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夢の攻略
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夢で見るネタバレには2つの規則性があった。1つは、ゲームオーバーになったらそこで目が覚めて次の夢では他の場面に飛ばされてしまうこと。要は、ゲームオーバーにならない方がネタバレされないってこと。もう1つは、現実で攻略しているキャラのネタバレの夢をみてしまうことだ。つまり、推しキャラ以外で、ゲームオーバーなしで進めていったら最高なんだけどね…
「ゲームオーバーにならないって難しいね」
『そうだね…どうしても自分が動いてしまうと主人公ちゃんとの差異が出てしまうから』
ののさんとは、今や相互フォローをしててタメで話す仲だ。むしろLINEも交換してる。
通話した方が楽だから通話しようって提案したこともあったけど、通話は緊張するからと断られてしまった。だからLINEは協力してゲームを攻略するためのやりとりするツールとして使われている。
「そういえばののちゃんって何してる人?」
『のの…ちゃん?』
「あ、突然呼び方変えちゃってごめんね。ちゃん付けはまずかった?」
『ううん、大丈夫。あと、高校生だよ』
「高校生だったの!?礼儀正しいから同世代かと…」
今思い返すと、ののちゃんとはこういう話をしたことはなかったかな。ゲームの話ばっかりで。
『ねねさんは何してる人?』
「私はね、会社員だよ。普通の」
得意なことがあるわけでもない。恋はいつも画面の向こうでしていた。おかげで年齢イコール彼氏いない歴の25歳です。やばい。というか、ののちゃんとは10歳近く違うのかな…歳って怖い。
『会社で働きながら、睡眠時間削ってゲームなんて大丈夫なの?』
「大丈夫だよ。乙女ゲームが私の生きがいだからね!」
たまに眠いなって思う時もあるけど大丈夫でしょう。ネタバレするくらいなら睡眠不足でいい。
『…あの、提案を…湊くんの攻略は難易度が高いみたいだから比較的にやりやすいって言われてる佐田シュンって子を攻略することにするのはどうかな?』
佐田シュンくん。元気でちょっとバカキャラだけどかっこいいっていう王道キャラの子だね。この子のリアクションはオーバーだし、確かにいいかもしれない。湊くんで詰みに詰んで全部ネタバレされるくらいなら、他の子をやって湊くんのキャラを掴むのも。
『佐田くんはメインキャラなこともあって、ストーリーもいいみたい』
ほう…いいなそれ。
「だね。佐田くんから攻略していくことにするか!」
そういったことをしばらく話しながらゲームをすすめいてたが、私は寝不足に耐えきれず寝てしまった。
「山根、今日は暑いね~。帰りにアイスでも買いに行かね?」
「さ、佐田くん!?い、いいね!今日は暑いもんね」
夢の世界に来るのはもう何回も体験しているのに、やっぱり慣れない。さっきまで自分の部屋にいたのに目を開けたら目の前にイケメンがいるなんて。
「よっしゃ!今、チャレンジザトリプルだし沢山食べれるぞー!」
佐田くんに手を引っ張られながら、私は年甲斐なくドキドキが止まらなかった。
「うわ…人が多いな」
「そうだね」
暑いこともあって、アイスクリーム屋さんには人がいっぱいいた。あの中でアイスを買うのか…
「山根はそこで座って待ってろよ。俺が買ってきてやるから」
「いいの?ありがとう」
…どうしよう。男の子と一緒にアイス食べに来ることなんてなさすぎて、とても嬉しい。しかも優しくされて…夢なのに。
というか、私アイス何食べたいか言ってないけど!?佐田くん!?もう列に並んでるぞ…
とっさに佐田くんにLINEをすることにした。…主人公ちゃん、LINEの友達多すぎだよ。5000人って何?陽キャ怖い…その半分以上が男なのはもっと怖い。乙女ゲームの主人公ってすごいね。さすがだよ。…ってLINE、LINE。
「『私はレモンのやつとオレンジのやつとチョコレートのでお願い!』…っと」
「あれ?転校生ちゃんじゃん」
聞き覚えのある声に顔を上げる。攻略キャラの1人の鈴木望くんだった。
彼は女の子が好きなチャラ男さん。あんまり他のキャラとの絡みがなくて印象に残らないようなキャラだったな。攻略したらそりゃあ印象に残るだろうけど。ただ、とてつもなく美声。私の大好きな声優さん。こうやって声を体験すると、声優さんと仲良くなったみたいで嬉しいな。
「奇遇だね。一緒にアイス食べちゃう?」
わお。さすがチャラ男。普段ならここで選択肢が出るんだろうな、なんて冷静に分析しちゃう。まあ、私の答えは決まってるけど。
「私は佐田くんと―」
「鈴木、山根に手を出すんじゃねぇ」
「え?」
横から現れた佐田くんに手を引かれ、佐田くんの腕の中に私が収まる。あまりに急に距離が近くなったからドキドキが止まらない。私、こんなに男子と密着したことないんだけど!?
「さ、佐田くん!?」
「シュンくんと来てたんだ~!俺もご一緒したいな♪」
「断る」
更に腕の力を強められてより体が密着する。…キャパオーバーだけど。
もうこれ以上は心臓がもたない、そんなことを思っているうちに私は目を覚ました。
LINEにはののちゃんからどうしたの!?とか寝ちゃった?とかいったのが何通か送られてきていた。急にLINEが途切れちゃって心配かけちゃったかな。おわびのLINEを送っておく。
…というか、ついにゲームオーバーなしで夢を終えれてしまった。
「これはクリアするのも近いのでは?」
私はそんな、夢のまた夢のようなことを呟いた。
「ゲームオーバーにならないって難しいね」
『そうだね…どうしても自分が動いてしまうと主人公ちゃんとの差異が出てしまうから』
ののさんとは、今や相互フォローをしててタメで話す仲だ。むしろLINEも交換してる。
通話した方が楽だから通話しようって提案したこともあったけど、通話は緊張するからと断られてしまった。だからLINEは協力してゲームを攻略するためのやりとりするツールとして使われている。
「そういえばののちゃんって何してる人?」
『のの…ちゃん?』
「あ、突然呼び方変えちゃってごめんね。ちゃん付けはまずかった?」
『ううん、大丈夫。あと、高校生だよ』
「高校生だったの!?礼儀正しいから同世代かと…」
今思い返すと、ののちゃんとはこういう話をしたことはなかったかな。ゲームの話ばっかりで。
『ねねさんは何してる人?』
「私はね、会社員だよ。普通の」
得意なことがあるわけでもない。恋はいつも画面の向こうでしていた。おかげで年齢イコール彼氏いない歴の25歳です。やばい。というか、ののちゃんとは10歳近く違うのかな…歳って怖い。
『会社で働きながら、睡眠時間削ってゲームなんて大丈夫なの?』
「大丈夫だよ。乙女ゲームが私の生きがいだからね!」
たまに眠いなって思う時もあるけど大丈夫でしょう。ネタバレするくらいなら睡眠不足でいい。
『…あの、提案を…湊くんの攻略は難易度が高いみたいだから比較的にやりやすいって言われてる佐田シュンって子を攻略することにするのはどうかな?』
佐田シュンくん。元気でちょっとバカキャラだけどかっこいいっていう王道キャラの子だね。この子のリアクションはオーバーだし、確かにいいかもしれない。湊くんで詰みに詰んで全部ネタバレされるくらいなら、他の子をやって湊くんのキャラを掴むのも。
『佐田くんはメインキャラなこともあって、ストーリーもいいみたい』
ほう…いいなそれ。
「だね。佐田くんから攻略していくことにするか!」
そういったことをしばらく話しながらゲームをすすめいてたが、私は寝不足に耐えきれず寝てしまった。
「山根、今日は暑いね~。帰りにアイスでも買いに行かね?」
「さ、佐田くん!?い、いいね!今日は暑いもんね」
夢の世界に来るのはもう何回も体験しているのに、やっぱり慣れない。さっきまで自分の部屋にいたのに目を開けたら目の前にイケメンがいるなんて。
「よっしゃ!今、チャレンジザトリプルだし沢山食べれるぞー!」
佐田くんに手を引っ張られながら、私は年甲斐なくドキドキが止まらなかった。
「うわ…人が多いな」
「そうだね」
暑いこともあって、アイスクリーム屋さんには人がいっぱいいた。あの中でアイスを買うのか…
「山根はそこで座って待ってろよ。俺が買ってきてやるから」
「いいの?ありがとう」
…どうしよう。男の子と一緒にアイス食べに来ることなんてなさすぎて、とても嬉しい。しかも優しくされて…夢なのに。
というか、私アイス何食べたいか言ってないけど!?佐田くん!?もう列に並んでるぞ…
とっさに佐田くんにLINEをすることにした。…主人公ちゃん、LINEの友達多すぎだよ。5000人って何?陽キャ怖い…その半分以上が男なのはもっと怖い。乙女ゲームの主人公ってすごいね。さすがだよ。…ってLINE、LINE。
「『私はレモンのやつとオレンジのやつとチョコレートのでお願い!』…っと」
「あれ?転校生ちゃんじゃん」
聞き覚えのある声に顔を上げる。攻略キャラの1人の鈴木望くんだった。
彼は女の子が好きなチャラ男さん。あんまり他のキャラとの絡みがなくて印象に残らないようなキャラだったな。攻略したらそりゃあ印象に残るだろうけど。ただ、とてつもなく美声。私の大好きな声優さん。こうやって声を体験すると、声優さんと仲良くなったみたいで嬉しいな。
「奇遇だね。一緒にアイス食べちゃう?」
わお。さすがチャラ男。普段ならここで選択肢が出るんだろうな、なんて冷静に分析しちゃう。まあ、私の答えは決まってるけど。
「私は佐田くんと―」
「鈴木、山根に手を出すんじゃねぇ」
「え?」
横から現れた佐田くんに手を引かれ、佐田くんの腕の中に私が収まる。あまりに急に距離が近くなったからドキドキが止まらない。私、こんなに男子と密着したことないんだけど!?
「さ、佐田くん!?」
「シュンくんと来てたんだ~!俺もご一緒したいな♪」
「断る」
更に腕の力を強められてより体が密着する。…キャパオーバーだけど。
もうこれ以上は心臓がもたない、そんなことを思っているうちに私は目を覚ました。
LINEにはののちゃんからどうしたの!?とか寝ちゃった?とかいったのが何通か送られてきていた。急にLINEが途切れちゃって心配かけちゃったかな。おわびのLINEを送っておく。
…というか、ついにゲームオーバーなしで夢を終えれてしまった。
「これはクリアするのも近いのでは?」
私はそんな、夢のまた夢のようなことを呟いた。
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