エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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暗殺

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その日、民主自由党の重鎮、三階堂敏弘は、警察庁の警備局公安庁を訪れていた。
彼は日本と大韓朝国との友好を目指す『日朝議員連合』の議長で、世界統合教会との関係も深い政治家だとささやかれている。
「実は、近い将来日本にクーデタ―が起こる可能があります」
三階堂の爆弾発言に、公安刑事たちは色めき立った。
「その首謀者は、南方源人とその孫、南方勇人です」
「た、たしかに………。日本の中に日本円が通用しない海設都市を作ったり、北句麗王国の王女と婚約したり……不審な行動がみられる」
刑事たちの間に、動揺が走る。
「しかし、南方源人氏は経済界の重鎮。以前、北句麗のスパイであった鳩川元首相の逮捕にも貢献してくださった実績があります。彼は日本国に忠誠を誓う愛国者なのでは」
その反論に大して、敏弘は一つの資料を提出した。
「では、決定的な証拠を見せましょう」
提出された資料には、妙な形の剣、盾、ネックレスを身に着けて戦う勇人の写真が入っていた。
「南方源人の孫、勇人が身に着けている三つのアクセサリーです」
それがどうしたという顔になる刑事たちに、宮内省から取り寄せた回答書を提示した。
「宮内庁に確認したところ、これらは南北朝時代に南朝に奪われた『十種神宝』が変化した『三種の神宝』であると回答されました」
「つまり、どういうことですか?」
「これを持つということは、南方一族は失われた南朝の末裔。北朝の末裔たる陛下に明確な叛意をもっているということです」
それを聞いて、愛国者の集団である公安刑事たちは怒りに顔を染めた。
「おのれ!反逆者どもめ」
かつてないほどの国家体制転覆の危機に、刑事たちの顔が日本を守るという使命感にかられる。
「今度の選挙に際し、南方源人は阿部首相に協力して外遊演説を行います。それを警備するのは公安庁所属のSPの役目。そこでですね……」
ひそひそと何事かがささやかれる。
「いや、それでは首相も巻き込んでしまうのでは?」
「日本のためです。彼には尊い犠牲になってもらいましょう」
こうして、ひそかに陰謀が進められるのだった。

「勇人。ワシは今度の選挙で阿部首相を応援するために、奈良県で行われる街頭演説会に参加することになった。後を頼むぞ」
東京の屋敷で、勇人は源人にそう告げられる
「そうですか。お爺さんも大変ですね」
「うむ。ここまで南方財閥が大きくなると、政治とも無縁ではいられなくなるからのぅ。阿部首相は海設都市の建設許可を取るときにも尽力してくれたし、まあ持ちつ持たれつといったことじゃよ」
そういって源人は笑う。確かに南方財閥の総帥で、北句麗王国の女王であるエルフリーデの実父である彼は、今日本でもっとも影響力がある人物の1人である。源人が選挙で協力すれば、阿部首相の権力基盤も強固なものになるだろう。
しかし、勇人は街頭演説会に出るという言葉に、少し不安を感じていた。
「新田警備会社の黒服たちを護衛に連れて行かなくて大丈夫でしょうか?」
「問題ない。警備には警備局公安庁の屈強なSPが付くことになっておる。日本屈指の実力を持つ公安刑事じゃ。万が一にも危害を加えられることはないじゃろう」
そういって源人は勇人を安心させる。
しかし、まさかその公安刑事たちが自分たちに反感を持っていたことなど、この時は想像もつかなかった。
「とにかく気をつけてください。夢さんから警告を受けました。我々に悪意を持つものが迫っていると」
「ふふふ。我が娘の警告なら真摯に受け取るべきじゃが、正直南方財閥の総帥ともなれば恨まれることなど日常茶飯事じゃ。ワシには『氣功術』もある。心配には及ばんよ」
そういって源人は勇人の肩を叩く。
しかし、勇人はこの時源人を止められなかったことを、心から後悔するのだった。

そして数日後、奈良県で行われた阿部総理による街頭演説会が行われる。
「ここ数か月で、わが国は大きな転換点を迎えました」
阿部首相のよく響く声が、聴衆達の間にしみわたっていく。
「以前の日本は自信を失っていました。経済では大中華国に追い抜かれ、技術では大韓朝国においつかれ、世界における影響力はどんどん下がっていっていると」
聴衆は、首相の言葉に同意して頷く。
「そんな時、我々の前に一つの希望がもたらされました。ご紹介しましょう。南方財閥の総帥、南方源人氏です」
首相に招かれ、源人が壇上にあがる。見ていた聴衆からワーッという歓声があがる。
「彼は日本の周囲に眠る海洋資源に目をつけ、莫大な投資を行って資源を商業開発することに成功しました。おかげで日本はエネルギー輸入国から輸出国へと変換することができ、ふたたび経済は活況をとりもどしたのです」
パチパチという音がして、聴衆から拍手が上がった。
「さらに、彼は永遠の敵国ともいわれていた北句麗王国との関係も改善してくれました。旧王朝を倒し、自分のご令嬢を女王陛下として即位させ、長年の懸念であった拉致被害者たちを帰還させたのです」
周囲で泣きながら感謝している人たちがいる。この演説会に招かれた、戻ってきた拉致被害者とその家族たちだった。
「わが民主自由党は、これからも源人氏と南方財閥と協力して、日本を富ませていただきます。皆様、これからも我が党へ未来を託していただけませんでしょうか?」
聴衆の高揚が絶頂にまで高まった時、なぜか公安SPたちが不自然にその背後から離れる。
それと同時に、背後の植え込みに隠れていた男が立ち上がり、阿部首相に襲い掛かった。
「日本を売り渡そうとする国賊め!天誅!」
隠れていた男―南方家の元執事長、堂満達夫は、渾身の力で台上にいた人間をなぎ倒すと、阿部首相の背中に一気にナイフを突き立てた。
「き、貴様ぁ!」
SPたちは源人の側を離れ、達夫に群がって押し倒す。
「がはははは!やってやったぞ。日本を売り渡そうとする国賊に天誅へを加えてやった」
達夫の哄笑が響き渡り、会場は騒然となる。
その時、一台の救急車がやってきた。
「どいてください。阿部総理をお助けします」
救急車に乗ってやってきた看護婦は、そういって首相を担架乗せる。
「南方さん……日本を頼みます」
担架にのせられた阿部首相は、苦しい息の中、そばにいた源人の手を握った。
「何をおっしゃる。気をしっかり持ってくだされ」
源人が阿部総理の手を握り返した時、側にいた看護師のが傷口を確認しようと服をナイフで切り裂く。
次の瞬間、そのナイフが源人に向けて振るわれた。
「天誅」
「ぐはっ!」
阿部総理に意識を集中させていた源人は、『硬氣功』を使う間もなく心臓をナイフで貫かれてしまう。
「ひゃはははははは。ついにやってやったわ」
再び騒然となる現場には、看護婦に扮していた林田直子の哄笑が響き渡るのだった。
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