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21 神殿で
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大御所演歌歌手は、神官長だった。
色々説明されたけど、俺は半分も理解できてなかったと思う。
頭が真っ白になるって、まさにああいう状態を指すんだな。
召喚は成功したはずなのに、術式の不具合で聖女だけがどこか遠くに飛ばされてしまった。
王族が行方を知って隠していたようだが、ようやく見つけることが出来た。
簡単にいうと、そんな感じだった。
「明日、神官達の前で聖女判定を行います。おそらくは、貴方様が聖女で間違いないでしょう」
それまでこちらでお寛ぎください、と、神官長達は退室した。
入れ替わるように入ってきた神官が、湯気の立つ食事とワインっぽい飲み物をテーブルに置いていく。
神殿騎士が警護のために扉の前で控えるという。きっと警備じゃなく、俺の逃亡防止だろう。
白の甲冑を着た騎士は国の騎士じゃなく、神殿に雇われた騎士だそうだ。
やっぱりここは王都ではなかった。
王族の邪魔が入らないよう王都から離れた神殿に場所を移した、ともっともらしいことを言っていたが、それも逃亡防止のためだと思える。
王都じゃないなら、逃げ出せたとしても土地勘のない俺が宿屋まで帰れるか自信がない。
せめて、「オルに大丈夫だと伝言だけでも頼めないか」と騎士が控えている扉に声をかけたけど、反応はなかった。そうだよね。
ベッドに横になる。
テーブルから美味しそうな食事の匂いがするのに、全く食欲が湧かない。
そういえば、勇者、北小路くんと会ったとき、同席していたユーシスさんが「王族と神殿は昔から対立してる」って言っていたっけ。
王族は勇者を、神殿は聖女を冠して、この国の覇権を取りたいみたいだ。
関係ないと思っていたから「はぁ、大変ですね」って呑気に相槌うってたけど。
まさか、魔王討伐ってのは単なる名目で、国の覇権争いのために召喚したんじゃないだろうな?
あり得る気がしてきた。
だって、北小路くんは「魔王の討伐は手応えがなかった」って言ったんだ。
そんなことのために呼ばれたんだとしたら。
それで、二度と元の世界に帰れないなんて、勝手すぎないか?
一睡も出来ずに夜が明け、俺はローブ連中から朝の支度を受けた。
着替えの必要はないって抵抗してもまったく会話にならないから、せめてヒラヒラのフリフリだけは阻止した。
「召喚者殿、お時間でございます」
着替えが終わった頃、昨日訪れた白ローブの一人と騎士が俺を迎えに来た。
「お口に合いませんでしたか」
手つかずの食事をちらと見た白ローブが苦笑いを浮かべる。
薬かなんかで拉致したくせに、出された食事を食べるやつがいると思ってるんだろうか。
色々説明されたけど、俺は半分も理解できてなかったと思う。
頭が真っ白になるって、まさにああいう状態を指すんだな。
召喚は成功したはずなのに、術式の不具合で聖女だけがどこか遠くに飛ばされてしまった。
王族が行方を知って隠していたようだが、ようやく見つけることが出来た。
簡単にいうと、そんな感じだった。
「明日、神官達の前で聖女判定を行います。おそらくは、貴方様が聖女で間違いないでしょう」
それまでこちらでお寛ぎください、と、神官長達は退室した。
入れ替わるように入ってきた神官が、湯気の立つ食事とワインっぽい飲み物をテーブルに置いていく。
神殿騎士が警護のために扉の前で控えるという。きっと警備じゃなく、俺の逃亡防止だろう。
白の甲冑を着た騎士は国の騎士じゃなく、神殿に雇われた騎士だそうだ。
やっぱりここは王都ではなかった。
王族の邪魔が入らないよう王都から離れた神殿に場所を移した、ともっともらしいことを言っていたが、それも逃亡防止のためだと思える。
王都じゃないなら、逃げ出せたとしても土地勘のない俺が宿屋まで帰れるか自信がない。
せめて、「オルに大丈夫だと伝言だけでも頼めないか」と騎士が控えている扉に声をかけたけど、反応はなかった。そうだよね。
ベッドに横になる。
テーブルから美味しそうな食事の匂いがするのに、全く食欲が湧かない。
そういえば、勇者、北小路くんと会ったとき、同席していたユーシスさんが「王族と神殿は昔から対立してる」って言っていたっけ。
王族は勇者を、神殿は聖女を冠して、この国の覇権を取りたいみたいだ。
関係ないと思っていたから「はぁ、大変ですね」って呑気に相槌うってたけど。
まさか、魔王討伐ってのは単なる名目で、国の覇権争いのために召喚したんじゃないだろうな?
あり得る気がしてきた。
だって、北小路くんは「魔王の討伐は手応えがなかった」って言ったんだ。
そんなことのために呼ばれたんだとしたら。
それで、二度と元の世界に帰れないなんて、勝手すぎないか?
一睡も出来ずに夜が明け、俺はローブ連中から朝の支度を受けた。
着替えの必要はないって抵抗してもまったく会話にならないから、せめてヒラヒラのフリフリだけは阻止した。
「召喚者殿、お時間でございます」
着替えが終わった頃、昨日訪れた白ローブの一人と騎士が俺を迎えに来た。
「お口に合いませんでしたか」
手つかずの食事をちらと見た白ローブが苦笑いを浮かべる。
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