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強化イベント
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「おい、どこに行くんだ。今から和解するんじゃなかったの……か?」
続いて入ってきたヘリックたち三人は、胸を放り出しているエスメラルダとそれに挟まれてデレデレしているエロスを見て、言葉を失う。
「……なんていうか……さすがにひどすぎるよね」
「ヘリック、本当にこんな人が好きだったんだね」
「言わないでくれ。自分が情けなくなる」
三人に軽蔑の視線で見つめられて、さすがの二人も真っ赤になっていった。
「うるさい。何しに来たんだよ!」
「いや、マーティンにお前と和解しろって頼まれてきたんだが、どうやらお取込み中だったみたいだな」
そういうと、ヘリックは踵を返す。
「邪魔したな。あとはごゆっくり」
そういうと、ヘリックはマーティンを追いかけるのだった。
校舎の裏庭
「うう……ショック。エロス君があんなことをしていたなんて……」
マーティンは、日の当たらない校舎の影に座り込んで泣いていた。
「そりゃ、最近は僕を相手にしてくれなくて、ずっとエスメラルダちゃんと遊んでいたけど……あんなのってないよ……しくしく」
そう呟きながら泣いていたら、肩をポンと叩かれる。
振り向くと、心配そうな顔をしたヘリックがいた。
「その……なんていうか、気を落とすな」
「ほっといて!元はと言えば、君がエロス君をいじめたから、彼があんなことになったんだ!」
マーテインは癇癪を起して、ヘリックほポカポカと叩く。ヘリックは黙って、彼女の好きなようにさせていた。
しばらく八つ当たりしていたマーテインだか、ついに疲れてしまって拳を降ろす。
「僕がもっと強かったら……エロス君をまもってあげることができたのに……」
そういうと、ふらふらとその場を去ろうとする。
「お、おい……」
「ついてこないで!僕はこれからもっともっと鍛えて、いつか君に仕返ししてやるんだから、そうすれば、エロス君も僕のところに帰って来てくれるはず!」
そう言い捨てると、訓練場のほうに向かう。
「…もしかして、このことが原因で彼女が力を求めるようになってしまい、やがては魔王になるのか?」
そう思ったヘリックは、これからも彼女に注意して見守ることを決めるのだった。
天界
女神ヘラは、難しい顔をして魔法学園を見ていた。
「うーん。可愛い男の子もいいんだけど、さすがに赤ちゃんプレイは引いてしまうわね」
エスメラルダとエレルの様子をみて、さすがに呆れてしまう。
「それに、ヘリックにコテンパンにやられてしまって、情けない。もう加護をとりやめようかな……でも、あの顔は惜しいし」
今はだらしなく赤ちゃんプレイに溺れていて見る影もないが、本来彼に与えられている加護は、ヒーローにふさわしく強力なものである。うまく成長させることができれば。小生意気だが強くて頼りになる弟系キャラとして成長できる可能性があった。
「仕方ないなぁ。エロスの強化イベントを起こそうか」
運命を調整して、彼が大幅にパワーアップできるイベントの発生を早める。
「これでも強くなれないなら、見捨てるだけね。他にもイケメンには困ってないし」
女神ヘラはそう冷たくつぶやくのだった。
「ははは……うまくいったな。僕は負けたけど、むしろ女子からの人気があがった。さて、今日はどの子とあそぼうかな」
いい気になって学園の姉系女子を物色しているエロスだったが、そこにアポロ王太子がやってきた。
「エロス君。ちょっといいかい?」
「こ、これは王子。いらっしゃい」
部屋に招き入れてお茶を出してもてなすが、王子の表情は固かった。
「エロス君。最近男子生徒たちの間に流れている君の評判について知っているかい?」
「僕の評判についてですか?」
エロスは何のことかわからずに、首をかしげる。
「君が元平民の下男にぶざまに負けた、貴族の恥さらしだっていう評判のことだよ」
そう言われたエロスは、作り笑顔を浮かべたまま固まってしまった。
「待ってください。あれは……その……」
何か言い訳をしたいが、何も思いつかない。
「貴族は力があるからこそ、平民の上に立っていられるんだ。弱い者に貴族の資格はない。
「そ、そんな!王子だって僕のことをよく戦ったとほめてくれていたじゃないですか」
「勘違いしないでほしいね」
王子は飲んでいた紅茶のカップを置くと、冷たく突き放した。
「あれは君があまりにも無様な姿をさらしたから、試合を終わらすために君をかばったんだ。これ以上貴族の恥をさらさせないためにね」
「うっ……」
そう責められて、エロスも必死になって言い返した。
「だ、だけど、負けたのは僕だけじゃなくて」
「もちろん、負けたは他の男子生徒たちも一緒だ。ヘリックは僕たちが思うより、はるかに強かったんだろう」
それを聞いてエロスはほっとするが、王子はさらに告げた。
「でも、負けた男子生徒たちはその悔しさをバネにして、よりいっそう強くなるために修行に励んでいる。その間、君は何をしていたんだい?噂によると、女子生徒な甘えてなにやら特殊プレイに励んでいるらしいね」
王子の目に軽蔑の色が浮かぶのを見て、エロスは震えあがるのだった。
「このままじゃ、君は貴族として生きていくことはできないだろうね」
そう冷たく告げられて、エロスは焦ってしまう。
「そ、そんな。なら、どうすればいいんですか?」
「このイベントに参加したまえ」
そういってアポロは一枚の紙きれを渡す。そこには「ダンジョンオリエンテーション」と書かれていた。
「これはなんですか?」
「魔法学園では、強い戦闘能力を持つ貴族を養成するために、定期的に希望者を募ってダンジョン攻略をさせるんだ。モンスターと戦って実戦を経験させるためにね」
そういって、申込書を手渡す。
「ダンジョンのモンスターを倒して経験を積むと、君もレベルアップして強くなるだろう。そうしたら、もう二度とあんな無様な恥をさらすこともないだろうし、男子生徒たちの間に広まった悪評も収まるだろう」
「……わかり……ました……」
そこまで言われて、観念したエロスは申込書に記入するのだった。
数日後、
希望者によるダンジョン攻略のてめの一団が、魔法学園を出発する。
「エロス君、頑張ってね」
エスメラルダをはじめとする女子たちが、完全武装をしたエロスを見送っていた。
「ああ。僕はきっとつよくなって、君たちをまもれるようになる」
幼い顔で必死につよがるエルスを見て、女子たちから歓声があがる。
「きゃー可愛い!」
「必死に強がっている有様がたまらない」
「戻ってきたら、またよしよししてあげるからね」
好意的にみている女子たちとちがって、男子たちの反応は冷たい。
「なんだよ。あれ」
「貴族としてありえない無様な姿をさらしたのに、女子たちからちやほやされて気に入らねえな」
男子生徒たちは、そういって彼らから距離をとった。
そこへ女子たちに別れをつげたエロスがやってくる
「みんなお待たせ。それじゃ行こうか……ん?」
男子生徒たちはエロスを無視して、それぞれパーティを組む。
「き、君たちどうしたんだい?僕も仲間にいれてくれよ」
そういって男子生徒たちに頼み込むが、すげなく断られた。
「はっ。お断りだ」
「これから行くのはモンスターだらけのダンジョンだぞ。お前みたいな柔い奴は足手まといになるだけだ」
エロスにいい感情をもっていなかった男子生徒たちは、そう言い捨ててさっさと行ってしまう。
「そ、そんな……」
共に戦ってくれる仲間をみつけられず、エロスは途方に暮れるのだった。
続いて入ってきたヘリックたち三人は、胸を放り出しているエスメラルダとそれに挟まれてデレデレしているエロスを見て、言葉を失う。
「……なんていうか……さすがにひどすぎるよね」
「ヘリック、本当にこんな人が好きだったんだね」
「言わないでくれ。自分が情けなくなる」
三人に軽蔑の視線で見つめられて、さすがの二人も真っ赤になっていった。
「うるさい。何しに来たんだよ!」
「いや、マーティンにお前と和解しろって頼まれてきたんだが、どうやらお取込み中だったみたいだな」
そういうと、ヘリックは踵を返す。
「邪魔したな。あとはごゆっくり」
そういうと、ヘリックはマーティンを追いかけるのだった。
校舎の裏庭
「うう……ショック。エロス君があんなことをしていたなんて……」
マーティンは、日の当たらない校舎の影に座り込んで泣いていた。
「そりゃ、最近は僕を相手にしてくれなくて、ずっとエスメラルダちゃんと遊んでいたけど……あんなのってないよ……しくしく」
そう呟きながら泣いていたら、肩をポンと叩かれる。
振り向くと、心配そうな顔をしたヘリックがいた。
「その……なんていうか、気を落とすな」
「ほっといて!元はと言えば、君がエロス君をいじめたから、彼があんなことになったんだ!」
マーテインは癇癪を起して、ヘリックほポカポカと叩く。ヘリックは黙って、彼女の好きなようにさせていた。
しばらく八つ当たりしていたマーテインだか、ついに疲れてしまって拳を降ろす。
「僕がもっと強かったら……エロス君をまもってあげることができたのに……」
そういうと、ふらふらとその場を去ろうとする。
「お、おい……」
「ついてこないで!僕はこれからもっともっと鍛えて、いつか君に仕返ししてやるんだから、そうすれば、エロス君も僕のところに帰って来てくれるはず!」
そう言い捨てると、訓練場のほうに向かう。
「…もしかして、このことが原因で彼女が力を求めるようになってしまい、やがては魔王になるのか?」
そう思ったヘリックは、これからも彼女に注意して見守ることを決めるのだった。
天界
女神ヘラは、難しい顔をして魔法学園を見ていた。
「うーん。可愛い男の子もいいんだけど、さすがに赤ちゃんプレイは引いてしまうわね」
エスメラルダとエレルの様子をみて、さすがに呆れてしまう。
「それに、ヘリックにコテンパンにやられてしまって、情けない。もう加護をとりやめようかな……でも、あの顔は惜しいし」
今はだらしなく赤ちゃんプレイに溺れていて見る影もないが、本来彼に与えられている加護は、ヒーローにふさわしく強力なものである。うまく成長させることができれば。小生意気だが強くて頼りになる弟系キャラとして成長できる可能性があった。
「仕方ないなぁ。エロスの強化イベントを起こそうか」
運命を調整して、彼が大幅にパワーアップできるイベントの発生を早める。
「これでも強くなれないなら、見捨てるだけね。他にもイケメンには困ってないし」
女神ヘラはそう冷たくつぶやくのだった。
「ははは……うまくいったな。僕は負けたけど、むしろ女子からの人気があがった。さて、今日はどの子とあそぼうかな」
いい気になって学園の姉系女子を物色しているエロスだったが、そこにアポロ王太子がやってきた。
「エロス君。ちょっといいかい?」
「こ、これは王子。いらっしゃい」
部屋に招き入れてお茶を出してもてなすが、王子の表情は固かった。
「エロス君。最近男子生徒たちの間に流れている君の評判について知っているかい?」
「僕の評判についてですか?」
エロスは何のことかわからずに、首をかしげる。
「君が元平民の下男にぶざまに負けた、貴族の恥さらしだっていう評判のことだよ」
そう言われたエロスは、作り笑顔を浮かべたまま固まってしまった。
「待ってください。あれは……その……」
何か言い訳をしたいが、何も思いつかない。
「貴族は力があるからこそ、平民の上に立っていられるんだ。弱い者に貴族の資格はない。
「そ、そんな!王子だって僕のことをよく戦ったとほめてくれていたじゃないですか」
「勘違いしないでほしいね」
王子は飲んでいた紅茶のカップを置くと、冷たく突き放した。
「あれは君があまりにも無様な姿をさらしたから、試合を終わらすために君をかばったんだ。これ以上貴族の恥をさらさせないためにね」
「うっ……」
そう責められて、エロスも必死になって言い返した。
「だ、だけど、負けたのは僕だけじゃなくて」
「もちろん、負けたは他の男子生徒たちも一緒だ。ヘリックは僕たちが思うより、はるかに強かったんだろう」
それを聞いてエロスはほっとするが、王子はさらに告げた。
「でも、負けた男子生徒たちはその悔しさをバネにして、よりいっそう強くなるために修行に励んでいる。その間、君は何をしていたんだい?噂によると、女子生徒な甘えてなにやら特殊プレイに励んでいるらしいね」
王子の目に軽蔑の色が浮かぶのを見て、エロスは震えあがるのだった。
「このままじゃ、君は貴族として生きていくことはできないだろうね」
そう冷たく告げられて、エロスは焦ってしまう。
「そ、そんな。なら、どうすればいいんですか?」
「このイベントに参加したまえ」
そういってアポロは一枚の紙きれを渡す。そこには「ダンジョンオリエンテーション」と書かれていた。
「これはなんですか?」
「魔法学園では、強い戦闘能力を持つ貴族を養成するために、定期的に希望者を募ってダンジョン攻略をさせるんだ。モンスターと戦って実戦を経験させるためにね」
そういって、申込書を手渡す。
「ダンジョンのモンスターを倒して経験を積むと、君もレベルアップして強くなるだろう。そうしたら、もう二度とあんな無様な恥をさらすこともないだろうし、男子生徒たちの間に広まった悪評も収まるだろう」
「……わかり……ました……」
そこまで言われて、観念したエロスは申込書に記入するのだった。
数日後、
希望者によるダンジョン攻略のてめの一団が、魔法学園を出発する。
「エロス君、頑張ってね」
エスメラルダをはじめとする女子たちが、完全武装をしたエロスを見送っていた。
「ああ。僕はきっとつよくなって、君たちをまもれるようになる」
幼い顔で必死につよがるエルスを見て、女子たちから歓声があがる。
「きゃー可愛い!」
「必死に強がっている有様がたまらない」
「戻ってきたら、またよしよししてあげるからね」
好意的にみている女子たちとちがって、男子たちの反応は冷たい。
「なんだよ。あれ」
「貴族としてありえない無様な姿をさらしたのに、女子たちからちやほやされて気に入らねえな」
男子生徒たちは、そういって彼らから距離をとった。
そこへ女子たちに別れをつげたエロスがやってくる
「みんなお待たせ。それじゃ行こうか……ん?」
男子生徒たちはエロスを無視して、それぞれパーティを組む。
「き、君たちどうしたんだい?僕も仲間にいれてくれよ」
そういって男子生徒たちに頼み込むが、すげなく断られた。
「はっ。お断りだ」
「これから行くのはモンスターだらけのダンジョンだぞ。お前みたいな柔い奴は足手まといになるだけだ」
エロスにいい感情をもっていなかった男子生徒たちは、そう言い捨ててさっさと行ってしまう。
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