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婚約
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金正竜、金正王親子が死んで、旧金王朝が崩壊した後、北句麗王国は悲惨な状態に陥った。
各地で農地改良に従事させられていた『森人類』たちは、旧王朝が崩壊した混乱に乗じて逃げだした為、土壌の質はどんどん痩せていき、収穫が減っていく。
もともと北句麗王国は世界的に流行した風邪の影響で貿易が停止しており、さらに干ばつや台風による洪水などで食料が不足していたので、森人類たちがいなくなって人民たちはどんどん飢えていった。
そうして働き手がいなくなった地域では、さらに食料の生産が滞り、その地を預かる軍の部隊は民間からの搾取を強めていく。
当然、あちこちで反乱がおこり、北句麗王国は混乱の極みに達した。
「ええい!。反乱軍に核ミサイルを撃ち込め!」
「無理です。核ミサイルの発射コードは陛下と大将軍だけが知っていた訳ですし、そもそも自国に向けて打ち出すことを想定されていません」
癇癪を起した各基地の司令官はそう命令するが、部下たちに不可能だと告げられる。
「ええい!役立たずどもめ」
切り札を失った軍は各地で敗北を重ね、支配領域を縮小していく。
ついには兵士たちの食料も足りなくなった部隊は、兵士の逃亡が相次いで統制が取れなくなり、追い詰められた軍部は根をあげてエルフリーデに助けを求めた。
「エルフリーデ様、どうかお戻りになって、金王朝を継いでください。私たちはあなた様に、心から忠誠を誓います」
軍部を支配していた『蛇人類(スネーク)』たちが、海設都市にやってきて、エルフリーデに土下座をした。
「うーん。でも、戻って『森人類(エルフ)』たちがまた奴隷のように酷使されるのも嫌なのよね」
「お願いします。私たちはあなた方を決して粗略には扱いません。北句麗王国の二千万人の人民たちは飢えに苦しんでいるのです」
そんな彼等を見るに見かねて、勇人は提案した。
「それなら、海設都市から発掘された石油で化学肥料を作って、北句麗王国に輸出しましょう」
「いいの?勇人ちゃん」
「もともと我々の目的は地球開拓です。北句麗王国が開拓されて豊かになり、貧しい人たちが救われるなら結構なことじゃないですか」
『森人類(エルフ)』の仲間たちを酷使しなくて済むと聞いて、エルフリーデも考えを改める。
「わかったわ。戻って女王として、北句麗王国を建て直しましょう。そうと決まれば、勇人ちゃん、娘をよろしくね」
「へっ?」
それを聞いて、勇人は首をかしげる。対照的に姫子は顔を真っ赤にした。
「これから北句麗王国を建て直すには、莫大なお金がかかるわ。お父さんにも援助をお願いするとして、その見返りは王女である姫子との政略結婚なんてどうかしら?二人とも随分仲がいいみたいだし」
ニヤニヤしながらいい放つエルフリーデに、勇人は慌てる。
「いやいや待ってください。その、姫子の気持ちとか、いろいろ考えることがあるでしょう」
「勇人さんなら……いやじゃないかも💛無理やり管を差し込まれて、体内に勇人さんの熱い体液を流し込まれたんだから、もう他人じゃないし」
焦る勇人をいたずらっぽく見つめながら、姫子はつぶやいた。
「我ら金王朝の姫になんということを……」
『蛇人類(スネーク)』たちに睨まれて、勇人は汗だくになる。
「ちょっ!言い方。それってただの輸血だから」
「あらあら。勇人君には責任取ってもらわないとね。さっそく話をすすめましょう」
こうして、エルフリーデは北句麗王国に戻り、女王として即位することになるのだった。
北句麗王国の反乱軍たちは、女王が即位すると同時に食料の供給が始まると聞いて、あっさりと矛を収めた。
新しく即位した『エルフリーデ・南方・金』女王は、人民の前で演説する。
「この数十年、世界から孤立したことで、残念ながら我が国は最貧国となり、多くの餓死者を出しました。その失敗を踏まえ、素直に足りないところは他国に援助を求め、貿易を推進し、人民たちを決して飢えさせない事を誓います」
その言葉と共に、人民に対して日本から輸入されたコメなどの食料の供給が約束される。とりあえず飢えることがないと知って、人民たちは心からほっとした。
「残念ですが、我が北句麗王国の通貨『ワンワン』は国際的な信用がありません。ですので、通貨発行権を放棄し。南方財閥が発行している仮想通貨『アジア』を法定通貨とします。同時に、通貨決済バイオチップ『ゴスペル』を受け入れた方には、一定額を毎月無条件に支給するベーシックインカムを導入します」
この方策により、人民たちは進んで『ゴスペル』を注入し、アジア通貨を受け入れる。同時に旧北句麗通貨『ワンワン』が廃止されたことで、不正にため込んでいた者たちの財産が無となり、貧富の差が縮小した。
次に軍隊の解体が行われ、一部の治安部隊を残して兵士たちは家族の元に帰された。
「よかった。息子が帰ってきた」
「父ちゃん。心配かけてごめん。これからは一生懸命働いて、ご飯をたくさん食べさせてやるからな」
農村に戻された兵士たちは、南方財閥が製造した化学肥料を運んできた。今まで人糞を肥料としていたせいで寄生虫被害がひどかったが、より効率的で寄生虫がつかない化学肥料を使用することで、農村の状況も改善していった。
同時に「穀物の木」を植えることで、北句麗王国は飢えから救われ、人民は少しずつ豊かになっていく。
そして、金王朝の王女『姫子・南方・金』姫殿下と日本の南方財閥の御曹司南方勇人の婚約式が行われた。
「本当にいいんでしょうか?美亜さんと玲さんを差し置いて、私が勇人さんと結婚なんて」
「政略結婚は上流階級の義務だろ。お前は北句麗王国の王女様になったんだ。南朝の末裔の俺と立派に身分が釣り合うんだ。自信を持て」
白い清楚なドレスを着た姫子を、タキシードを着た勇人が元気づける。
「姫子ちゃん。きれいにゃ」
「姫子なら安心して勇人の正妻を任せられる」
美亜と玲も、そういって二人の婚約を祝福している。
「二人とも、ありがとう」
姫子は感極まって、美亜と玲を抱きしめた。
「私たちは姉妹も同然にゃ」
「……これから、みんなで勇人を支えていく」
三人は、姉妹の契りを交わして結束を強めていく。
こうして、勇人と姫子の婚約が成
各地で農地改良に従事させられていた『森人類』たちは、旧王朝が崩壊した混乱に乗じて逃げだした為、土壌の質はどんどん痩せていき、収穫が減っていく。
もともと北句麗王国は世界的に流行した風邪の影響で貿易が停止しており、さらに干ばつや台風による洪水などで食料が不足していたので、森人類たちがいなくなって人民たちはどんどん飢えていった。
そうして働き手がいなくなった地域では、さらに食料の生産が滞り、その地を預かる軍の部隊は民間からの搾取を強めていく。
当然、あちこちで反乱がおこり、北句麗王国は混乱の極みに達した。
「ええい!。反乱軍に核ミサイルを撃ち込め!」
「無理です。核ミサイルの発射コードは陛下と大将軍だけが知っていた訳ですし、そもそも自国に向けて打ち出すことを想定されていません」
癇癪を起した各基地の司令官はそう命令するが、部下たちに不可能だと告げられる。
「ええい!役立たずどもめ」
切り札を失った軍は各地で敗北を重ね、支配領域を縮小していく。
ついには兵士たちの食料も足りなくなった部隊は、兵士の逃亡が相次いで統制が取れなくなり、追い詰められた軍部は根をあげてエルフリーデに助けを求めた。
「エルフリーデ様、どうかお戻りになって、金王朝を継いでください。私たちはあなた様に、心から忠誠を誓います」
軍部を支配していた『蛇人類(スネーク)』たちが、海設都市にやってきて、エルフリーデに土下座をした。
「うーん。でも、戻って『森人類(エルフ)』たちがまた奴隷のように酷使されるのも嫌なのよね」
「お願いします。私たちはあなた方を決して粗略には扱いません。北句麗王国の二千万人の人民たちは飢えに苦しんでいるのです」
そんな彼等を見るに見かねて、勇人は提案した。
「それなら、海設都市から発掘された石油で化学肥料を作って、北句麗王国に輸出しましょう」
「いいの?勇人ちゃん」
「もともと我々の目的は地球開拓です。北句麗王国が開拓されて豊かになり、貧しい人たちが救われるなら結構なことじゃないですか」
『森人類(エルフ)』の仲間たちを酷使しなくて済むと聞いて、エルフリーデも考えを改める。
「わかったわ。戻って女王として、北句麗王国を建て直しましょう。そうと決まれば、勇人ちゃん、娘をよろしくね」
「へっ?」
それを聞いて、勇人は首をかしげる。対照的に姫子は顔を真っ赤にした。
「これから北句麗王国を建て直すには、莫大なお金がかかるわ。お父さんにも援助をお願いするとして、その見返りは王女である姫子との政略結婚なんてどうかしら?二人とも随分仲がいいみたいだし」
ニヤニヤしながらいい放つエルフリーデに、勇人は慌てる。
「いやいや待ってください。その、姫子の気持ちとか、いろいろ考えることがあるでしょう」
「勇人さんなら……いやじゃないかも💛無理やり管を差し込まれて、体内に勇人さんの熱い体液を流し込まれたんだから、もう他人じゃないし」
焦る勇人をいたずらっぽく見つめながら、姫子はつぶやいた。
「我ら金王朝の姫になんということを……」
『蛇人類(スネーク)』たちに睨まれて、勇人は汗だくになる。
「ちょっ!言い方。それってただの輸血だから」
「あらあら。勇人君には責任取ってもらわないとね。さっそく話をすすめましょう」
こうして、エルフリーデは北句麗王国に戻り、女王として即位することになるのだった。
北句麗王国の反乱軍たちは、女王が即位すると同時に食料の供給が始まると聞いて、あっさりと矛を収めた。
新しく即位した『エルフリーデ・南方・金』女王は、人民の前で演説する。
「この数十年、世界から孤立したことで、残念ながら我が国は最貧国となり、多くの餓死者を出しました。その失敗を踏まえ、素直に足りないところは他国に援助を求め、貿易を推進し、人民たちを決して飢えさせない事を誓います」
その言葉と共に、人民に対して日本から輸入されたコメなどの食料の供給が約束される。とりあえず飢えることがないと知って、人民たちは心からほっとした。
「残念ですが、我が北句麗王国の通貨『ワンワン』は国際的な信用がありません。ですので、通貨発行権を放棄し。南方財閥が発行している仮想通貨『アジア』を法定通貨とします。同時に、通貨決済バイオチップ『ゴスペル』を受け入れた方には、一定額を毎月無条件に支給するベーシックインカムを導入します」
この方策により、人民たちは進んで『ゴスペル』を注入し、アジア通貨を受け入れる。同時に旧北句麗通貨『ワンワン』が廃止されたことで、不正にため込んでいた者たちの財産が無となり、貧富の差が縮小した。
次に軍隊の解体が行われ、一部の治安部隊を残して兵士たちは家族の元に帰された。
「よかった。息子が帰ってきた」
「父ちゃん。心配かけてごめん。これからは一生懸命働いて、ご飯をたくさん食べさせてやるからな」
農村に戻された兵士たちは、南方財閥が製造した化学肥料を運んできた。今まで人糞を肥料としていたせいで寄生虫被害がひどかったが、より効率的で寄生虫がつかない化学肥料を使用することで、農村の状況も改善していった。
同時に「穀物の木」を植えることで、北句麗王国は飢えから救われ、人民は少しずつ豊かになっていく。
そして、金王朝の王女『姫子・南方・金』姫殿下と日本の南方財閥の御曹司南方勇人の婚約式が行われた。
「本当にいいんでしょうか?美亜さんと玲さんを差し置いて、私が勇人さんと結婚なんて」
「政略結婚は上流階級の義務だろ。お前は北句麗王国の王女様になったんだ。南朝の末裔の俺と立派に身分が釣り合うんだ。自信を持て」
白い清楚なドレスを着た姫子を、タキシードを着た勇人が元気づける。
「姫子ちゃん。きれいにゃ」
「姫子なら安心して勇人の正妻を任せられる」
美亜と玲も、そういって二人の婚約を祝福している。
「二人とも、ありがとう」
姫子は感極まって、美亜と玲を抱きしめた。
「私たちは姉妹も同然にゃ」
「……これから、みんなで勇人を支えていく」
三人は、姉妹の契りを交わして結束を強めていく。
こうして、勇人と姫子の婚約が成
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