王道学園のモブ

第５話 部活動紹介

　今日は、部活動の紹介の日だ。
　俺達１年生は、講堂に集められている。

　委員会は４月から活動があったりするけど、部活動は、この部活紹介で決める生徒が多い。
　スポーツ推薦組は、入る部活が決まっているけどね。


「小坂は部活どうするの？　委員会だけ？」
「うーん、したい部活もないしなぁ」

　クラスごとに決められた場所に座る。
　俺は、加賀谷や小笠原、一ノ瀬と並んで座ってた。


「加賀谷は？」

　加賀谷も、すでに図書委員に立候補して、委員になっていた。

　加賀谷は本が好きで、気がついたら静かに本を読んでいる。
　モブクラスの１－Ｃにはもったいないクールな美少年だと思っていたら、３年の先輩達を中心に親衛隊ができそうだって聞いた。

　でも、加賀谷舜かがや　しゅんなんてゲームには出てこないから、やっぱりモブなんだ。
　俺達、モブの星だな。


　まず、生徒会が入ってくる。
　男しかいないはずなのに、歓声の甲高さがすごい。

　勢揃いすると、ホントにキラキラして眩しい。
　ゲームのＣＧ効果じゃなくて、ホントに光ってた？
　え、自家発電？　後ろに電球でも背負ってんの？


　今期の生徒会長、西条財閥の御曹司、西条会長の奥に……いた。
　斎木先輩がひっそりと立っていた。

　今の生徒会は、会長と副会長、斎木先輩が三年で、あとは二年生だ。

　会長と副会長は並んで立ってるんだけど、斎木先輩はいつも一歩引いている。
　スチル絵でもそうだった。

　クールでミステリアスで、あの冷ややかな目つきが堪らないって、腐女子の皆様が掲示板で騒いでいたっけな。


　なんか、斎木先輩がきょろきょろしてる。
　こっちを見た気がしたので、小さく手を振ってみると、先輩がいつもの柔らかい笑みを浮かべた。

　キャーッと。
　男とは思えない甲高い声が上がって。

「斎木様、僕を見てくださったんだ！」
「僕だよ！」
「僕に笑ってくださったんだよ！」

　俺の前や後ろの列が騒ぎ出す。
　なに、これ。


「斎木先輩の親衛隊だよ」
「１年生にいたっけ？」
「中等部からの持ち上がりには、元々ファンもいるからね」
「すぐに入隊したんじゃないの」

　生徒会や各委員長など人気の高い生徒には、親衛隊が結成されることが多い。
　対象を守るためって意味では必要なんだけど、親衛隊の子達とエッチしてる人もいる。
　ゲームでは、チャラ男会計がそうだったっけ。

　うちのＣクラスにも、歓声を上げてるヤツもいる。
　一緒に並んで座ってる一ノ瀬もだ。
　そういや、どっかの親衛隊に入るって言ってたけど、あれ、斎木先輩のだったのか。

　歓声あげてるのって、可愛らしいのが殆どだな。


　あれ？　なんか……。
　俺はなんか、お腹の辺りがむかむかするのを感じて、首を傾げていた。