33 / 61
本編
34話 凶刃⑥
しおりを挟む
翌日、学校は休みだったため僕は自室で動画の編集をしていた。
「えっと、ここでこの映像を使って…この立ち絵をここで変更してっと…」
と呟きながらノートパソコンのキーボードを叩いていると、扉をノックする音と共に、
「マコトくん、いる?お昼できたよ。」
と優希が呼びに来たので
「わかった。すぐに行く。」
と言うと僕は進捗を保存して扉を開けると、
「みこちゃん!お昼だよ。」
「ちょ、ちょっち待って。後ここだけやったら行くから。」
「もう、それさっきも言ってたよ。ほら、お兄ちゃんも出てきてるから。4人でお昼食べるよ。」
と美琴の部屋から2人の話し声がする。
「はぁ、これじゃあどっちが年上かわからんな…」
と僕は2人に聞こえない程度の声量で呟くと、階段を降りてリビングに行くと、キッチンに真由がいた。
「お、今回は早かったね。…美琴はまた粘ってるの?」
「そうみたい…優希がお母さんみたいなこと言ってたよ。全く、どっちが年上なんだか…あ、この皿持ってくな。」
「ん?、ああ。お願い。」
と2人で話す。しばらくすると、少し疲弊した優希と、美琴がやってきた。
「ごめんごめん、お待たせ。」
と少し申し訳なさそうに言うが、
「もうちょっと早く来ようね。みこちゃん。」
と優希に諭されていた。
「うっ…わかったよ…」
とバツが悪そうにしながら美琴は椅子に座ると、
「今日のお昼はパスタ?」
と真由に聞いていた。
「あっ、話変えて逃げた。」
と言うが美琴はそれを無視した。
「ええ。見ての通りよ。ソースは三つあるから好きなのかけてね。」
と言った。余談だが、真由はソース系の調味料を作るのがめちゃくちゃうまい。ミートソースはひき肉がたっぷりだし、カルボナーラは、しっかりミルクの味がするし、和風ソースも出汁がしっかり聞いていて、醤油の主張が強すぎず、ちょうどいい。なんだかんだで真由もだいぶ料理が上手くなっていた。
「真由ねぇちゃん、料理だいぶ上手くなってない?」
と優希が僕に聞いてきた。僕は和風パスタを口に入れると、
「そうだな。だいぶ上手くなってると思う。」
と言うと、
「えへへ…なんか褒められると嬉しいな…一杯食べてね。」
と真由ははにかみながら言った。
「あ~美味かった。ご馳走様。」
と言い、自室に戻ると僕は動画の編集作業に戻った。カタカタとしばらくの間僕の部屋にはキーボードでタイピングする音が響く。何時間たったのだろうか…日が傾いた頃に
「お、終わった~!」
と言い僕は思いっきり伸びをした。
その時、ピンポーンとチャイムが鳴ったため、僕は
「はーい、今開けまーす。」
と言い扉を開けるとそこには、物凄い形相をした母さんがいた。
「母さんか。何しにk…」
何しに来たんだ?と聞こうとしたその時だった。母さんが一歩こちらに踏み込むと同時に、ドスッという音が僕の左の脇腹の辺りから聞こえた。
「あ…え…?」
と音のした方を恐る恐る見ると、刃渡りが15cmはありそうな出刃包丁が深々と刺さっていた。それを確認した瞬間に僕の体が焼けるように熱くなった。
「なん…で?」
と僕は今にも崩れ落ちそうな体を必死に支えながら聞いた。すると母さんは、
「何でって…決まってるでしょう?親が子供より不幸なんてことはあり得ないのよ。それにねマコト、良いことを教えてあげる。“死は救済”なのよ。」
と言うと、母さんは僕の顔を思いっきり殴る。その衝撃に耐える事ができず、後ろに倒れ玄関の上がり框の段差で後頭部を強く打った。
「ウグッ…」
と変な声が口から漏れる。薄れていく意識の中
「これはあなたが悪いのよ。恨むのなら私をここまで怒らせた自分の愚かさを恨みなさい。」
と言う声と、母さんが走り去る姿を最後に僕の意識は真っ黒な闇に塗りつぶされた。
「えっと、ここでこの映像を使って…この立ち絵をここで変更してっと…」
と呟きながらノートパソコンのキーボードを叩いていると、扉をノックする音と共に、
「マコトくん、いる?お昼できたよ。」
と優希が呼びに来たので
「わかった。すぐに行く。」
と言うと僕は進捗を保存して扉を開けると、
「みこちゃん!お昼だよ。」
「ちょ、ちょっち待って。後ここだけやったら行くから。」
「もう、それさっきも言ってたよ。ほら、お兄ちゃんも出てきてるから。4人でお昼食べるよ。」
と美琴の部屋から2人の話し声がする。
「はぁ、これじゃあどっちが年上かわからんな…」
と僕は2人に聞こえない程度の声量で呟くと、階段を降りてリビングに行くと、キッチンに真由がいた。
「お、今回は早かったね。…美琴はまた粘ってるの?」
「そうみたい…優希がお母さんみたいなこと言ってたよ。全く、どっちが年上なんだか…あ、この皿持ってくな。」
「ん?、ああ。お願い。」
と2人で話す。しばらくすると、少し疲弊した優希と、美琴がやってきた。
「ごめんごめん、お待たせ。」
と少し申し訳なさそうに言うが、
「もうちょっと早く来ようね。みこちゃん。」
と優希に諭されていた。
「うっ…わかったよ…」
とバツが悪そうにしながら美琴は椅子に座ると、
「今日のお昼はパスタ?」
と真由に聞いていた。
「あっ、話変えて逃げた。」
と言うが美琴はそれを無視した。
「ええ。見ての通りよ。ソースは三つあるから好きなのかけてね。」
と言った。余談だが、真由はソース系の調味料を作るのがめちゃくちゃうまい。ミートソースはひき肉がたっぷりだし、カルボナーラは、しっかりミルクの味がするし、和風ソースも出汁がしっかり聞いていて、醤油の主張が強すぎず、ちょうどいい。なんだかんだで真由もだいぶ料理が上手くなっていた。
「真由ねぇちゃん、料理だいぶ上手くなってない?」
と優希が僕に聞いてきた。僕は和風パスタを口に入れると、
「そうだな。だいぶ上手くなってると思う。」
と言うと、
「えへへ…なんか褒められると嬉しいな…一杯食べてね。」
と真由ははにかみながら言った。
「あ~美味かった。ご馳走様。」
と言い、自室に戻ると僕は動画の編集作業に戻った。カタカタとしばらくの間僕の部屋にはキーボードでタイピングする音が響く。何時間たったのだろうか…日が傾いた頃に
「お、終わった~!」
と言い僕は思いっきり伸びをした。
その時、ピンポーンとチャイムが鳴ったため、僕は
「はーい、今開けまーす。」
と言い扉を開けるとそこには、物凄い形相をした母さんがいた。
「母さんか。何しにk…」
何しに来たんだ?と聞こうとしたその時だった。母さんが一歩こちらに踏み込むと同時に、ドスッという音が僕の左の脇腹の辺りから聞こえた。
「あ…え…?」
と音のした方を恐る恐る見ると、刃渡りが15cmはありそうな出刃包丁が深々と刺さっていた。それを確認した瞬間に僕の体が焼けるように熱くなった。
「なん…で?」
と僕は今にも崩れ落ちそうな体を必死に支えながら聞いた。すると母さんは、
「何でって…決まってるでしょう?親が子供より不幸なんてことはあり得ないのよ。それにねマコト、良いことを教えてあげる。“死は救済”なのよ。」
と言うと、母さんは僕の顔を思いっきり殴る。その衝撃に耐える事ができず、後ろに倒れ玄関の上がり框の段差で後頭部を強く打った。
「ウグッ…」
と変な声が口から漏れる。薄れていく意識の中
「これはあなたが悪いのよ。恨むのなら私をここまで怒らせた自分の愚かさを恨みなさい。」
と言う声と、母さんが走り去る姿を最後に僕の意識は真っ黒な闇に塗りつぶされた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
【完結】王太子妃の初恋
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。
王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。
しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。
そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。
★ざまぁはありません。
全話予約投稿済。
携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。
報告ありがとうございます。
浮気中の婚約者が私には塩対応なので塩対応返しすることにした
今川幸乃
恋愛
スターリッジ王国の貴族学園に通うリアナにはクリフというスポーツ万能の婚約者がいた。
リアナはクリフのことが好きで彼のために料理を作ったり勉強を教えたりと様々な親切をするが、クリフは当然の顔をしているだけで、まともに感謝もしない。
しかも彼はエルマという他の女子と仲良くしている。
もやもやが募るもののリアナはその気持ちをどうしていいか分からなかった。
そんな時、クリフが放課後もエルマとこっそり二人で会っていたことが分かる。
それを知ったリアナはこれまでクリフが自分にしていたように塩対応しようと決意した。
少しの間クリフはリアナと楽しく過ごそうとするが、やがて試験や宿題など様々な問題が起こる。
そこでようやくクリフは自分がいかにリアナに助けられていたかを実感するが、その時にはすでに遅かった。
※4/15日分の更新は抜けていた8話目「浮気」の更新にします。話の流れに差し障りが出てしまい申し訳ありません。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる