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幸せの始まり…のはずが?
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ついに買ってしまった!!
私、山根音々は朝一でずっと買いたかったゲームを手にしてニヤニヤした。女として終わっているけど、朝一ということもあって人はいないからセーフセーフ。
私は、乙女ゲーム大好き人間である。乙女ゲームの新作の情報を見るのは欠かさないし、今買っているこのゲーム、『恋愛学園~あなたの恋人は個性爆発~』も初めてこのゲームの情報が出た時から注目していた。ゲームのネーミングセンスはひどいものだけど、声優は豪華だし絵は綺麗だし学園モノという私の大好きなジャンルだからハズレることはないと思う。発売前のショートストーリー見てる限りでも面白そうだったし。
はい。ということで早速家に帰ろう。このゲームをしたいがためだけに今日は有給取ったし。早く遊びたいから発売日の朝から買いに来た。これでつまらなかったら心折れるぞ…そんなことを考えながら帰路についた。
「思った以上じゃん!なにこの湊っていうキャラ!めっちゃかっこいいんだけど…はー、尊い」
興奮のあまり盛大な独り言を言う。こういう時、思い切って一人暮らしをして良かったなと思える。恥ずかしくない。
この湊というキャラは、藤山湊という名前のドSキャラだ。主人公ちゃんと同じクラスの。この湊くん(と呼ぶことにする)は同じくこのゲームの登場キャラクター松岡翔太(後からは翔太くんと呼ぶ)というドMキャラとよく衝突してるんだけど…
「かんっぜんにBLよね」
私は腐女子として元気に暮らしてるが故にそういう風に見えてしまうのだ。せっかくやってるのは乙女ゲームなのに。NLなのに。
ということで、乙女ゲームでBLが楽しめるこのコンビが私の推しになりそうな予感。特に湊くん、可愛いぞ。そういうことで最初に攻略するのは湊くんにしようかな。
そんなこんなで何時間かプレイしたのだけど…このゲーム難しくないか!?湊くんが全く攻略出来ないんだけど!?ずっと友人エンドになるんだが
「この、好感度出てこないシステムとかどうなのよ…」
好感度が出てこないのはもう完全に詰んだ。どれが正解で間違ってるか、それをわからずに進めるってなるとかなり骨折れる作業になるぞこれ。
いっそのことクソゲーってことにして諦めるのも一つの手だけど、それ以外は本当に神ゲーな上に私好みだしこんだけずっとやってたら恋愛エンドが見たくなるんですよ本当…いっそ攻略サイト見たい。まだ出てないけど。皆、クリアに手こずってるみたい。
「ふああああああぁぁぁ!!!」
このまま起きていてもストレスしか堪らなさそうだから一旦寝ることにした。起きたらまた頑張ろう……
「おーい、聞いてるのか?転校生」
目が覚めたら目の前には、推しの湊くんが……ってえ……?というか転校生ってあのゲームの主人公ちゃんのこと?主人公ちゃん、転校生だったもんなあ…ってここゲームの世界?私、主人公ちゃんになったの?……あ、もしかして夢か。なら楽しもうかな。明晰夢ってやつだこれ。多分。
「藤山くん、ごめんなんだったけ?」
主人公ちゃんは湊くんのこと藤山くんって呼んでたからね。そこはちゃんと原作リスペクトで。
「はぁ、お前と俺と翔太で遊ぶことになったやつだよ。翔太がついてくるし、嫌なら断っていいんだぞ」
は?3人で遊ぶ?何それ私邪魔じゃない?
「嫌なわけないよ!遊ぼ!」
邪魔だとわかっていても2人を見守りたい私がいるのだよ。ごめんね、翔太くん。湊くん。
「……断ってくれば良かったのに。お前とも翔太とも遊びたくねーんだよこっちは」
おい馬鹿、本音だだ漏れだぞ。でもそんなところも好き。
「あー…駄目?」
「いいよ別に。ただ罰として全裸で校内1周とかしてくんね?」
あ、出ました。湊くんのドS。ドSなのかもどうかもわかんないけど。
「はい、喜んで!!!」
「うわ……」「来たーーー!!!」
来てしまった、翔太くん。目の前に私の推したちが…イチャつけ!今すぐ!!
「なんだお前その歓喜の大声…お前そんなキャラだったか?」
あ、やらかしましたね。完全に主人公ちゃんの設定忘れて素の私が出てしまった。
「いや…翔太くんに身構えれなくてですね…」
そっぽを向いて答える私。湊くんの顔、もう見れませんよ…
「あれ?転校生ちゃんって僕のこと名前で呼んでくれてたっけ?」
いや、そういうのいいんで。翔太くんまで私の事疑うのやめてくれないかな。…まあここは主人公ちゃんのお決まりのセリフでも言いますか。
「転校生ちゃんじゃないです!山根音々です!」
「「……」」
いや、シラケるのはよくないぞ。こっちだって恥ずかしいながら言ってるんだぞ。主人公の名前、本名にしてるんだとか思ってんだろ。ならいっそ笑ってくれ。
そんなことを考えていたらふと、視界がぐにゃんと歪んだと思ったら暗い闇の中へと引きずり込まれた。
意識を手放す瞬間に見たのは、赤いゲームオーバーの字だった。
目を覚ますとそこはいつも通りの私の部屋。やっぱりさっきのは夢だったみたい。にしても、推しと仲良くしたかったつもりなのに…なんだアレ。やっぱり私は主人公ちゃんじゃないし無理だったんだろうけど。
色々とついていけなくなったから現実逃避に再びあのゲームをすることにする。しばらく進めていると、まだ見てないイベントが挟まれた。
「ふぁっ!見逃すところだった!」
ってことでここからは集中してやらなきゃだね。ここに入ったってことは恋愛エンドも夢じゃないかもしれないし。
『おーい、聞いているのか?転校生』
『藤山くん、ごめんなんだったけ?』
『はぁ、お前と俺と翔太で遊ぶことになったやつだよ。翔太がついてくるし、嫌なら断っていいんだぞ』
んん??なんだかデジャブ…これ、夢で見たくない?は??たまたま?
『→遊ぼ!
→ごめん、また今度にしよう』
…これ、夢にネタバレされてるってことでしょうか。こんなことある?ありえなくない?
とっさに私はTwetterを開く。そして夢でネタバレしたことをツウィートする。すると、すぐにいいねが来た。
『ねねさんはじめまして。私はののと申します。先程ツウィートされていたこと、私にも起きました!恋愛学園をしながらお昼寝をしてたらネタバレが…』
そしていいねをくれたののさんと言う人からDMが来る。こんなことあるんだろうか。
「本当ですか!?でも、この現象が起きたと言う人は他にも居ないのでもしかしたらたまたまかもしれませんね(*^^*)、っと」
そしてそう返信した私は、それから数日後に泣くのである。
「ののさん突然すみません!やっぱりあの現象、ずっと起きます!ネタバレが怖くて寝れません!…」
そう、私はあれからもずっと恋愛学園の夢を見る。そして何度もネタバレされている。もう我慢出来なかった。大好きなゲームだからこそ、ネタバレなんて…
『私もなんです!素敵な作品だからこそネタバレがつらいですよね(´・ω・`)
もし良かったらですが、恋愛学園のクリアまで協力しませんか?』
色々話したところ、ののさんは腐女子ではないものの私と同じく湊くん推しで湊くんから攻略を進めているらしい。もちろん恋愛学園はまだ攻略サイトは出ておらず、協力するしか無かった。
そんなこんなで山根音々の、ののさんとの夢とのネタバレ回避の戦いは始まったのであった。
私、山根音々は朝一でずっと買いたかったゲームを手にしてニヤニヤした。女として終わっているけど、朝一ということもあって人はいないからセーフセーフ。
私は、乙女ゲーム大好き人間である。乙女ゲームの新作の情報を見るのは欠かさないし、今買っているこのゲーム、『恋愛学園~あなたの恋人は個性爆発~』も初めてこのゲームの情報が出た時から注目していた。ゲームのネーミングセンスはひどいものだけど、声優は豪華だし絵は綺麗だし学園モノという私の大好きなジャンルだからハズレることはないと思う。発売前のショートストーリー見てる限りでも面白そうだったし。
はい。ということで早速家に帰ろう。このゲームをしたいがためだけに今日は有給取ったし。早く遊びたいから発売日の朝から買いに来た。これでつまらなかったら心折れるぞ…そんなことを考えながら帰路についた。
「思った以上じゃん!なにこの湊っていうキャラ!めっちゃかっこいいんだけど…はー、尊い」
興奮のあまり盛大な独り言を言う。こういう時、思い切って一人暮らしをして良かったなと思える。恥ずかしくない。
この湊というキャラは、藤山湊という名前のドSキャラだ。主人公ちゃんと同じクラスの。この湊くん(と呼ぶことにする)は同じくこのゲームの登場キャラクター松岡翔太(後からは翔太くんと呼ぶ)というドMキャラとよく衝突してるんだけど…
「かんっぜんにBLよね」
私は腐女子として元気に暮らしてるが故にそういう風に見えてしまうのだ。せっかくやってるのは乙女ゲームなのに。NLなのに。
ということで、乙女ゲームでBLが楽しめるこのコンビが私の推しになりそうな予感。特に湊くん、可愛いぞ。そういうことで最初に攻略するのは湊くんにしようかな。
そんなこんなで何時間かプレイしたのだけど…このゲーム難しくないか!?湊くんが全く攻略出来ないんだけど!?ずっと友人エンドになるんだが
「この、好感度出てこないシステムとかどうなのよ…」
好感度が出てこないのはもう完全に詰んだ。どれが正解で間違ってるか、それをわからずに進めるってなるとかなり骨折れる作業になるぞこれ。
いっそのことクソゲーってことにして諦めるのも一つの手だけど、それ以外は本当に神ゲーな上に私好みだしこんだけずっとやってたら恋愛エンドが見たくなるんですよ本当…いっそ攻略サイト見たい。まだ出てないけど。皆、クリアに手こずってるみたい。
「ふああああああぁぁぁ!!!」
このまま起きていてもストレスしか堪らなさそうだから一旦寝ることにした。起きたらまた頑張ろう……
「おーい、聞いてるのか?転校生」
目が覚めたら目の前には、推しの湊くんが……ってえ……?というか転校生ってあのゲームの主人公ちゃんのこと?主人公ちゃん、転校生だったもんなあ…ってここゲームの世界?私、主人公ちゃんになったの?……あ、もしかして夢か。なら楽しもうかな。明晰夢ってやつだこれ。多分。
「藤山くん、ごめんなんだったけ?」
主人公ちゃんは湊くんのこと藤山くんって呼んでたからね。そこはちゃんと原作リスペクトで。
「はぁ、お前と俺と翔太で遊ぶことになったやつだよ。翔太がついてくるし、嫌なら断っていいんだぞ」
は?3人で遊ぶ?何それ私邪魔じゃない?
「嫌なわけないよ!遊ぼ!」
邪魔だとわかっていても2人を見守りたい私がいるのだよ。ごめんね、翔太くん。湊くん。
「……断ってくれば良かったのに。お前とも翔太とも遊びたくねーんだよこっちは」
おい馬鹿、本音だだ漏れだぞ。でもそんなところも好き。
「あー…駄目?」
「いいよ別に。ただ罰として全裸で校内1周とかしてくんね?」
あ、出ました。湊くんのドS。ドSなのかもどうかもわかんないけど。
「はい、喜んで!!!」
「うわ……」「来たーーー!!!」
来てしまった、翔太くん。目の前に私の推したちが…イチャつけ!今すぐ!!
「なんだお前その歓喜の大声…お前そんなキャラだったか?」
あ、やらかしましたね。完全に主人公ちゃんの設定忘れて素の私が出てしまった。
「いや…翔太くんに身構えれなくてですね…」
そっぽを向いて答える私。湊くんの顔、もう見れませんよ…
「あれ?転校生ちゃんって僕のこと名前で呼んでくれてたっけ?」
いや、そういうのいいんで。翔太くんまで私の事疑うのやめてくれないかな。…まあここは主人公ちゃんのお決まりのセリフでも言いますか。
「転校生ちゃんじゃないです!山根音々です!」
「「……」」
いや、シラケるのはよくないぞ。こっちだって恥ずかしいながら言ってるんだぞ。主人公の名前、本名にしてるんだとか思ってんだろ。ならいっそ笑ってくれ。
そんなことを考えていたらふと、視界がぐにゃんと歪んだと思ったら暗い闇の中へと引きずり込まれた。
意識を手放す瞬間に見たのは、赤いゲームオーバーの字だった。
目を覚ますとそこはいつも通りの私の部屋。やっぱりさっきのは夢だったみたい。にしても、推しと仲良くしたかったつもりなのに…なんだアレ。やっぱり私は主人公ちゃんじゃないし無理だったんだろうけど。
色々とついていけなくなったから現実逃避に再びあのゲームをすることにする。しばらく進めていると、まだ見てないイベントが挟まれた。
「ふぁっ!見逃すところだった!」
ってことでここからは集中してやらなきゃだね。ここに入ったってことは恋愛エンドも夢じゃないかもしれないし。
『おーい、聞いているのか?転校生』
『藤山くん、ごめんなんだったけ?』
『はぁ、お前と俺と翔太で遊ぶことになったやつだよ。翔太がついてくるし、嫌なら断っていいんだぞ』
んん??なんだかデジャブ…これ、夢で見たくない?は??たまたま?
『→遊ぼ!
→ごめん、また今度にしよう』
…これ、夢にネタバレされてるってことでしょうか。こんなことある?ありえなくない?
とっさに私はTwetterを開く。そして夢でネタバレしたことをツウィートする。すると、すぐにいいねが来た。
『ねねさんはじめまして。私はののと申します。先程ツウィートされていたこと、私にも起きました!恋愛学園をしながらお昼寝をしてたらネタバレが…』
そしていいねをくれたののさんと言う人からDMが来る。こんなことあるんだろうか。
「本当ですか!?でも、この現象が起きたと言う人は他にも居ないのでもしかしたらたまたまかもしれませんね(*^^*)、っと」
そしてそう返信した私は、それから数日後に泣くのである。
「ののさん突然すみません!やっぱりあの現象、ずっと起きます!ネタバレが怖くて寝れません!…」
そう、私はあれからもずっと恋愛学園の夢を見る。そして何度もネタバレされている。もう我慢出来なかった。大好きなゲームだからこそ、ネタバレなんて…
『私もなんです!素敵な作品だからこそネタバレがつらいですよね(´・ω・`)
もし良かったらですが、恋愛学園のクリアまで協力しませんか?』
色々話したところ、ののさんは腐女子ではないものの私と同じく湊くん推しで湊くんから攻略を進めているらしい。もちろん恋愛学園はまだ攻略サイトは出ておらず、協力するしか無かった。
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