとうございます。そうします」
この国について紹介してくれるのは本当に助かる。ありがとうジョンさん。
「あ、私は姫川アイです。日本出身の17歳です。改めて、よろしくお願いします」
自己紹介をする。私ある個人情報は、これくらい。今は親も家も友達も持ち物だってない。身長や体重は……言わなくていいよね。
「ジョンです。よろしくね」
そう言って笑うジョンさんは、少し怪しい雰囲気だったような気がした。
「ジョン、開けるぞ」
3回ノックして声を掛けてイマイさんが中に入る。例のジョンさんであろう人は寝ていて、それで返事がなかったようだ。……声をかけたとはいえ、勝手に入っていいのだろうか。
「おい、ジョン。起きろ」
「んー?あ、イマイだー」
イマイさんに叩き起されて、ジョンさんはむにゃむにゃと言いながら起きた。
髪も目も澄んだ金色で、爽やかさのある好青年だ。歳は20代後半くらいだろうか。イマイさんやマリアさんやシスターさんとは違う、少し親しみのある感じがする。気のせいだろうか。
「どうしたの?それに…女の子?」
「あぁ。異国人らしい」
「えぇ!?異国人なの!?ほへぇ~、君もか」
「君も、ってもしかしてジョンさんも!?」
「そう。僕も異国人なんだ。フランスっていう国の」
「フランス!!知ってます!私は日本から来たんです!」
「君も地球から来たんだね~」
まさかのまさかだった。私と同じ、異国人の人がここにいたなんて。しかもフランス。道理で親しみがあるはずだ。日本でフランス人は何度も見かけたことがある。
「話が合うようで良かったな。という訳で、しばらく面倒見てやってくれ」
「この子を?イマイの頼みなら全然引き受けるけど……いいの?彼女は立派な女性でしょ。僕、これでも男だし」
ほわほわしてる性格かと思ってたけど、意外としっかりしているみたいだ。けど、面倒を見るくらい。ここはシスターさんもマリアさんもいるから大丈夫でしょ。
「私は気にしませんよ」
「気にしませんよ、って君ね……ここは部屋がないから僕と同室になるってことだよ?間違いがあったらどうするの」
「間違いって……同室なんですか?」
シスターさんがいたけど、シスターさんと同室じゃ駄目なのかな……さすがに同室は。
「まあいいか。僕は何もする予定ないし、大丈夫だよ。君が襲ってこない限りは」
「お、襲いませんよ!?」
「冗談だよ」
そう言ってジョンさんが笑う。
初対面なのにとんでもない冗談を言うな……。外国人らしいというか。
「けど、ごめんね。同室なのは本当なんだ。シスターと同室なんてことはほぼ不可能だよ」
「大丈夫ですけど、なんで不可能なんですか?」
泊めさせてもらう側だし、文句は言えないよね。言わない。けど、不可能って。確かにさっき睨まれた気がするけど。
「まぁ、彼女にも色々あるのさ。仲良くなってみたらわかるんじゃない?」
睨んできた人と仲良くか、できるかな。
「あの、同室を許可していただいてありがとうございます。その、衣食住のあてがなくて。助かりました」
「どういたしまして。懐かしいな。僕もそんな時期があったなー」
「ジョンさんもここに来ていたんですか?」
「まあね。困ってた時にマリアに会ってね」
ジョンさんとは気が合いそうだ。仲良くなれるかもしれない。同室になるし、地球のことも色々と話したいな。
「あ、そうだ!イマイさんも色々とありがとうございました」
「あー、イマイなら君が『気にしませんよ』って言ってた時くらいから帰っていったよ」
「え、お礼がしたかったのに」
気にしませんよ、って同室かどうかも分からなかった頃じゃん。結構前から居なくなってたんだ。気づかなかった。
でも確かに、途中から会話に参加してなかったかも。ここのことよく分からないし、また会えるかどうかも分からないのに。お礼、どうしよう。
「うーん。またイマイに会いに行くと思うし、その時に一緒に行こうよ。この国の紹介がてらね」
「ありがとうございます。そうします」
この国について紹介してくれるのは本当に助かる。ありがとうジョンさん。
「あ、私は姫川アイです。日本出身の17歳です。改めて、よろしくお願いします」
自己紹介をする。私ある個人情報は、これくらい。今は親も家も友達も持ち物だってない。身長や体重は……言わなくていいよね。
「ジョンです。よろしくね」
そう言って笑うジョンさんは、少し怪しい雰囲気だったような気がした。
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