14 / 28
第13話 体育祭2
しおりを挟む
「小坂、斎木先輩と食べるんだろ?」
「あれ? 加賀谷は?」
小笠原と一ノ瀬しかいない。
「図書室で食べるって。用あるんだって」
「図書委員長もいないしね。こんな時まで大変だね」
Aクラス白組の方を見ると、図書委員長の姿もなかった。
各組も結構、人がバラけてきている。
俺がその場を後にしたとき、会計の「ごめんねぇ、お詫びに今度さ」って主人公を宥める声が聞こえた。
先輩はいつものベンチで待っていた。
格好良かったですって繰り返して、ふと見たら、先輩が手で目を覆っていた。
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっと」
おや? 耳が赤いぞ?
照れてるんだ、なんか可愛い。
俺がにやにや覗き込むと、頬を染めた先輩が俺の両頬を押さえてきた。
ごめんなさい、ごめんなさい、先輩の握力だと顔が潰れるから!
「午後は、何に出るんですか?」
「俺は部活対抗リレーだな」
えぇ?! あの?! 部活のユニフォームでリレーするやつ?
3年の騎馬戦と並んで、ここの名物だ。
「道着で走るんですか? カッコいいでしょうねぇ!」
にこにこで言ったら、「お前は!」ってまた目を覆って、絶句された。
ホントにもう、照れ屋なんだから。
「小坂は何に出るんだ?」
「あ、俺は借り物競争で終わりです」
で。
今、途方もなく困っている。
俺の引いた紙に書かれてあったのが、「カツラ」だった。
かつら、鬘、ウィッグ……なんでもいい、あれだよな。
今、目の前にいるけど。
「なんだよ、これー! 白衣って!」
お前は何回出場してんだ。
ああ、行ってしまう。
俺の借り物を持った主人公が、救護テントから保健医を引っ張って、ゴールに向かう。
あとは誰だ? 教頭先生?
ヤバいだろ、俺の残りの高校生活に関わる。
もう、棄権しかないのかな。
「どうしたの?」
あんまり俺が動かないから、審判係の生徒が寄ってきて、「あー」と声を出した。
「演劇部に借りたら?」
「あ!」
この人天才!
思いつかなかった!
指された先には、次の部活対抗リレーの走者がすでにスタンバイしている。
あの派手な衣装は、演劇部!
「すいませーん! カツラさぁん!」
猛然とダッシュしたもんで、演劇部の先輩はうわぁって飛び退いていた。
俺が固まった辺りからの一連の動きは、放送部が面白おかしく中継してたので、黄組に戻ると爆笑で迎えられた。
最下位で笑われるなんて。くっそー。
「カツラだけ借りれば良かったろ?」
「なんで、演劇部の先輩まで連れてったんだよ」
「あの先輩、2回走るんでしょ、可哀想に」
思いつかなかった。
部活対抗リレーでスタンバイしてる斎木先輩をチラッと見たら、剣道部主将とこっちを見てウケていた。
やめて。
「あれ? 加賀谷は?」
小笠原と一ノ瀬しかいない。
「図書室で食べるって。用あるんだって」
「図書委員長もいないしね。こんな時まで大変だね」
Aクラス白組の方を見ると、図書委員長の姿もなかった。
各組も結構、人がバラけてきている。
俺がその場を後にしたとき、会計の「ごめんねぇ、お詫びに今度さ」って主人公を宥める声が聞こえた。
先輩はいつものベンチで待っていた。
格好良かったですって繰り返して、ふと見たら、先輩が手で目を覆っていた。
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっと」
おや? 耳が赤いぞ?
照れてるんだ、なんか可愛い。
俺がにやにや覗き込むと、頬を染めた先輩が俺の両頬を押さえてきた。
ごめんなさい、ごめんなさい、先輩の握力だと顔が潰れるから!
「午後は、何に出るんですか?」
「俺は部活対抗リレーだな」
えぇ?! あの?! 部活のユニフォームでリレーするやつ?
3年の騎馬戦と並んで、ここの名物だ。
「道着で走るんですか? カッコいいでしょうねぇ!」
にこにこで言ったら、「お前は!」ってまた目を覆って、絶句された。
ホントにもう、照れ屋なんだから。
「小坂は何に出るんだ?」
「あ、俺は借り物競争で終わりです」
で。
今、途方もなく困っている。
俺の引いた紙に書かれてあったのが、「カツラ」だった。
かつら、鬘、ウィッグ……なんでもいい、あれだよな。
今、目の前にいるけど。
「なんだよ、これー! 白衣って!」
お前は何回出場してんだ。
ああ、行ってしまう。
俺の借り物を持った主人公が、救護テントから保健医を引っ張って、ゴールに向かう。
あとは誰だ? 教頭先生?
ヤバいだろ、俺の残りの高校生活に関わる。
もう、棄権しかないのかな。
「どうしたの?」
あんまり俺が動かないから、審判係の生徒が寄ってきて、「あー」と声を出した。
「演劇部に借りたら?」
「あ!」
この人天才!
思いつかなかった!
指された先には、次の部活対抗リレーの走者がすでにスタンバイしている。
あの派手な衣装は、演劇部!
「すいませーん! カツラさぁん!」
猛然とダッシュしたもんで、演劇部の先輩はうわぁって飛び退いていた。
俺が固まった辺りからの一連の動きは、放送部が面白おかしく中継してたので、黄組に戻ると爆笑で迎えられた。
最下位で笑われるなんて。くっそー。
「カツラだけ借りれば良かったろ?」
「なんで、演劇部の先輩まで連れてったんだよ」
「あの先輩、2回走るんでしょ、可哀想に」
思いつかなかった。
部活対抗リレーでスタンバイしてる斎木先輩をチラッと見たら、剣道部主将とこっちを見てウケていた。
やめて。
93
お気に入りに追加
532
あなたにおすすめの小説

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。

風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる