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第11話 巡り合わせ、組み合わせ
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「うえ~!暑い~!疲れた~!」
「まさか電車が止まるとはね…」
「田舎の電車ってほんっと適当だよな。」
「まぁまぁ、言ってもしょうがないしさ、とにかく歩こうよ。」
「そうは言っても、あと二駅分あるぞ?」
「一区間が長いからね~」
「休もうよ~!もう疲れた~!」
「おい、駄々こね始めたぞ。どうすんだ?」
「じゃあちょっと休めるとこでも探そうか?」
「うん!探す探す!早くいこ!」
「元気じゃねぇか。」
「まあ、さすがにちょっと疲れたしね。荷物も多いし。」
「お前本当甘いな。」
「そういうんじゃねぇよ!」
「必死なのがあやし~!」
「なんで俺ばっかり!?」
「そんくらい言ってもバチは当たんねぇよ。」
「普段散々のろけてるしね。」
「いいじゃねぇかよ!お前らいっつもそれでいじってるじゃん!」
そんな話をしながら5分ほど歩いていると小さな定食屋を見つけた。
「ここで休憩しようか、ついでに昼ご飯も食べれるし。」
「やった~!休憩!」
店内に入ると壮年の夫婦が笑顔で出迎えた。
「珍しいね、この辺じゃ見ない人だこと。」
「旅行で来たんですけど電車が止まっちゃって。」
「そりゃ災難だったね。まぁ食べていって。どうせ空いてるから。」
席についてメニューを見る。大貴はきっとすぐに決めるだろう。
「じゃあ俺は刺身定食で。」
やっぱり、大貴はそういう奴だ。メニューを開いた瞬間もう頼むものは決まっているのだ。赤崎もきっとそんなに迷わない。
「私も刺身定食にしようかな。」
そしてきっと上総は悩んでいるだろう。おそらくハンバーグとエビフライとか、お子様ランチ的なメニューで。
「ハンバーグとオムライスどっちにしよう…」
そっちか。オムライスは盲点だった。何はともあれこれもいつものことである。俺は決まってこう持ちかけるのだ。
「2つとって俺と半分こで食べるか?」
「いいの!?」
「いつものことだろ。いいよ。」
「じゃあそうする!ありがとう!」
そうそう、この笑顔だ。この笑顔が何よりも好きなんだから。
「おーい思ってることがまんま口に出てるぞ。」
「え、あれ?」
「もう、勝ったら、そんな…恥ずかしいけど、ちょっとなら、いいよ?」
「何がいいのかわからないがとりあえず落ち着け。そういうのはホテルに着いてからな。」
自分で言ってから余計なことを口走ったことに気がついた。
「も、もう…//ひなちゃんと大貴もいるからダメだよ…」
「い、いや別にそういうつもりで言ったわけじゃ…なくもないけど。でも違うから!」
「お前のフォローって結局フォローになってないんだよな。」
「実はこの二人って私たちよりそういうのに興味津々だったり?」
「むっつりだな。あとしれっと俺をお前と同類にすんな。」
「ひどいなぁ。またそうやってさらっと人を罵るんだから。」
4人でワイワイしてると店のおばちゃんが定食を持ってきた。
「はいよ~刺身定食2つとハンバーグ定食とオムライスね。」
そして俺たちはしばしそのおばちゃんに釘付けになってた。何を隠そう、全てのメニューを一回で持ってきたのである。右手に刺身定食2つのお盆をつかみ左手でハンバーグ定食を持った状態で左腕にオムライスを乗っけている。若いウェイトレスならいざ知らず、おばちゃんが平然とやってのけているのはなかなか驚きだった。何年もかけて習得した技なのか。はたまた天賦の才能なのか。それは俺らの知る範疇ではない。
「おばちゃんすごい!全部持ってる!」
「昔からここでやってるからね。慣れだよ。」
「昔からここに住んでるんですか?」
すると奥からおじさんが出てきて答えた。
「元はここに住んでいたわけじゃないよ。彼女と結婚した時にここに引っ越したんだ。初めて二人で旅行に来た思い出の場所にな。」
「もしかしてこの先のホテル?」
「あぁそうだ。俺が彼女にあった最初の夏だったな。ちょうど君たちくらいの歳の頃さ。」
「もしかして、これからあそこへ行くのかい?」
「すごいね!なんか運命みたい。」
「そうだな、もしよかったら帰りも寄ってくれ。私は店主の神田理樹だ。」
「私は女将の鈴音です。」
「いいんじゃない?ね?大貴。」
「まぁ、別にいいけど。」
「またご贔屓に。」
俺たちはお店の二人に手を振るとまたお店を出て歩き始めた。特に何があるというわけでもなく数分も歩くとホテルのシンボルマークが見えてきた。
「あ!ここ?着いたの!?」
「ここで間違いないみたいだな。」
「思ったより時間かかっちゃったね。今日はその辺歩く程度にして明日海行こうか。」
「そうだね。まぁ、あと2日あるし平気でしょ。」
「2泊でとって正解だったな。」
とまぁ、明日からという意見でまとまりつつあるのに頬を膨らませている奴が約1名。
「海…」
「今からじゃほとんど遊べねぇだろ?荷物も整理したいし、ホテルの施設ででも遊ぼうぜ。ゲーセンとか卓球とかもあるみたいだし。」
「ゲーセンあるの!?行く!」
「切り替え速!」
「勝、ナイス。」
「ま、いつものことだし。」
今夜はまだまだ長くなりそうだ。
「まさか電車が止まるとはね…」
「田舎の電車ってほんっと適当だよな。」
「まぁまぁ、言ってもしょうがないしさ、とにかく歩こうよ。」
「そうは言っても、あと二駅分あるぞ?」
「一区間が長いからね~」
「休もうよ~!もう疲れた~!」
「おい、駄々こね始めたぞ。どうすんだ?」
「じゃあちょっと休めるとこでも探そうか?」
「うん!探す探す!早くいこ!」
「元気じゃねぇか。」
「まあ、さすがにちょっと疲れたしね。荷物も多いし。」
「お前本当甘いな。」
「そういうんじゃねぇよ!」
「必死なのがあやし~!」
「なんで俺ばっかり!?」
「そんくらい言ってもバチは当たんねぇよ。」
「普段散々のろけてるしね。」
「いいじゃねぇかよ!お前らいっつもそれでいじってるじゃん!」
そんな話をしながら5分ほど歩いていると小さな定食屋を見つけた。
「ここで休憩しようか、ついでに昼ご飯も食べれるし。」
「やった~!休憩!」
店内に入ると壮年の夫婦が笑顔で出迎えた。
「珍しいね、この辺じゃ見ない人だこと。」
「旅行で来たんですけど電車が止まっちゃって。」
「そりゃ災難だったね。まぁ食べていって。どうせ空いてるから。」
席についてメニューを見る。大貴はきっとすぐに決めるだろう。
「じゃあ俺は刺身定食で。」
やっぱり、大貴はそういう奴だ。メニューを開いた瞬間もう頼むものは決まっているのだ。赤崎もきっとそんなに迷わない。
「私も刺身定食にしようかな。」
そしてきっと上総は悩んでいるだろう。おそらくハンバーグとエビフライとか、お子様ランチ的なメニューで。
「ハンバーグとオムライスどっちにしよう…」
そっちか。オムライスは盲点だった。何はともあれこれもいつものことである。俺は決まってこう持ちかけるのだ。
「2つとって俺と半分こで食べるか?」
「いいの!?」
「いつものことだろ。いいよ。」
「じゃあそうする!ありがとう!」
そうそう、この笑顔だ。この笑顔が何よりも好きなんだから。
「おーい思ってることがまんま口に出てるぞ。」
「え、あれ?」
「もう、勝ったら、そんな…恥ずかしいけど、ちょっとなら、いいよ?」
「何がいいのかわからないがとりあえず落ち着け。そういうのはホテルに着いてからな。」
自分で言ってから余計なことを口走ったことに気がついた。
「も、もう…//ひなちゃんと大貴もいるからダメだよ…」
「い、いや別にそういうつもりで言ったわけじゃ…なくもないけど。でも違うから!」
「お前のフォローって結局フォローになってないんだよな。」
「実はこの二人って私たちよりそういうのに興味津々だったり?」
「むっつりだな。あとしれっと俺をお前と同類にすんな。」
「ひどいなぁ。またそうやってさらっと人を罵るんだから。」
4人でワイワイしてると店のおばちゃんが定食を持ってきた。
「はいよ~刺身定食2つとハンバーグ定食とオムライスね。」
そして俺たちはしばしそのおばちゃんに釘付けになってた。何を隠そう、全てのメニューを一回で持ってきたのである。右手に刺身定食2つのお盆をつかみ左手でハンバーグ定食を持った状態で左腕にオムライスを乗っけている。若いウェイトレスならいざ知らず、おばちゃんが平然とやってのけているのはなかなか驚きだった。何年もかけて習得した技なのか。はたまた天賦の才能なのか。それは俺らの知る範疇ではない。
「おばちゃんすごい!全部持ってる!」
「昔からここでやってるからね。慣れだよ。」
「昔からここに住んでるんですか?」
すると奥からおじさんが出てきて答えた。
「元はここに住んでいたわけじゃないよ。彼女と結婚した時にここに引っ越したんだ。初めて二人で旅行に来た思い出の場所にな。」
「もしかしてこの先のホテル?」
「あぁそうだ。俺が彼女にあった最初の夏だったな。ちょうど君たちくらいの歳の頃さ。」
「もしかして、これからあそこへ行くのかい?」
「すごいね!なんか運命みたい。」
「そうだな、もしよかったら帰りも寄ってくれ。私は店主の神田理樹だ。」
「私は女将の鈴音です。」
「いいんじゃない?ね?大貴。」
「まぁ、別にいいけど。」
「またご贔屓に。」
俺たちはお店の二人に手を振るとまたお店を出て歩き始めた。特に何があるというわけでもなく数分も歩くとホテルのシンボルマークが見えてきた。
「あ!ここ?着いたの!?」
「ここで間違いないみたいだな。」
「思ったより時間かかっちゃったね。今日はその辺歩く程度にして明日海行こうか。」
「そうだね。まぁ、あと2日あるし平気でしょ。」
「2泊でとって正解だったな。」
とまぁ、明日からという意見でまとまりつつあるのに頬を膨らませている奴が約1名。
「海…」
「今からじゃほとんど遊べねぇだろ?荷物も整理したいし、ホテルの施設ででも遊ぼうぜ。ゲーセンとか卓球とかもあるみたいだし。」
「ゲーセンあるの!?行く!」
「切り替え速!」
「勝、ナイス。」
「ま、いつものことだし。」
今夜はまだまだ長くなりそうだ。
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