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竜人類
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勇人たちと『海人類(マーメイド)』の兵士は、海中から万竜峰号(マンロンボン)号に攻め込んでいた。
本来ありえない海中からの攻撃に、ふいをつかれた船員たちが倒されていく。彼等も軍事教育を受けたプロの北句麗王国の兵士だったが、圧倒的な数の『海人類(マーメイド)』の兵士により、船は徐々に制圧されていった。
しかし、船内に入った所で黒い影に襲われる。
「ぐわっ!」
「な、なんだこいつら。蛇?」
天井や物陰などの死角から、細長い黒い影が現れては兵士たちに襲い掛かっていく。かまれた兵士は全身麻痺して動けなくなっていった。
「気をつけろ。毒を持っているぞ」
勇人が『雷神剣』を振るって雷で攻撃すると、黒い影が姿を現していく。
それは、人間にしては異様なほど細い体を持つ、ドレッドヘアの男たちだった。
「我らは北句麗王国に所属する『蛇人類(スネーク)』。侵入者たちよ。覚悟せよ」
リーダの男が爬虫類の目で勇人たちを睨むと、しなやかな動きで襲い掛かってくる。
「くそっ。こいつら!」
『海人類(マーメイド)』の兵士たちが槍で突きかかっていったが、すばやい動きで槍をかわし、自らの身体で兵士たちに巻き付いて締め上げた。
「きゃああああ!気持ちわるいにゃ」
「……えっち!私の身体に触るな!」
美亜と玲も締め付けられ、悲鳴をあげる。
「くっ!」
「おっと。貴様の相手は私だ」
二人を助けようとする勇人の前に、リーダーの男が立ちふさがった。
「影斬(シャドウブレード)」
リーダーの身体が極限まで細くなり、一本の刃のようになる。それが触れると同時に、勇人の身体から血が噴き出した。
「なっ」
「驚いたか。我ら『蛇人類(スネーク)』は自らの身体を影の刃と化すことができる。このまま切り刻んでやろう」
リーダーは高笑いしながら、勇人を襲い続ける。防戦一方に追い込まれた勇人は、強引に攻撃に出た。
「空震雷」
雷神剣を掲げて、空中に放電する。
しかし、影の刃は雷をすり抜けた。
「バカな!」
「愚か者め。影に雷が効くものか。これで終わりだ!『影鱗(シャドースケイル)』」
黒い刃から無数の鱗が発射され、勇人の全身に突き刺さるのだった。
「きゃあああああ!勇人君」
「……勇人!」
二人の悲鳴を聞いた勇人は、安心させるように笑う。
「大丈夫だ。『地神盾』で防いだ」
かろうじて防御に成功した勇人は、あらためて黒い刃と対峙した。
(くそっ。なんとか防いだけど、このままじゃジリ貧だ。こっちも打つ手がない)
勇人は雷が効かない相手に、必死に冷静になろうとする。
改めてよく見ると、黒い刃の足元に、さらに黒い影ができていることに気づいた。
(変だな。影に影ができるわけがない。ということは、あの黒い刃は影なんかじゃないんだ。ということは)
勇人は雷神剣を床に突き刺し、意識を集中させる。
「ははは。ついに諦めたか。とどめだ!」
黒い刃が勇人の首元に迫り、美亜と玲が悲鳴を上げた。
「勇人君!」
「……だめ!やめて!」
二人が悲鳴を上げたとき、床に刺さった雷神剣が雷を放つ、
『地震雷』
放電が船の床に広がった時、黒い刃が消えた。
「えっ?」
二人が目を見開いたとき、黒い刃の影が浮きあがってきた。
「……なぜわかった」
「雷に撃たれても平気な身体などありえない。お前たちは、本体を影に潜ませて、黒い刃という幻影を作っていたんだろう」
勇人の雷を受けた影は、みるみるうちに人間の姿にもどっていく。
「正体が分かればこっちものだ。『地震雷』」
再び床に刺さった雷神剣に、高圧電流を流す。姫子のとは比べ物にならない強さの電流が伝わり、美亜たちを拘束していた『蛇人類(スネーク)』を一網打尽にするのだった。
勇人たちは船室の一つで、閉じ込められていた姫子をみつける。
「勇人さん?どうしてここに?」
泣いていた姫子は、突然入ってきた勇人に驚いた。
「爺さんに頼まれて、お前を助けにきたんだよ」
「そんな……なんでわざわざ私のために……私はお爺さんのことを、母を守れなかった無責任な人と誤解して、ひどいことをいったのに……」
姫子は暗い顔をしてうつむく。しかし、勇人は笑顔で手を差し出した。
「身内を助けるのに、理由がいるか?俺たちは従兄妹だろ。爺さんのことはさておいて、少しは俺を頼ってくれよ」
「勇人さん……。 助けにきてくれてありがとう。ふえーん。怖かったよぅーーー」
姫子は勇人に抱き着いて、子供のように泣きじゃくるのだった。
「これは惚れたにゃね」
「……姫子なら問題ない」
美亜と玲は、そんな二人を優しく見守っている。
「さあ、南方家に帰ろう」
「……うん💛」
姫子は恥ずかしそうに、勇人が差し出した手を取る。
勇人たちが甲板に出た時に、ドーンという音とともに船に衝撃が走った。
「うわっ」
床が傾き、勇人たちは転倒する。万竜峰号は、空から落ちてきた炎の球に攻撃されて、甲板に大きな穴が開いていた。
「頼りにならぬ『蛇人類(スネーク)』どもめ。こうなったら俺が直接つれていく」
その言葉とともに、バサバサと羽音が響き、黒い影が空から降下してくる。
「きゃっ⁉」
黒い影は姫子を羽交い締めにすると、空に舞い上がった。
「おお。我らが偉大なる将軍様」
拘束されている「蛇人類」たちから歓喜の声が上がる。姫子を拘束したのは、物語に出てくる竜の姿をした人間だった。
「ははは。俺は偉大なる将軍にて白竜の子孫、『竜人類(ドラゴン)』のキム・ジョンワン(金正王)。この娘は生贄として連れていく」
そう告げると、すごいスピードで飛んでいく。
「待て!逃がすか!」
勇人は『魔人類(デモンズ)』の姿になると、空を飛んで後を追いかけるのだった。
「くそっ。待て!」
勇人は逃げていくジョンワンたちを必死においかけるが、ジョンワンのほうは姫子を連れているにも関わらず驚異的なスピードで飛んでいき、距離がどんどん開いていく。
(このままじゃ追いつけない。体を電気体に変えて回り込むか?でも、元の姿に戻るときに無防備になるんだよな)
雷となった体は光速に近い速度で動けるが、元の身体に再構成するときに動けなくなる。それは大きな弱点だった。
迷っているうちにもジョンワンたちは先に進んでいき、ついにその姿が点のようになっていった。
「迷っている暇はない。『雷速飛行』」
身体を電気体に変換し、一瞬で二人の前に回り込む。
「邪魔だ!」
しかし、実体化した瞬間に、ジョンワンの口から炎のブレスが吐かれ、勇人を襲った。
「うわぁぁぁ」
全身が炎のブレスに包まれる。パチパチという音がして、蝙蝠の羽が焼けおちる。
「勇人さん!」
姫子が悲鳴をあげる。勇人の身体は飛んでいられなくなり、地面に向けて落ちていった。
「そんな!いやああああああ」
「あきらめろ。この高さから落ちては助かるまい。奴は死んだ。ハハハハハハ」
ジョンワンの高笑いが響き渡る。そのまま北句麗王国の白竜山まで飛んでいった。
本来ありえない海中からの攻撃に、ふいをつかれた船員たちが倒されていく。彼等も軍事教育を受けたプロの北句麗王国の兵士だったが、圧倒的な数の『海人類(マーメイド)』の兵士により、船は徐々に制圧されていった。
しかし、船内に入った所で黒い影に襲われる。
「ぐわっ!」
「な、なんだこいつら。蛇?」
天井や物陰などの死角から、細長い黒い影が現れては兵士たちに襲い掛かっていく。かまれた兵士は全身麻痺して動けなくなっていった。
「気をつけろ。毒を持っているぞ」
勇人が『雷神剣』を振るって雷で攻撃すると、黒い影が姿を現していく。
それは、人間にしては異様なほど細い体を持つ、ドレッドヘアの男たちだった。
「我らは北句麗王国に所属する『蛇人類(スネーク)』。侵入者たちよ。覚悟せよ」
リーダの男が爬虫類の目で勇人たちを睨むと、しなやかな動きで襲い掛かってくる。
「くそっ。こいつら!」
『海人類(マーメイド)』の兵士たちが槍で突きかかっていったが、すばやい動きで槍をかわし、自らの身体で兵士たちに巻き付いて締め上げた。
「きゃああああ!気持ちわるいにゃ」
「……えっち!私の身体に触るな!」
美亜と玲も締め付けられ、悲鳴をあげる。
「くっ!」
「おっと。貴様の相手は私だ」
二人を助けようとする勇人の前に、リーダーの男が立ちふさがった。
「影斬(シャドウブレード)」
リーダーの身体が極限まで細くなり、一本の刃のようになる。それが触れると同時に、勇人の身体から血が噴き出した。
「なっ」
「驚いたか。我ら『蛇人類(スネーク)』は自らの身体を影の刃と化すことができる。このまま切り刻んでやろう」
リーダーは高笑いしながら、勇人を襲い続ける。防戦一方に追い込まれた勇人は、強引に攻撃に出た。
「空震雷」
雷神剣を掲げて、空中に放電する。
しかし、影の刃は雷をすり抜けた。
「バカな!」
「愚か者め。影に雷が効くものか。これで終わりだ!『影鱗(シャドースケイル)』」
黒い刃から無数の鱗が発射され、勇人の全身に突き刺さるのだった。
「きゃあああああ!勇人君」
「……勇人!」
二人の悲鳴を聞いた勇人は、安心させるように笑う。
「大丈夫だ。『地神盾』で防いだ」
かろうじて防御に成功した勇人は、あらためて黒い刃と対峙した。
(くそっ。なんとか防いだけど、このままじゃジリ貧だ。こっちも打つ手がない)
勇人は雷が効かない相手に、必死に冷静になろうとする。
改めてよく見ると、黒い刃の足元に、さらに黒い影ができていることに気づいた。
(変だな。影に影ができるわけがない。ということは、あの黒い刃は影なんかじゃないんだ。ということは)
勇人は雷神剣を床に突き刺し、意識を集中させる。
「ははは。ついに諦めたか。とどめだ!」
黒い刃が勇人の首元に迫り、美亜と玲が悲鳴を上げた。
「勇人君!」
「……だめ!やめて!」
二人が悲鳴を上げたとき、床に刺さった雷神剣が雷を放つ、
『地震雷』
放電が船の床に広がった時、黒い刃が消えた。
「えっ?」
二人が目を見開いたとき、黒い刃の影が浮きあがってきた。
「……なぜわかった」
「雷に撃たれても平気な身体などありえない。お前たちは、本体を影に潜ませて、黒い刃という幻影を作っていたんだろう」
勇人の雷を受けた影は、みるみるうちに人間の姿にもどっていく。
「正体が分かればこっちものだ。『地震雷』」
再び床に刺さった雷神剣に、高圧電流を流す。姫子のとは比べ物にならない強さの電流が伝わり、美亜たちを拘束していた『蛇人類(スネーク)』を一網打尽にするのだった。
勇人たちは船室の一つで、閉じ込められていた姫子をみつける。
「勇人さん?どうしてここに?」
泣いていた姫子は、突然入ってきた勇人に驚いた。
「爺さんに頼まれて、お前を助けにきたんだよ」
「そんな……なんでわざわざ私のために……私はお爺さんのことを、母を守れなかった無責任な人と誤解して、ひどいことをいったのに……」
姫子は暗い顔をしてうつむく。しかし、勇人は笑顔で手を差し出した。
「身内を助けるのに、理由がいるか?俺たちは従兄妹だろ。爺さんのことはさておいて、少しは俺を頼ってくれよ」
「勇人さん……。 助けにきてくれてありがとう。ふえーん。怖かったよぅーーー」
姫子は勇人に抱き着いて、子供のように泣きじゃくるのだった。
「これは惚れたにゃね」
「……姫子なら問題ない」
美亜と玲は、そんな二人を優しく見守っている。
「さあ、南方家に帰ろう」
「……うん💛」
姫子は恥ずかしそうに、勇人が差し出した手を取る。
勇人たちが甲板に出た時に、ドーンという音とともに船に衝撃が走った。
「うわっ」
床が傾き、勇人たちは転倒する。万竜峰号は、空から落ちてきた炎の球に攻撃されて、甲板に大きな穴が開いていた。
「頼りにならぬ『蛇人類(スネーク)』どもめ。こうなったら俺が直接つれていく」
その言葉とともに、バサバサと羽音が響き、黒い影が空から降下してくる。
「きゃっ⁉」
黒い影は姫子を羽交い締めにすると、空に舞い上がった。
「おお。我らが偉大なる将軍様」
拘束されている「蛇人類」たちから歓喜の声が上がる。姫子を拘束したのは、物語に出てくる竜の姿をした人間だった。
「ははは。俺は偉大なる将軍にて白竜の子孫、『竜人類(ドラゴン)』のキム・ジョンワン(金正王)。この娘は生贄として連れていく」
そう告げると、すごいスピードで飛んでいく。
「待て!逃がすか!」
勇人は『魔人類(デモンズ)』の姿になると、空を飛んで後を追いかけるのだった。
「くそっ。待て!」
勇人は逃げていくジョンワンたちを必死においかけるが、ジョンワンのほうは姫子を連れているにも関わらず驚異的なスピードで飛んでいき、距離がどんどん開いていく。
(このままじゃ追いつけない。体を電気体に変えて回り込むか?でも、元の姿に戻るときに無防備になるんだよな)
雷となった体は光速に近い速度で動けるが、元の身体に再構成するときに動けなくなる。それは大きな弱点だった。
迷っているうちにもジョンワンたちは先に進んでいき、ついにその姿が点のようになっていった。
「迷っている暇はない。『雷速飛行』」
身体を電気体に変換し、一瞬で二人の前に回り込む。
「邪魔だ!」
しかし、実体化した瞬間に、ジョンワンの口から炎のブレスが吐かれ、勇人を襲った。
「うわぁぁぁ」
全身が炎のブレスに包まれる。パチパチという音がして、蝙蝠の羽が焼けおちる。
「勇人さん!」
姫子が悲鳴をあげる。勇人の身体は飛んでいられなくなり、地面に向けて落ちていった。
「そんな!いやああああああ」
「あきらめろ。この高さから落ちては助かるまい。奴は死んだ。ハハハハハハ」
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