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本編

 53話 久しぶりの学校

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2日後、僕は久しぶりに学校を訪れていた。
「ああ、疲れた…久しぶりすぎてなんか色々と新鮮だな。」
と僕は懐かしの自分の座布団に座る。
「おお、マコt…じゃなかった、えっと、なんだっけ?」
「一樹だよ。久しぶり、和人。背が少しのびたか?」
と僕は和人に聞くと、
「お前の方が伸びてると思うぞ。顔色もだいぶ良くなったな。」
と言った。
「あ、久しぶり!元気そうだね。」
と後ろから声がした。声のしたほうを向くと、そこには仲のいいボーイッシュな少女、美希乃優華がいた。
「おお、美希乃か、久しぶり、元気だった?」
と聞くと、
「もちろん、むしろ元気すぎるぐらいよ。」
と帰ってきた。それからも、クラスのいろんな奴が声をかけてくれた。約二ヶ月近く学校に行ってなかったが、色々変わっていてびっくりした。中でもびっくりしたのは、
「…あの、真由その子だれ?」
「お姉さま!おはようございます。今日はいつにも増して嬉しそうですね!」
「今、その疑問に答えてる暇ないの!話が聞きたいならこのバカちんを止めて!」
と真由は言った。
「え~でも俺たち男だからな…」
「だよな…」
が流石は高校生。思春期真っ只中な男子二名にはその役目を果たすには相当な心理的ハードルと周囲の目をものともしない鋼のメンタルが必要だ。するとそれを察したのか、
「はいはい、葉月ちゃん離れようね~。」
「なんですか?やめてください。話してください!お、お姉さま~。」
と美希乃ともう1人、知らない女子生徒が真由にべったりな少女を引っぺがすとどこかに連行していった。
「…何?今の。」
と和人に聞くと、
「お前がいない間にできた新しいモーニングルーティン。」
と言った。僕は軽く絶句した。こんな斬新な朝のルーティンなんてあってたまるかというのが僕の正直な感想だ。
「わかるよ、その気持ち。俺も初めの方はこの状況飲み込めなかったから。」
と、遠い目をした和人が生暖かい目をこっちに向けてきた。
「和人、その目やめて。で?さっきのあの子は誰ですか?」
と真由に聞くと、
「同級生で、二つお隣のクラスの桜葉月さん。」
と真由はムスっとした表情で答えながら、制服のスカートのプリーツを整える。
「OK、どういう子なんだ?」
「オブラートに包んでいうと、私ガチ恋勢で積極的すぎる子。」
「ん、把握。」
どうやらあの葉月とかいう生徒、真由の中ではちょっとした危険人物扱いのようだ。まあそれは良いんだ。人間の個性は10人10色だからいろんな人がいるのは僕自身一番よくわかっている。わかっているだけれど…
『(一体全体…僕が寝てた二ヶ月間に一体何があったんだ…)』
と疑問が拭いきれない今日この頃だった。
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