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第12話 体育祭
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パチャン。
歩いていると、上から水が降ってきた。俺達より、かなり手前に、だ。
昨日は通り過ぎたあとに降ってきた。
「3回目?」
「いつもちょっと惜しいんだよね」
でも、素早いのか、屋上に人影は見当たらない。
「むしろ、犯人気になってきた」
「あ、僕も」
「小坂を殺る気あんのかな」
殺るって!
お前ら、味方じゃないの?
お昼には、先輩が湿布とかテーピングを見てくれる。
さすが、運動部。処置も慣れていて、もちろん俺より手際がいい。
「もう痛みはないか?」
「そろそろ動かした方がいいですよね」
そうだな、と先輩が言う。
不謹慎かもしれないけど、先輩が俺の足を触ると、恥ずかしくてくすぐったくて仕方がない。
つい、んって声が出て、先輩が手を止めていた。
すみません。
「早く治ってもらわないと、無理させられないしな」
「え?」
先輩が呟いてたけど、俺には意味が分からなかった。
□□□□
6月。体育祭当日。
目の前を、主人公と副会長が楽しそうに、二人三脚で駆け抜けていく。
ぶっちぎりの1位だ。
「アレ、謝ってきた?」
「いや」
「怪我させたと思ってないよね」
「Cクラスの俺達のことなんか、眼中になさそう」
チーム分けは、1年から3年までのクラス対抗で、Sクラスは赤組、俺達Cクラスは黄組だ。
正直、クラス対抗って力の差がありすぎるんだけど。
でも、主人公と攻略対象者が同じチームじゃないと不都合だから、仕方がない。
得点ボードを見ながら、同じクラスの小笠原が言う。
「Sクラスの赤組と、Bクラスの青組の一騎打ちだな」
「Aクラスの白組がその次で、うちはもう消化試合って感じ?」
「Bクラスはスポ薦メインだし。こういうときこそ活躍しなきゃ」
青のハチマキをした幼馴染みのゴリラが、雄叫びあげて走り去っていった。
キャーッ。
歓声の先に目をやると、体育祭の応援団が出てきた。
先輩だ!
俺も心の中で黄色い声を上げた。
だって、先輩が。
斎木先輩が、黒の長ランに赤のたすきがけした姿で立っているんだ。
これ、スチール絵で見たヤツ。
生で見ると、その何千倍もカッコいい。もう、カッコいいしかない。
俺の語彙力戻ってきて!
「カッコいい……」
「乙女か」
はぁ。眼福だった。
加賀谷と一ノ瀬はCクラスの応援団だったけど、見てなかった、ごめん。
午前の部が終わって。
「なぁ! みんなで飯食おうぜ!」
主人公が、会長と会計の腕をホールドして叫んでいた。
向かいの副会長と双子庶務が、「食べましょう」と誘ってるから、会長と会計は断ってるんだろう。
あれ? 先輩は早々に姿を消している。
歩いていると、上から水が降ってきた。俺達より、かなり手前に、だ。
昨日は通り過ぎたあとに降ってきた。
「3回目?」
「いつもちょっと惜しいんだよね」
でも、素早いのか、屋上に人影は見当たらない。
「むしろ、犯人気になってきた」
「あ、僕も」
「小坂を殺る気あんのかな」
殺るって!
お前ら、味方じゃないの?
お昼には、先輩が湿布とかテーピングを見てくれる。
さすが、運動部。処置も慣れていて、もちろん俺より手際がいい。
「もう痛みはないか?」
「そろそろ動かした方がいいですよね」
そうだな、と先輩が言う。
不謹慎かもしれないけど、先輩が俺の足を触ると、恥ずかしくてくすぐったくて仕方がない。
つい、んって声が出て、先輩が手を止めていた。
すみません。
「早く治ってもらわないと、無理させられないしな」
「え?」
先輩が呟いてたけど、俺には意味が分からなかった。
□□□□
6月。体育祭当日。
目の前を、主人公と副会長が楽しそうに、二人三脚で駆け抜けていく。
ぶっちぎりの1位だ。
「アレ、謝ってきた?」
「いや」
「怪我させたと思ってないよね」
「Cクラスの俺達のことなんか、眼中になさそう」
チーム分けは、1年から3年までのクラス対抗で、Sクラスは赤組、俺達Cクラスは黄組だ。
正直、クラス対抗って力の差がありすぎるんだけど。
でも、主人公と攻略対象者が同じチームじゃないと不都合だから、仕方がない。
得点ボードを見ながら、同じクラスの小笠原が言う。
「Sクラスの赤組と、Bクラスの青組の一騎打ちだな」
「Aクラスの白組がその次で、うちはもう消化試合って感じ?」
「Bクラスはスポ薦メインだし。こういうときこそ活躍しなきゃ」
青のハチマキをした幼馴染みのゴリラが、雄叫びあげて走り去っていった。
キャーッ。
歓声の先に目をやると、体育祭の応援団が出てきた。
先輩だ!
俺も心の中で黄色い声を上げた。
だって、先輩が。
斎木先輩が、黒の長ランに赤のたすきがけした姿で立っているんだ。
これ、スチール絵で見たヤツ。
生で見ると、その何千倍もカッコいい。もう、カッコいいしかない。
俺の語彙力戻ってきて!
「カッコいい……」
「乙女か」
はぁ。眼福だった。
加賀谷と一ノ瀬はCクラスの応援団だったけど、見てなかった、ごめん。
午前の部が終わって。
「なぁ! みんなで飯食おうぜ!」
主人公が、会長と会計の腕をホールドして叫んでいた。
向かいの副会長と双子庶務が、「食べましょう」と誘ってるから、会長と会計は断ってるんだろう。
あれ? 先輩は早々に姿を消している。
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