72 / 80
教主ドラクル
しおりを挟む
「どうやら、撃退に成功したみたいですね」
ユグドラシルの指令室でモニターを通じて、亜人類たちの戦いをみていた姫子は、ほっと胸をなでおろす。
「まだわからねえ。アイツが出てきたら、おそらく兵士たちでは止められないだろう」
「アイツって、誰にゃ」
美亜が首をかしげる。
「俺の親父さ。『血人類(バンパイヤ)』のリーダーで、世界統合教会の教主、12使徒の1人ドラクル。何百年も生きた奴は普通の吸血鬼とはちがう、恐ろしい能力を持っているんだ」
「……恐ろしい能力って何?」
「それは……」
玲の問いかけにアルカードが答えようとした時、反射艇から蝙蝠の羽と鷲の翼をもつ人影が飛び出してきた。
「くくく、なかなかやるな。やはり余が出なければならんか」
その影は空を飛んで、一直線に後醍醐の中央エレベータ『モーゼ』に侵入とようとした。
「あいつを止めろ」
「無駄だ。何百年もの間、様々な亜人類の血を吸ってきた余は、いつしかその能力をこの体に取り入れることができるようになった。当然、『土人類(ドワーフ)』の力も身に着けておる。『土石鋼』」
誠也たちがウォーターマシンガンを放つが、その影はものともせずに跳ね返す。
その影ードラクルは、余裕の表情で空中で手を振った。
「『地震雷』」
ドラクルの手から放たれた雷は、『森人類(エルフ)』たちの数倍の電力で地中を奔り、後醍醐の兵士たちを昏倒させた。
「これで邪魔者はいなくなった」
そうつぶやくと、中央のモーゼエレベーターを使って一気にユグドラシルの中心部に向かう。
「いけない。あいつの狙いはユグドラシルの心臓部『ゼウス』だよ。あそこを吸血鬼化されたら、すべての海設都市が腐ってしまう」
サタンの言葉をきいて、慌てて姫子たちもユグドラシルの中心部に向かう。
「親父……大切な者を守るために、俺はあんたを倒す」
中央エレベータ―を降りながら、アルカードはそう心に決めるのだった。
「いいか、ここは俺たちが守るんだ」
「私たちの故郷は、私たちの手で守るのよ」
常温水素融合発電炉「ゼウス」に通じる通路では、後醍醐に移住した『血人類(バンパイヤ)』と『女人類(ウイッチ)』の兵士たちが守っていた。
しかし、突然侵攻してきたたった一人の侵入者に蹴散らされてしまう。
「うわっ」
ドラクルの腕の一振りで、義勇兵に参加していた酒場の主人が吹っ飛んだ。
「ふん。雑魚には用はない……ん?」
ドラクルの前に、三つの道が現れる。
「なるほど。『女人類(ウイッチ)』たちによる光映像を使った幻覚だな。だが、余にとっては児戯に等しい。むん」
三つの通路を無視して、何の変哲もない壁に雷を放つ。
すると壁の映像が崩れ、『ゼウス』へと通じる道が現れた。
「この先が心臓部ということだな」
ドラクルは悠々と足を進め,ついに『ゼウス』が設置している心臓部にたどりつく。
『ゼウス』が収められている異空間は、エネルギーを取り入れるためのユグドラシルの蔓に覆われていた。
「さすがの余でも、水爆並みのエネルギ―を常に発し続けている『ゼウス』本体には手がだせぬ。だが、この絡まっている蔦に吸血鬼化させると」
ドラクルは『ゼウス』に絡みついている蔦に噛みつき、バンパイヤウイルスを打ち込む。
すると、ドラクルに噛みつかれた部分が『吸血花ドラクレア』と化していった。
「これでよい。あとは数時間もすれば、ユグドラシルは余の僕となる。その力をつかって『吸血花ドラクレア』を世界中に広げ、一気に世界を征服してやるのだ!」
ドラクルの高笑いが、ユグドラシルの心臓部に響き渡るのだった。
姫子、玲、美亜、アルカードの四人は、ドラクルの侵入の報告を受けて慌てて心臓部に向かう。
その通路には、大勢の『血人類(バンパイヤ)』と『女人類(ウイッチ)』の兵士たちが倒れていた。
「姫、すいません。奴をとめられませんでした」
酒場の主人が、悔しそうに訴える。
「気にするな。親父はきっと俺が止めて見せる」
アルカードは彼の手を握って、そう約束する。
四人がゼウスの間に入ると、黒いマントを広げたドラクルが迎えた。
「我が娘。アルカードよ。やっと会うことができた。愚か者どもにさらわれて15年。お前のことを忘れたことは片時もなかったぞ」
ドラクルは、慈悲深い父親の顔をしてアルカードに呼びかける。
「余の元へ戻ってこい。お前こそがいずれ余の後を継ぎ、世界を統べる女王となる者なのだ」
ドラクルから差し出された手を、アルカードは振り払った。
「はっ、お断りだ。女王なんて窮屈なものになりたくねえよ。俺は今まで通りに自由に生きていくんだ。それに」
アルカードは、共に来た三人を振り返る。
「俺には仲間も居場所もできた。借りをかえさないといけない男もな。親父の狂った世界征服の野望なんか、付き合っている暇はねえんだよ」
それを聞いて、ドラクルは残念そうに笑った。
「惜しいな。お前は数百年にも及ぶ余の人生で、初めて生まれた子なのにな。まあよい。余が世界を制したのち、世界中の女と子づくりを試して新たな子を作るとしよう」
そういうと、ドラクルはアルカードたちに対して身構えた。
「姫子、電気を流して、ユグドラシルの吸血鬼化を止めてくれ」
「わかりました」
姫子はユグドラシルの心臓部の壁に手をついて、広がろうとする『吸血花ドラクレア』の根を焼き切って広がるのを食い止めようとする。
「無駄だ。ドラクレアは余の意思に反応してどこまでも繁殖する。ククク、お前の力でいつまで抑えておけるかな」
「だったら親父、あんたを倒すまでだ」
アルカード、玲、美亜の三人は、ドラクルに対して戦いを挑んでいった。
ユグドラシルの指令室でモニターを通じて、亜人類たちの戦いをみていた姫子は、ほっと胸をなでおろす。
「まだわからねえ。アイツが出てきたら、おそらく兵士たちでは止められないだろう」
「アイツって、誰にゃ」
美亜が首をかしげる。
「俺の親父さ。『血人類(バンパイヤ)』のリーダーで、世界統合教会の教主、12使徒の1人ドラクル。何百年も生きた奴は普通の吸血鬼とはちがう、恐ろしい能力を持っているんだ」
「……恐ろしい能力って何?」
「それは……」
玲の問いかけにアルカードが答えようとした時、反射艇から蝙蝠の羽と鷲の翼をもつ人影が飛び出してきた。
「くくく、なかなかやるな。やはり余が出なければならんか」
その影は空を飛んで、一直線に後醍醐の中央エレベータ『モーゼ』に侵入とようとした。
「あいつを止めろ」
「無駄だ。何百年もの間、様々な亜人類の血を吸ってきた余は、いつしかその能力をこの体に取り入れることができるようになった。当然、『土人類(ドワーフ)』の力も身に着けておる。『土石鋼』」
誠也たちがウォーターマシンガンを放つが、その影はものともせずに跳ね返す。
その影ードラクルは、余裕の表情で空中で手を振った。
「『地震雷』」
ドラクルの手から放たれた雷は、『森人類(エルフ)』たちの数倍の電力で地中を奔り、後醍醐の兵士たちを昏倒させた。
「これで邪魔者はいなくなった」
そうつぶやくと、中央のモーゼエレベーターを使って一気にユグドラシルの中心部に向かう。
「いけない。あいつの狙いはユグドラシルの心臓部『ゼウス』だよ。あそこを吸血鬼化されたら、すべての海設都市が腐ってしまう」
サタンの言葉をきいて、慌てて姫子たちもユグドラシルの中心部に向かう。
「親父……大切な者を守るために、俺はあんたを倒す」
中央エレベータ―を降りながら、アルカードはそう心に決めるのだった。
「いいか、ここは俺たちが守るんだ」
「私たちの故郷は、私たちの手で守るのよ」
常温水素融合発電炉「ゼウス」に通じる通路では、後醍醐に移住した『血人類(バンパイヤ)』と『女人類(ウイッチ)』の兵士たちが守っていた。
しかし、突然侵攻してきたたった一人の侵入者に蹴散らされてしまう。
「うわっ」
ドラクルの腕の一振りで、義勇兵に参加していた酒場の主人が吹っ飛んだ。
「ふん。雑魚には用はない……ん?」
ドラクルの前に、三つの道が現れる。
「なるほど。『女人類(ウイッチ)』たちによる光映像を使った幻覚だな。だが、余にとっては児戯に等しい。むん」
三つの通路を無視して、何の変哲もない壁に雷を放つ。
すると壁の映像が崩れ、『ゼウス』へと通じる道が現れた。
「この先が心臓部ということだな」
ドラクルは悠々と足を進め,ついに『ゼウス』が設置している心臓部にたどりつく。
『ゼウス』が収められている異空間は、エネルギーを取り入れるためのユグドラシルの蔓に覆われていた。
「さすがの余でも、水爆並みのエネルギ―を常に発し続けている『ゼウス』本体には手がだせぬ。だが、この絡まっている蔦に吸血鬼化させると」
ドラクルは『ゼウス』に絡みついている蔦に噛みつき、バンパイヤウイルスを打ち込む。
すると、ドラクルに噛みつかれた部分が『吸血花ドラクレア』と化していった。
「これでよい。あとは数時間もすれば、ユグドラシルは余の僕となる。その力をつかって『吸血花ドラクレア』を世界中に広げ、一気に世界を征服してやるのだ!」
ドラクルの高笑いが、ユグドラシルの心臓部に響き渡るのだった。
姫子、玲、美亜、アルカードの四人は、ドラクルの侵入の報告を受けて慌てて心臓部に向かう。
その通路には、大勢の『血人類(バンパイヤ)』と『女人類(ウイッチ)』の兵士たちが倒れていた。
「姫、すいません。奴をとめられませんでした」
酒場の主人が、悔しそうに訴える。
「気にするな。親父はきっと俺が止めて見せる」
アルカードは彼の手を握って、そう約束する。
四人がゼウスの間に入ると、黒いマントを広げたドラクルが迎えた。
「我が娘。アルカードよ。やっと会うことができた。愚か者どもにさらわれて15年。お前のことを忘れたことは片時もなかったぞ」
ドラクルは、慈悲深い父親の顔をしてアルカードに呼びかける。
「余の元へ戻ってこい。お前こそがいずれ余の後を継ぎ、世界を統べる女王となる者なのだ」
ドラクルから差し出された手を、アルカードは振り払った。
「はっ、お断りだ。女王なんて窮屈なものになりたくねえよ。俺は今まで通りに自由に生きていくんだ。それに」
アルカードは、共に来た三人を振り返る。
「俺には仲間も居場所もできた。借りをかえさないといけない男もな。親父の狂った世界征服の野望なんか、付き合っている暇はねえんだよ」
それを聞いて、ドラクルは残念そうに笑った。
「惜しいな。お前は数百年にも及ぶ余の人生で、初めて生まれた子なのにな。まあよい。余が世界を制したのち、世界中の女と子づくりを試して新たな子を作るとしよう」
そういうと、ドラクルはアルカードたちに対して身構えた。
「姫子、電気を流して、ユグドラシルの吸血鬼化を止めてくれ」
「わかりました」
姫子はユグドラシルの心臓部の壁に手をついて、広がろうとする『吸血花ドラクレア』の根を焼き切って広がるのを食い止めようとする。
「無駄だ。ドラクレアは余の意思に反応してどこまでも繁殖する。ククク、お前の力でいつまで抑えておけるかな」
「だったら親父、あんたを倒すまでだ」
アルカード、玲、美亜の三人は、ドラクルに対して戦いを挑んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる