77 / 80
海底トンネル
しおりを挟む
「なんで地下なんかに?」
「表向きは日本と高麗半島を結ぶ海底トンネルが掘られていることになっているが、真の目的は違う。太古の昔、大和朝廷によって封じられた『要石』を掘り出すつもりなのだ」
『要石』とは、日本に大地震をもたらす大ナマズを押さえつけているといわれている霊石のことである。
「『要石』が埋まっている所は日本の龍脈、つまり大地の電気エネルギーが集まっているポイントだね。でも、なぜそんなものを?」
「わからぬ。ナイトメアは、おそらく洗脳されていない。自らの意思で『涅槃』に協力している。彼女の目指す人類の進化の方向が、奴らと一致しているからだ。もし彼女が『要石』を手に入れると、いったい何が起こるか想像もつかん」
それを聞いて、姫子たちはいてもたってもいられなくなった。
「すぐに行きましょう」
後醍醐を防衛司令官の誠也に任せ、姫子たち五人は佐我県に飛ぶのだった。
その頃、マリアンヌは南方商社の本社を訪れていた。
「桐人君。そろそろやってもらいたいことがあります」
「なんなりとお命じ下さい」
桐人はマリアンヌの前では、忠実な騎士のようにふるまう。それを見て、マリアンヌはニヤリと笑った。
「信者たちを集めて、合同結婚式を開きましょう。そこで、私とあなたが結婚して、新たに世界統合教会の教主に地位につくのです」
それを聞いて、桐人は歓喜の表情を浮かべた。
「お、俺がマリアンヌ様と結婚……教主の地位」
「ええ、そうなると、金も女も権力も、すべて思いのまま。南朝の末裔であるあなたが、それにふさわしい地位に就くのよ」
マリアンヌは桐人の耳元で、甘くささやく。
「すぐに結婚式を開きましょう」
こうして、世界統合教会は信者に通達を出し、合同結婚式が日本の佐我県にある支部で開かれることになるのだった。
世界統合教会、日本支部
マリアンヌの意識の中で、真理亜とナイトメアが会話していた。
「本当に桐人と結婚していいの?」
「うん。あいつ顔だけはいいし。豪華な結婚式をして、世界中に幸せな姿をみせつけたやるんだ💛」
マリアンヌの意識の中にいる真理亜は、そういって無邪気に喜んだ。
「そう……ふふふ。可愛いわね」
同じくマリアンヌの中にいるナイトメアは、妖艶に微笑む。
その時、白いタキシードをきた桐人がやってきた。
「綺麗だよ……真理亜」
「桐人君こそ……かっこいい」
バラの花花を渡されたマリアンヌは、真理亜の声でそう返す。
「さあ、二人の幸せへの門出よ。世界統合教会の教主になるための、儀式の場所にいきましょう」
マリアンヌに導かれ、桐人は日本支部に掘られたトンネルを通って地下へと降りていった。
「これが、日本の地下にいるという『大鯰』を抑えているという『要石』よ。別名『天の御柱』とも呼ばれていて、日本の天地開闢の基となったといわれているわ」
地下通路の先には、大きな三つの石柱が立っており、その中央には神宝を収めるための窪みがあった。
「では、これから結婚式を始めます。桐人君。あなたの『三種の神宝』を石柱にセットして」
「おもしれえ。何が起こるか楽しみだぜ」
桐人はそういいながら、『雷神剣』『空神珠』『地神盾』を窪みに収める。
「次に、これら三つの神宝のエネルギーを、桐人君に注入するわ。これであなたは、日本を正統に支配する南朝の帝になれるわよ」
「ああ。受けてやるぜ」
桐人は三角形に並べられた石柱の中央に設置されているる台の上に横になった。
「いいわ。只今から儀式を始めます。かしこみかしこみ申す。天の御柱のおん前にて、天孫の御命捧げたもう。願わくば、我に天地の詔を授けたまわることを、ここにかしこみ申し上げる」
ナイトメアの声が響き渡ると同時に三つの柱から電流がはしり、桐人の身体へと集まっていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!痛い」
桐人は、その体にはしる激痛に絶叫を上げた。
「ちょっと。命を捧げるってどういうことよ。これは結婚の儀式じゃなかったの?」
マリアンヌの口から、真理亜の声が漏れる。
「結婚?あはは。おめでたいわね。たかがそんな事のために、この大切な『天の御柱』を起動させるわけないじゃない」
同じ口から、ナイトメアの哄笑が放たれた。
「だ、だましたのね」
「だましてなんかいないわ。勇人への復讐に協力してあげたじゃない。今度はあなたたちが私に協力してもらう番よ。ほら、彼を生贄にささげることで、日本を支える龍脈が動き始めたわ」
三つの柱から放たれた電気エネルギーは、桐人の肉体を媒介にして、地中に広がっていった。
「さあ、あの方の理想世界の実現のための実験場として、日本を使わせてもらうわ。すべての日本人たちを、夢の中にいざないなさい」
三つの柱から放たれた電気エルルギーは、地中を通る龍脈を通じて日本中に広がり、人々の脳に影響を及ぼす。
「ふわぁ……なんだか眠くなってきた」
「本当。すこし眠ろう」
影響を受けた人々は眠りにつき、夢を見始めるのだった。
「あはは。いずれ日本中の人間の魂を私が作った『夢世界(ユートピア)』に封じ込めることができる。あの方の理想が成就するのよ」
悦に入るナイトメアに、内側から反抗する声が聞こえる。
「冗談じゃないわ。みんなから崇められたいの。私をあがめるべき日本の人々を眠らせてどうするのよ」
延々と喚き続ける真理亜の声に、マリアンヌはうるさそうに顔をしかめる。
「ほんと、身の程を知らない小娘ね。あなたはもういらないわ」
そういうと、マリアンヌは自らの胸に手を当てて、何かをひっぱりだす動作をした。マリアンヌの手の中に、輝く小さな魂が現れる。
「さようなら。哀れな小娘よ。あなたの身体は、私が有効利用してあげる」
「いやぁぁぁぁぁぁ」
マリアンヌは、叫びづづける真理亜の魂を、日本を走る龍脈の中に投げ入れるのだった。
世界統合教会の日本支部に向かっている「カグヤ」に、ブラックナイトから警告が入る。
「日本の龍脈が暴走を始めました。このままでは日本人全員が二度とさめない眠りに落とされ、滅亡してしまいます」
ナイトが現れ、サタンに警告する。空中に映像が浮かび、佐我県の世界統合教会の支部から放たれた電気エネルギーが日本全土を覆っていく様子が映し出された。
「やばいよ。何か始まったみたいだ」
「私たちが止めましょう。みんな、勇人さんを救い出して、奴らの野望を食い止めるのです」
姫子の言葉に、美亜、玲、アルカードも覚悟を決めた顔になるのだった。
「世界統合教会の日本支部が見えてきたよ。あそこに日朝トンネルの入り口があるけど、周囲は信者たちに固められているね」
サタンが地上を示す。豪華で壮麗な建物の近くに「日朝トンネル建設中」と書かれた看板がついた入口があった。
「相手をするのも面倒です。このまま突っ込みましょう」
そういって、姫子は『カグヤ』に降下するように念じる。
「な、なんだあれは」
「巨大なダイヤが落ちてきた。逃げろ」
いきなり空から落ちてきた巨大なUFOに、警備していた信者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
トンネルに向けて落下した「カグヤ」は、その機体で入口を完全にふさぐ。
「姫子ちゃんって、清楚な顔しているのに意外と過激にゃ」
「勇人さんの魂をとりもどすためには、なんだってやりますよ。行きましょう」
姫子、玲、美亜、アルカード、サタンの五人は、トンネルを通って地下を進んでいく。
このトンネルの内部は立ち入り禁止になっているのか、信者の姿も見かけず、五人は誰にも邪魔されずに奥まで進むことができた。
「表向きは日本と高麗半島を結ぶ海底トンネルが掘られていることになっているが、真の目的は違う。太古の昔、大和朝廷によって封じられた『要石』を掘り出すつもりなのだ」
『要石』とは、日本に大地震をもたらす大ナマズを押さえつけているといわれている霊石のことである。
「『要石』が埋まっている所は日本の龍脈、つまり大地の電気エネルギーが集まっているポイントだね。でも、なぜそんなものを?」
「わからぬ。ナイトメアは、おそらく洗脳されていない。自らの意思で『涅槃』に協力している。彼女の目指す人類の進化の方向が、奴らと一致しているからだ。もし彼女が『要石』を手に入れると、いったい何が起こるか想像もつかん」
それを聞いて、姫子たちはいてもたってもいられなくなった。
「すぐに行きましょう」
後醍醐を防衛司令官の誠也に任せ、姫子たち五人は佐我県に飛ぶのだった。
その頃、マリアンヌは南方商社の本社を訪れていた。
「桐人君。そろそろやってもらいたいことがあります」
「なんなりとお命じ下さい」
桐人はマリアンヌの前では、忠実な騎士のようにふるまう。それを見て、マリアンヌはニヤリと笑った。
「信者たちを集めて、合同結婚式を開きましょう。そこで、私とあなたが結婚して、新たに世界統合教会の教主に地位につくのです」
それを聞いて、桐人は歓喜の表情を浮かべた。
「お、俺がマリアンヌ様と結婚……教主の地位」
「ええ、そうなると、金も女も権力も、すべて思いのまま。南朝の末裔であるあなたが、それにふさわしい地位に就くのよ」
マリアンヌは桐人の耳元で、甘くささやく。
「すぐに結婚式を開きましょう」
こうして、世界統合教会は信者に通達を出し、合同結婚式が日本の佐我県にある支部で開かれることになるのだった。
世界統合教会、日本支部
マリアンヌの意識の中で、真理亜とナイトメアが会話していた。
「本当に桐人と結婚していいの?」
「うん。あいつ顔だけはいいし。豪華な結婚式をして、世界中に幸せな姿をみせつけたやるんだ💛」
マリアンヌの意識の中にいる真理亜は、そういって無邪気に喜んだ。
「そう……ふふふ。可愛いわね」
同じくマリアンヌの中にいるナイトメアは、妖艶に微笑む。
その時、白いタキシードをきた桐人がやってきた。
「綺麗だよ……真理亜」
「桐人君こそ……かっこいい」
バラの花花を渡されたマリアンヌは、真理亜の声でそう返す。
「さあ、二人の幸せへの門出よ。世界統合教会の教主になるための、儀式の場所にいきましょう」
マリアンヌに導かれ、桐人は日本支部に掘られたトンネルを通って地下へと降りていった。
「これが、日本の地下にいるという『大鯰』を抑えているという『要石』よ。別名『天の御柱』とも呼ばれていて、日本の天地開闢の基となったといわれているわ」
地下通路の先には、大きな三つの石柱が立っており、その中央には神宝を収めるための窪みがあった。
「では、これから結婚式を始めます。桐人君。あなたの『三種の神宝』を石柱にセットして」
「おもしれえ。何が起こるか楽しみだぜ」
桐人はそういいながら、『雷神剣』『空神珠』『地神盾』を窪みに収める。
「次に、これら三つの神宝のエネルギーを、桐人君に注入するわ。これであなたは、日本を正統に支配する南朝の帝になれるわよ」
「ああ。受けてやるぜ」
桐人は三角形に並べられた石柱の中央に設置されているる台の上に横になった。
「いいわ。只今から儀式を始めます。かしこみかしこみ申す。天の御柱のおん前にて、天孫の御命捧げたもう。願わくば、我に天地の詔を授けたまわることを、ここにかしこみ申し上げる」
ナイトメアの声が響き渡ると同時に三つの柱から電流がはしり、桐人の身体へと集まっていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!痛い」
桐人は、その体にはしる激痛に絶叫を上げた。
「ちょっと。命を捧げるってどういうことよ。これは結婚の儀式じゃなかったの?」
マリアンヌの口から、真理亜の声が漏れる。
「結婚?あはは。おめでたいわね。たかがそんな事のために、この大切な『天の御柱』を起動させるわけないじゃない」
同じ口から、ナイトメアの哄笑が放たれた。
「だ、だましたのね」
「だましてなんかいないわ。勇人への復讐に協力してあげたじゃない。今度はあなたたちが私に協力してもらう番よ。ほら、彼を生贄にささげることで、日本を支える龍脈が動き始めたわ」
三つの柱から放たれた電気エネルギーは、桐人の肉体を媒介にして、地中に広がっていった。
「さあ、あの方の理想世界の実現のための実験場として、日本を使わせてもらうわ。すべての日本人たちを、夢の中にいざないなさい」
三つの柱から放たれた電気エルルギーは、地中を通る龍脈を通じて日本中に広がり、人々の脳に影響を及ぼす。
「ふわぁ……なんだか眠くなってきた」
「本当。すこし眠ろう」
影響を受けた人々は眠りにつき、夢を見始めるのだった。
「あはは。いずれ日本中の人間の魂を私が作った『夢世界(ユートピア)』に封じ込めることができる。あの方の理想が成就するのよ」
悦に入るナイトメアに、内側から反抗する声が聞こえる。
「冗談じゃないわ。みんなから崇められたいの。私をあがめるべき日本の人々を眠らせてどうするのよ」
延々と喚き続ける真理亜の声に、マリアンヌはうるさそうに顔をしかめる。
「ほんと、身の程を知らない小娘ね。あなたはもういらないわ」
そういうと、マリアンヌは自らの胸に手を当てて、何かをひっぱりだす動作をした。マリアンヌの手の中に、輝く小さな魂が現れる。
「さようなら。哀れな小娘よ。あなたの身体は、私が有効利用してあげる」
「いやぁぁぁぁぁぁ」
マリアンヌは、叫びづづける真理亜の魂を、日本を走る龍脈の中に投げ入れるのだった。
世界統合教会の日本支部に向かっている「カグヤ」に、ブラックナイトから警告が入る。
「日本の龍脈が暴走を始めました。このままでは日本人全員が二度とさめない眠りに落とされ、滅亡してしまいます」
ナイトが現れ、サタンに警告する。空中に映像が浮かび、佐我県の世界統合教会の支部から放たれた電気エネルギーが日本全土を覆っていく様子が映し出された。
「やばいよ。何か始まったみたいだ」
「私たちが止めましょう。みんな、勇人さんを救い出して、奴らの野望を食い止めるのです」
姫子の言葉に、美亜、玲、アルカードも覚悟を決めた顔になるのだった。
「世界統合教会の日本支部が見えてきたよ。あそこに日朝トンネルの入り口があるけど、周囲は信者たちに固められているね」
サタンが地上を示す。豪華で壮麗な建物の近くに「日朝トンネル建設中」と書かれた看板がついた入口があった。
「相手をするのも面倒です。このまま突っ込みましょう」
そういって、姫子は『カグヤ』に降下するように念じる。
「な、なんだあれは」
「巨大なダイヤが落ちてきた。逃げろ」
いきなり空から落ちてきた巨大なUFOに、警備していた信者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
トンネルに向けて落下した「カグヤ」は、その機体で入口を完全にふさぐ。
「姫子ちゃんって、清楚な顔しているのに意外と過激にゃ」
「勇人さんの魂をとりもどすためには、なんだってやりますよ。行きましょう」
姫子、玲、美亜、アルカード、サタンの五人は、トンネルを通って地下を進んでいく。
このトンネルの内部は立ち入り禁止になっているのか、信者の姿も見かけず、五人は誰にも邪魔されずに奥まで進むことができた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界帰りの勇者は現代社会に戦いを挑む
大沢 雅紀
ファンタジー
ブラック企業に勤めている山田太郎は、自らの境遇に腐ることなく働いて金をためていた。しかし、やっと挙げた結婚式で裏切られてしまう。失意の太郎だったが、異世界に勇者として召喚されてしまった。
一年後、魔王を倒した太郎は、異世界で身に着けた力とアイテムをもって帰還する。そして自らを嵌めたクラスメイトと、彼らを育んた日本に対して戦いを挑むのだった。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる