上 下
15 / 46

:若社長、嫉妬する:

しおりを挟む
 彩葉を連れて自室へと戻る道すがら、辰之進は急に足を止めた。
「どうしたの?」
「いや……」
 ナカゾノの御曹司が彩葉にちょっかいをかけた、それがどうにも許せない。
 だがそれは、彩葉をいじめていいのは俺だけだ、といった具合の、どうにも子供じみた嫉妬心だと気付いて辰之進は一人赤面する。
「俺としたことが……」

 いつの間に彩葉にこんなに惚れてしまったのか自分でもわからない。
 最初は、あまりの可愛さと巨乳からてっきり経験豊富だと勝手に思い込み、セフレくらいにできたらいいな、と最低なことを思いながらちょっかいをかけた。
 すると、彼女は処女で――何を思ったのか、その身を差し出してきた。さらに無自覚ドMで、初めてだというのに辰之進の手で淫らに喘ぎまくった。
 そんな彼女が可愛くて、自分の好みに仕立てるのが楽しかった。
 それがいつの間にか彩葉を手放したくなくて、そばにいて欲しくて、妻にと欲した。
 だが、彩葉があの男が良いと言うなら辰之進にそれを止める権利はない。
 なにせ辰之進は彩葉に「結婚を申し込んだだけの男」で、結婚の承諾がまだどころか、恋人ですらない。
「さっさと、俺のものになれ……」
「な、なに?」
 とことこと、無防備に近寄ってきて見つめてくる彩葉をぎゅっと抱きしめる。華奢で柔らかい体だ。
「住良木辰之進、どうしちゃったの?」
「彩葉……」
「はい」
 ふと、二人の関係は何だろうか、と辰之進は考えた。彩葉に聞いたなら迷わず「主従」か「取引先の人」と答えそうである。
 婚約者でも恋人でもない。でも、彩葉を何度も抱いている。
 セフレか!? と、辰之進の目が見ひらかれる。
 先日スマホで流し読みした「体からの関係を恋人同士に昇華させるのは難しいのです。だから、セフレになってはいけないのです」という恋愛の達人とやらの記事が脳裏によみがえる。
 いやいやセフレじゃないし! と、懸命に否定してみる。。
 が、彩葉のことが好きで抱いているのは辰之進だが、彩葉の方は辰之進を拒み切れずに受け入れている節がある。だとしたらセフレですらない可能性すら、出てくるのだ。
 メイド頭の九条さんあたりが聞いたら「何をいまさら」というだろう。

 辰之進の胸の奥に、カッと炎が灯った。ポケットに、右手を突っ込む。
「お前は俺のものだ――誰にも渡さない」
「へ?」
 微かな振動音を耳にした彩葉の顔が青ざめる。
「や、やだ、まさか……」
「正解」
 内ポケットから取り出したソレはこのところ辰之進がお気に入りの、新しく購入したローターである。
 振動の種類がたくさんあるため、彩葉は毎度毎度、翻弄されっぱなしである。しかもランダムモードにすればスイッチを入れる辰之進にもどんな振動なのかわからない。
「お断りよ!」
 くるりと身を翻す彩葉があっという間に廊下を駆け抜ける。
「ま、まて!」
 本気で彼女に走られたら追いつけないことを知っている辰之進は焦った。
「あー……動くな、命令だ。逃げるとお仕置きだ」
「ひゃう……」
 ぴたり、と動きを止める彩葉を抱き寄せて手早くスカートを捲り上げる。拒むなよ、と囁けば、足の間に辰之進の手が入り込んでくるのを、彩葉は拒めずにいる。
「……お、さすがに潤ってはいないか……」
 言いながら、辰之進が彩葉の片足を高く持ち上げた。
「ま、またここで? ど、どうするの、誰か来ちゃう……」
「大丈夫、お前が喘がなければ誰も来ない……もうわかってるだろ?」
 容赦なくローターで彩葉の秘部を往復する。粘着質な水音がすぐにして、彩葉は思わず顔を背ける。その頬が上気している。
「よし、もういいだろう。これを入れるぞ……」
「あ。ああ……や、んーっ……」
 小さいとはいえ、卵型のそれをあっさりと咥えこんだ彩葉に、辰之進は歓喜し、彩葉は絶望した。
「あう、ああ……」
「どれだけ潤っているのかよくわかるな。……淫らなメイドだな、彩葉?」
 ぐん、と一瞬だけ強度を増した振動に、彩葉の白い太ももがびくっと引き攣った。彩葉の顔がどこか苦しそうで、辰之進は彩葉の足をゆっくりゆっくり床に下ろした。
「あ、ああ、つよ、い……」
 はう、と彩葉が引き攣った声をあげる。
「やっぱり強すぎると……よくなさそうだな」
「う、うう……」
「このくらいは?」
「ひゃ、あああ……」
「まだ強いか……」
 とってぇ、と、彩葉の声が震えて膝ががくがく震える。こんな彩葉の姿を見ることができるのが自分一人だと思うとたまらなく優越感がこみあげてくる。
「……しかし彩葉、こっちも触って欲しいと主張しているぞ?」
 メイド服の上から、胸をぎゅっと揉むと彩葉の背が撓る。突起があるであろう辺りを指先でくるくるこね回す。彩葉は刺激がもどかしいようだが、声を漏らすまいと必死である。
「誰も来そうにないな」
「……馬鹿社長! 変態っ」
「いいか、このまま俺の寝室まで歩け。途中でローターを落としたら、お仕置きだぞ」
「ん、な、わかって……ます……」
 さぁ歩け、と、彩葉の腰のあたりをポンポンと叩く。
 外からの刺激と、隘路で震える異物、更には短いスカートに職場――誰ともすれ違いませんように、と、彩葉が必死で祈り続けているのがわかる。
「彩葉、気持ちいいだろう?」
「……そ、んな、わけ……」
 真っ赤な顔で睨む彩葉が可愛くて、辰之進は彩葉にありったけの想いを込めてキスをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

両隣から喘ぎ声が聞こえてくるので僕らもヤろうということになった

ヘロディア
恋愛
妻と一緒に寝る主人公だったが、変な声を耳にして、目が覚めてしまう。 その声は、隣の家から薄い壁を伝って聞こえてくる喘ぎ声だった。 欲情が刺激された主人公は…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

処理中です...