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38. 模擬戦⑤

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「何だと?お、おいそこのトカゲ…もう一度行ってみろ…」
とアーノル先生が怒りに震えながらシズに再度聴いていた。しかし、シズは天然なのか確信犯なのかは不明だが、
「?聞こえなかったの?お前みたいな高圧的なやつよりもナギママみたいに優しくて僕のことを気に掛けてくれるような人が良いって言ったの。よってあなたは論外。残念でした。」
と言い放った。…あ~あ…これは自尊心の具現化のようなアーノル先生から屈辱以外の何にでもないでしょ…と思ったがそんな私の思いなんぞガン無視したようにシズは、
「どうしても僕を仲間に引き入れたいって言うんならやる?僕らドラゴンはより強者の元に着く種族だからね。僕に勝てたら、仲間になってもいいよ?」
とさらに火に油どころかガソリンをどかどかとぶち込むツァーリ・ボンバ級の特大爆弾発言をする。まぁこんな発言をされてはアーノル先生がブチギレないわけがなく、
「ふざけてんのか!?あぁん?いいぜ!やってやらぁ!」
とバチバチの啖呵を切る。このような状況ではアーノル先生は私が見えてはいない…つまり、
(あれ?これってチャンスなんじゃ?)
そう思った私はこっそりとドレイン魔法を発動待機状態に保持し、こっそりと近づいた。
「スキル発動《強撃》プラス《会心》!」
と先生は攻撃の準備をし、
「消し飛べ!二重詠唱、《エクステンド・ノヴァ・ツヴァ…」
「…させないよ。吸収魔法《アブソリュート・オクタ》!」
と先生が爆裂魔法を打とうとした瞬間に私は吸収魔法で先生の魔法力を吸収し0にする。格上の相手には効きずらいのが吸収魔法の唯一の弱点だが、今のように魔法力を攻撃に充てているときは魔法に対するレジストが低くなるから格上の相手にも吸収魔法が効くようになるのだ。
「クロエ!?いつの間に…?」
「ナイスなんだよクロエ!あとは任せて!」
とシズはブレスをアーノル先生に浴びせる。余談だが、シズは古龍のクリスタルドラゴンだ。クリスタルドラゴンは他の古龍種に比べると体格の小さいし、特別力が強かったり、魔法力が高かったり、珍しい魔法が使える…と言うわけではない。じゃあ何がクリスタルドラゴンが古龍と言われているのかは3つの要因からだろう。1つはその希少性。そして美しい見た目、最後に…竜種のモンスターが持つ『固有スキルユニーク』の《ブレス》だ。クリスタルドラゴンは他の竜種と違い、唯一土属性がベースのブレスを撃てる竜であり、他にも光属性のブレスが撃てるなど、ブレスが多く使える種族で特に“クリスタルブレス”と言われているブレスは当たった対象の魔法力を体表で結晶化させる特性を持っており長時間浴びると、
「………。」
「シズーもうアーノル先生結晶に辻込められてるよ。もう十分じゃない?」
「あ、そうだね。じゃあ最後に…えい!」
とシズは尻尾でアーノル先生を結晶ごと粉々に砕いた。
「うっし、お終い。ルイト探しに行こっか。」
と言い私たちはルイトを探しに歩き出すのだった
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