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03 婚約者とハニートラップ?
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ほぼ毎日の報告会で大きな問題が取り上げられることもなく、穏やかに日常が過ぎていく。
ついでに、アナンツャ公爵令嬢も毎日のようにエングラウンにまとわりつき、袖にされている。
アナンツャ公爵令嬢に関して、クリエールは友人や派閥の先輩に意見を貰っている。
下手に気を抜かないように……という方向性は前提なのだが、それでも「あれは令嬢の恋心の暴走であり、家は関与していない可能性が高い」という見方が優勢である。正直、クリエールもそう思うことが多々ある。
しかし、いくら恋心は制御の利かぬものだといえど、それだけであんな軽挙妄動をするものなのだろうか。
しょせん、物語は誇張された内容でしかなく、現実の人間とは理性でもって動くものだとクリエールは思う。もちろん、学校にいる学生は誰もがまだ成人前である以上、未熟な面があるというのは無視できない可能性だ。
ある日、次の講義のために、クリエールが友人たちと教室を移動していれば、何かが中庭を騒がす場面に遭遇した。
「あら……どうしたのかしら」
「いやだわ。もしかして、喧嘩?」
耳に届く喧騒に、友人たちがそっと眉をひそめる。
いくら教育の行き届いた若者が集まっているとはいえ、学校とは人が集まる場なのだから喧嘩は発生する。
無駄に介入し、無関係の喧嘩に巻き込まれることほどくだらないことはないだろう。しかし、起きてしまっている事象について何も知らないというのも問題だ。
そんな言い訳で人並みの好奇心を覆いつつ意識を騒動に向ければ、クリエールの耳は聞き慣れた声を拾った。
「………………エングラウン様?」
騒ぎの中心は、腕を組んだエングラウンと、自らの豊かな胸の前で手を組んで、祈るように何かを訴えかけているアナンツャ公爵令嬢だった。
状況は依然不明なものの、その組み合わせが揉めているのなら、クリエールが無関係な確率は低い。
「……わたしは、話を聞いてきますね」
小さく溜息を吐き、後ずさりたくなる気持ちを押しつぶす。
友人たちにここで待っていて欲しいことを伝え、改めて意を決したクリエールが足を前に踏み出すと、自然と人波が割れた。
「――――だから、私は…………あ、ああ、クリエール」
「ごきげんよう、エングラウン様」
人波の動きに気がついたエングラウンが、歩みを進めたクリエールをいち早く見つけてくれた。呼ばれてもいないのに会話に割りこむのは褒められた行為ではないため、早めに見つけて貰えて助かったと、クリエールは内心でほっと息をついた。
しかし、なんだか様子がおかしい。つい先ほどまで、いつも通りの表情だった気がするのに、わたしを見つけた途端に若干挙動が不審になった。今までに見たことがない状態だ。いったいどうしたのだろうかと、クリエールはエングラウンに疑問を含ませた視線を向け――ふいっと目を逸らされた。
「(…………?)」
わざとらしく目を逸らされ、クリエールの胸に一瞬だけ鋭い痛みが走る。
しかし、ひと息おいてからよく見れば、エングラウンに拒絶されている風ではないように感じた。
クリエールの今までの対人経験から考えるに――これは動揺という表現が一番近い気もする。とはいえ、“エングラウン”と“動揺”は縁遠い単語なのだ。これは動揺ではないのかもしれない……それなら、この状態は何だという疑問が結局残るのだが。
クリエールは、エングラウンが動揺したところなど、六年の付き合いの中で見たことがないので、確信が持てない。
結論が出そうにないエングラウンの観察は後回しにし、クリエールはアナンツャ公爵令嬢へ体を向け、黙礼をする。
実はクリエールとアナンツャ公爵令嬢は今まで相対したことがなく、これが初対面である。さらに言うのなら、派閥は違えど、相手は公爵令嬢。クリエールから話しかけることは、無礼となる。
よって、会話をするためには相手から声をかけてもらう必要があるが……むすっとした不機嫌さを隠しもせずにだんまりを決め込んだアナンツャ公爵令嬢は、どうやらクリエールと話す気が無いらしい。学内で有名なエングラウンの婚約者がクリエールであることは周知の事実である上、この場には野次馬が多くいるというのに、ずいぶんと幼稚な態度だ。
エングラウンは、そんなアナンツャ公爵令嬢の態度に見切りをつけたのか、少し離れた場所で待っているクリエールの元へ足を向けた。しかし、「待って!」との言葉とともに強く腕を引かれ、引き止められた。
「エングラウン様……どうか、どうか、わたくしをお救いくださいまし。わたくしはもう貴方様しかお縋りできないのです……」
彼の腕を引いた細い手の主は、今にも倒れそうなほど青ざめた顔色のアナンツャ公爵令嬢。悲壮感の篭ったか細い声とともに、ぎゅっと上半身を寄せてエングラウンの腕に縋り付いた。
一瞬眉をひそめただけで、強く振り払おうとしないエングラウンに、クリエールの胸が少し重くなる。
いかなるときも紳士であろうとするのは彼の長所だが、今はそんな場合ではないのではないかと、拗ねた気持ちになる。
それと同時に、アナンツャ公爵令嬢の発言もクリエールは気になった。
エングラウンが、いつもの表情のままで特に何の反応もしていないことを鑑みるに、その話自体は既に済ませているようだ。彼女にまつわる噂で危険なものといえば――ハニートラップ疑惑か。
「(派閥内の人間では、上位者であるアナンツャ公爵の意に背くことは難しい……だから、派閥外に助けを求めた……?)」
もしそうであるのなら、気の毒な話だと思う。
家の都合に行動や将来が左右されるのは、貴族として生まれた以上仕方がないこと。クリエールとて、エングラウンとの婚約はもともと家の都合だ。
だからといって、まだ学生の身分の娘にハニートラップを仕掛けさせるなんて、問題しかない。
いやしかし、こちらの派閥にだって公爵家の女子生徒が在学中だ。そういう問題なら、彼女に相談するのが最適ではないかとの疑問が浮かぶ。彼女からみたクリエールは同派閥の後輩にあたるため、彼女には世話になっている。
訴える先に敢えてエングラウンを選んだというのなら、それ自体がハニートラップの一環である可能性が高い。
こんなことを数秒で考えたクリエールは、アナンツャ公爵令嬢に対する哀れみの感情を一旦脇に置いて、気を引き締めた。
クリエールの思考が落ち着いたのと同じ頃、エングラウンがやんわりとアナンツャ公爵令嬢の細い腕を外す。
そして、エングランは無言のまま、クリエールに向かってくる。
「……あの、エングラウン様……………………………………え?」
クリエールの目の前に立ったエングラウンの長い両腕が彼女の背にまわり、その身体をぎゅっと引き寄せた。
つまり、エングラウンが、クリエールを、抱きしめている。
「……ああ、うん。これだ」
ついでに、アナンツャ公爵令嬢も毎日のようにエングラウンにまとわりつき、袖にされている。
アナンツャ公爵令嬢に関して、クリエールは友人や派閥の先輩に意見を貰っている。
下手に気を抜かないように……という方向性は前提なのだが、それでも「あれは令嬢の恋心の暴走であり、家は関与していない可能性が高い」という見方が優勢である。正直、クリエールもそう思うことが多々ある。
しかし、いくら恋心は制御の利かぬものだといえど、それだけであんな軽挙妄動をするものなのだろうか。
しょせん、物語は誇張された内容でしかなく、現実の人間とは理性でもって動くものだとクリエールは思う。もちろん、学校にいる学生は誰もがまだ成人前である以上、未熟な面があるというのは無視できない可能性だ。
ある日、次の講義のために、クリエールが友人たちと教室を移動していれば、何かが中庭を騒がす場面に遭遇した。
「あら……どうしたのかしら」
「いやだわ。もしかして、喧嘩?」
耳に届く喧騒に、友人たちがそっと眉をひそめる。
いくら教育の行き届いた若者が集まっているとはいえ、学校とは人が集まる場なのだから喧嘩は発生する。
無駄に介入し、無関係の喧嘩に巻き込まれることほどくだらないことはないだろう。しかし、起きてしまっている事象について何も知らないというのも問題だ。
そんな言い訳で人並みの好奇心を覆いつつ意識を騒動に向ければ、クリエールの耳は聞き慣れた声を拾った。
「………………エングラウン様?」
騒ぎの中心は、腕を組んだエングラウンと、自らの豊かな胸の前で手を組んで、祈るように何かを訴えかけているアナンツャ公爵令嬢だった。
状況は依然不明なものの、その組み合わせが揉めているのなら、クリエールが無関係な確率は低い。
「……わたしは、話を聞いてきますね」
小さく溜息を吐き、後ずさりたくなる気持ちを押しつぶす。
友人たちにここで待っていて欲しいことを伝え、改めて意を決したクリエールが足を前に踏み出すと、自然と人波が割れた。
「――――だから、私は…………あ、ああ、クリエール」
「ごきげんよう、エングラウン様」
人波の動きに気がついたエングラウンが、歩みを進めたクリエールをいち早く見つけてくれた。呼ばれてもいないのに会話に割りこむのは褒められた行為ではないため、早めに見つけて貰えて助かったと、クリエールは内心でほっと息をついた。
しかし、なんだか様子がおかしい。つい先ほどまで、いつも通りの表情だった気がするのに、わたしを見つけた途端に若干挙動が不審になった。今までに見たことがない状態だ。いったいどうしたのだろうかと、クリエールはエングラウンに疑問を含ませた視線を向け――ふいっと目を逸らされた。
「(…………?)」
わざとらしく目を逸らされ、クリエールの胸に一瞬だけ鋭い痛みが走る。
しかし、ひと息おいてからよく見れば、エングラウンに拒絶されている風ではないように感じた。
クリエールの今までの対人経験から考えるに――これは動揺という表現が一番近い気もする。とはいえ、“エングラウン”と“動揺”は縁遠い単語なのだ。これは動揺ではないのかもしれない……それなら、この状態は何だという疑問が結局残るのだが。
クリエールは、エングラウンが動揺したところなど、六年の付き合いの中で見たことがないので、確信が持てない。
結論が出そうにないエングラウンの観察は後回しにし、クリエールはアナンツャ公爵令嬢へ体を向け、黙礼をする。
実はクリエールとアナンツャ公爵令嬢は今まで相対したことがなく、これが初対面である。さらに言うのなら、派閥は違えど、相手は公爵令嬢。クリエールから話しかけることは、無礼となる。
よって、会話をするためには相手から声をかけてもらう必要があるが……むすっとした不機嫌さを隠しもせずにだんまりを決め込んだアナンツャ公爵令嬢は、どうやらクリエールと話す気が無いらしい。学内で有名なエングラウンの婚約者がクリエールであることは周知の事実である上、この場には野次馬が多くいるというのに、ずいぶんと幼稚な態度だ。
エングラウンは、そんなアナンツャ公爵令嬢の態度に見切りをつけたのか、少し離れた場所で待っているクリエールの元へ足を向けた。しかし、「待って!」との言葉とともに強く腕を引かれ、引き止められた。
「エングラウン様……どうか、どうか、わたくしをお救いくださいまし。わたくしはもう貴方様しかお縋りできないのです……」
彼の腕を引いた細い手の主は、今にも倒れそうなほど青ざめた顔色のアナンツャ公爵令嬢。悲壮感の篭ったか細い声とともに、ぎゅっと上半身を寄せてエングラウンの腕に縋り付いた。
一瞬眉をひそめただけで、強く振り払おうとしないエングラウンに、クリエールの胸が少し重くなる。
いかなるときも紳士であろうとするのは彼の長所だが、今はそんな場合ではないのではないかと、拗ねた気持ちになる。
それと同時に、アナンツャ公爵令嬢の発言もクリエールは気になった。
エングラウンが、いつもの表情のままで特に何の反応もしていないことを鑑みるに、その話自体は既に済ませているようだ。彼女にまつわる噂で危険なものといえば――ハニートラップ疑惑か。
「(派閥内の人間では、上位者であるアナンツャ公爵の意に背くことは難しい……だから、派閥外に助けを求めた……?)」
もしそうであるのなら、気の毒な話だと思う。
家の都合に行動や将来が左右されるのは、貴族として生まれた以上仕方がないこと。クリエールとて、エングラウンとの婚約はもともと家の都合だ。
だからといって、まだ学生の身分の娘にハニートラップを仕掛けさせるなんて、問題しかない。
いやしかし、こちらの派閥にだって公爵家の女子生徒が在学中だ。そういう問題なら、彼女に相談するのが最適ではないかとの疑問が浮かぶ。彼女からみたクリエールは同派閥の後輩にあたるため、彼女には世話になっている。
訴える先に敢えてエングラウンを選んだというのなら、それ自体がハニートラップの一環である可能性が高い。
こんなことを数秒で考えたクリエールは、アナンツャ公爵令嬢に対する哀れみの感情を一旦脇に置いて、気を引き締めた。
クリエールの思考が落ち着いたのと同じ頃、エングラウンがやんわりとアナンツャ公爵令嬢の細い腕を外す。
そして、エングランは無言のまま、クリエールに向かってくる。
「……あの、エングラウン様……………………………………え?」
クリエールの目の前に立ったエングラウンの長い両腕が彼女の背にまわり、その身体をぎゅっと引き寄せた。
つまり、エングラウンが、クリエールを、抱きしめている。
「……ああ、うん。これだ」
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