上 下
6 / 6

魔導発電所

しおりを挟む
翌日、俺とアンジェリカたちは遺跡に向かっていた。はるか昔に発電所として使われていたようだが、
今ではワイバーンの住みかとなってしまっている。「今日も暑いな」
俺は額の汗をぬぐった。
「もうすぐだよアレン君、ほら見えてきたぞ!」
アンジェリカは元気よく言った。
「……ああ、そうだな」
確かに町が見えてきた。
しかし、それは廃墟となった町並みだ。
かつてそこには立派なビルが立ち並んでいたはずだが、今は見る影もない。
「あれ?おかしいな……」
「どうしたんだ?」
「いや、地図だとここにあるはずなんだが……」
アンジェリカはそう言って辺りを見回している。
「あそこじゃないか?」俺のスキルで探知

してみる。
すると遠くの方から大きな魔力反応があることが分かった。
「やっぱりあそこみたいだな」
「よし!行こう!!」
俺たちはその地点へと向かった。
しばらく進むとその場所にたどり着いた。
「これは酷いな……」
その光景を見て思わず呟く。
そこはまるで戦場跡だった。
あたり一面瓦礫だらけで建物もほとんど残っていない。
そして何より目に付いたのは数体のワイバーンの姿だ。
ワイバーン達は俺たちの存在に気付いたのか一斉にこちらを振り向いた。
『グオオォオ!!』
「うるさい!!お前たちの相手はこっちだ!」
俺は魔道エネルギー砲を構えると発射。凄まじい閃光と共にワイバーン達を飲み込んでいった。
「す、すごい威力だね……」
アンジェリカは呆気に取られた様子で言う。
「まぁ、これでも手加減してるんだけどな」
本当はもっと強い魔法もあるのだが、さすがにここで使うわけにはいかないだろう。
「それより他のワイバーン達が向かってくる前に早く片付けよう」
「そ、そうだね!よーし私も頑張るぞ!!」
そう言うとアンジェリカは呪文を唱え始めた。
「大地の女神よ!我が声に応えたまえ!そして彼の者たちへ裁きを与えたまえ!」
すると地面が大きく揺れ動き巨大な岩が出現してワイバーン達を押し潰していった。
「これで全部かな?」
「ああ、多分な」
「じゃあ次は町の調査だね」
アンジェリカはそう言いながら歩き出した。
俺もそれについていくことにした。
「それにしてもこの辺りは随分荒れ果ててるな……何かあったんだろうか?」
「大昔の戦争のせいだろうね。ほら、あそこに発電所の遺跡がある」アンジェリカが指差したところを見ると確かにそれらしきものが見える。
「とりあえず行ってみよう」
俺たちはその施設に向かった。
中に入るとかなり広い空間が広がっていた。
どうやらここは発電施設のようだ。
壁沿いにたくさんの機械が設置されている。
「うわぁ……これが古代文明の遺産かぁ……」
アンジェリカは興味深そうに見つめている。
「触って壊したりするなよ?」
「そんなことしないよ!!」
彼女は頬を膨らませて反論する。
その時だった。突然天井が崩れ落ちてきたのだ。
「危ない!!」俺は咄嵯の判断で彼女を庇った。
瓦礫に押しつぶされそうになったものの何とか助かったようだ。
しかし、問題はここからだった。
なんと崩れ落ちたはずの天井が再び元の位置に戻り始めたのだ。
「なっ!?どうして……」
困惑しているうちに天井は完全に修復された。
そして再び部屋全体に明かりがついた。
「まさか罠か?それとも……」
「ねぇアレン君大丈夫かい?」
アンジェリカは心配そうな顔でこちらを見つめていた。
「ああ、平気だよ」
「よかった……ところで今のは何だったんだろう?」
「分からない。だけど恐らくまたここに来れば分かるかもしれないな」
「そうだね。じゃあ今日のところはこの辺にしておこう」
俺たちは再び遺跡を出た。
そして俺たちは宿へと戻った。
「今日はありがとう。おかげでとても楽しかったよ」
「それは良かった」
「それであの遺跡のことはどう思う?」
「有効活用すべきだな」
「私も同意見だ」
活用すべきだな。領民が豊かになる」
「うん。まずはあの遺跡の整備から始めないとな」
「よし、明日は忙しくなるぞ!!」
こうして次の日になった。
「よし!今日から工事を始める!!」
俺はそう宣言した。
「工事は任せてくれ!!」
「私も手伝おう!!」
アンジェリカもやる気満々といった感じだ。
「よし、始めるぞ!!」
それからしばらく経った頃だった。
「おい!見ろよあれ!!」
誰かが叫んだ。その方向を見てみるとそこには信じられないものがあった。
「あれは……ゴーレム!?」
なんと目の前に巨大なゴーレムが現れたのである。
「何でこんなところに……」
「みんな落ち着いて!!一体ずつ倒していくよ!!」
アンジェリカはそう言って呪文を唱え始めた。
「大地の女神よ!我が声に応えたまえ!そして彼の者たちへ裁きを与えたまえ!」
巨大な岩石が次々と現れてゴーレムたちを粉砕していった。
しかし、それでもかなりの数が残っていた。
「くそ!!どうすればいいんだ……」
俺は必死で頭を働かせる。
「よし、こうなったら……」
俺は覚悟を決めた。
「アンジェリカ、少しの間だけ時間を稼いでくれ」
「えっ……でも君は何をするつもりだい?」
「まぁ見ていろ」
そう言うと俺は魔道エネルギー砲を構えた。
「喰らえ!!」
凄まじい閃光と共にエネルギー波が発射される。
その威力は凄まじく、あっという間に全てのゴーレムを倒してしまった。
「す、すごい威力だね……」
「まぁ、このくらいならな」
俺は得意げに言った。
そして無事に発電所の再建は終わったのだった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

働くおじさん異世界に逝く~プリンを武器に俺は戦う!薬草狩りで世界を制す~

山鳥うずら
ファンタジー
東京に勤務している普通のおっさんが異世界に転移した。そこは東京とはかけ離れた文明の世界。スキルやチートもないまま彼は異世界で足掻きます。少しずつ人々と繋がりを持ちながら、この無理ゲーな社会で一人の冒険者として生きる話。 少し大人の世界のなろうが読みたい方に楽しめるよう創りました。テンプレを生かしながら、なろう小説の深淵を見せたいと思います。 彼はどうやってハーレムを築くのか―― 底辺の冒険者として彼は老後のお金を貯められたのか―― ちょっとビターな異世界転移の物語。

辺境村人の俺、異能スキル【クエストスキップ】で超レベルアップ! ~レアアイテムも受け取り放題~

桜井正宗
ファンタジー
 辺境の村人・スライは、毎日散々な目に遭わされていた。  レベルも全く上がらない最弱ゆえに、人生が終わっていた。ある日、知り合いのすすめで冒険者ギルドへ向かったスライ。せめてクエストでレベルを上げようと考えたのだ。しかし、受付嬢に話しかけた途端にレベルアップ。突然のことにスライは驚いた。  試しにもう一度話しかけるとクエストがスキップされ、なぜか経験値、レアアイテムを受け取れてしまった。  謎の能力を持っていると知ったスライは、どんどん強くなっていく――!

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

Switch jobs ~転移先で自由気ままな転職生活~

天秤兎
ファンタジー
突然、何故か異世界でチート能力と不老不死を手に入れてしまったアラフォー38歳独身ライフ満喫中だったサラリーマン 主人公 神代 紫(かみしろ ゆかり)。 現実世界と同様、異世界でも仕事をしなければ生きて行けないのは変わりなく、突然身に付いた自分の能力や異世界文化に戸惑いながら自由きままに転職しながら生活する行き当たりばったりの異世界放浪記です。

処理中です...