偽勇者扱いされて冤罪をかぶせられた俺は、ただひたすらに復讐を続ける

大沢 雅紀

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焼き討ち

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「ゆ、ゆるしてけろ。オラたちは勇者に騙されてたんだ」
「お願い!せめて子供だけでも助けて!」
命乞いをする父を切り殺し、哀願する母を子供もろとも焼き殺す。
「ご、ごめんなさい。ごはんなんて、いくらでも作ってあげるから!そ、そうだ。この体を自由にしていいから。ね、ねえ。私たち幼馴染でしょ。見逃して!」
必死に誘惑しようとする若い娘を、何のためらいもなく一刀両断する。
あっという間にモース村は炎に包まれた。
「うわあああああ!逃げろ!」
家に立てこもっても無駄で、俺を説得することもできないと知った村人たちは、反対側の村の門から着の身着のまま逃げ出していく。
「くくく。逃げろ逃げろ。どうせ逃げても無駄だしな」
俺はあえて追いかけず、ひたすら逃げ遅れた村人たちを虐殺していった。
そして一番奥の家に押し入ると、椅子に座った村長と対面する。
村長は俺を見ると、深いため息をついた。
「やはり、この時が来たか。もはやすべてはおしまいじゃな」
村長の顔には、諦めが浮かんでいた。
「お前は逃げないのか?」
「逃げても仕方あるまい。モース村は滅んだ。無一文で逃げてほかの村に行っても、奴隷にされるだけよ」
さすがに村長ともなれば、財産をもたない村人たちがよその土地にいってもまともに生きていけないことを知っているようだった。
「モーリスはどうなった?」
「まだ生きてはいるだろうぜ。ダンジョンゴキブリの餌になっているだろうがな」
俺がそう告けると、村長は再び深いため息をついた。
「そうか……愚か者め。あれほどお前を追い詰めるなと言い聞かせていたのに」
「知るか。止めなかったお前にも責任があるだろうが」
俺がそう指摘すると、村長は寂しそうにうなずいた。
「わしらの罪は認める。お前の罪も冤罪じゃろう。そのうえで頼む。復讐はこの村だけにとどめて、勇者の正統後継者としてその力を世のため人のために使ってはくれまいか?」
「ふざけるな」
村長の都合のいい頼みごとを、俺は鼻て笑って拒否した。
「そうか……これも勇者の血筋を軽んじた、我々に対する罰なのじゃろう。さあ、遠慮なくワシを殺すがいい」
「そうか。なら死ね」
俺はあっさりと村長の首をはねる。
家の外に出ると、もはやすべての村人たちが逃げ出した後だった。
「さてと……奴らが帰ってこれないようにしないとな」
俺は周囲の麦畑に火をつける。燃え上がる麦畑を見ながら、俺は復讐の愉悦に浸っていた。
「このコルタール地方は、王国の穀倉地帯だ。麦畑を焼いていけば、いずれ王国に深刻な食糧不足をもたらすだろうぜ」
復讐を終えた俺は、村の家々を回って食料と金を集めていく。
「まっていろよ。俺を陥れたすべての者たち」
最後にすべての家に火をつけて、俺は次の村に向かっていった。
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