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番外編――年末年始、ローテローゼの危機1――
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年の区切りというのは、どの国でも盛り上がるものである。
このノワゼット王国でもそれは同じだった。
「一年、なんとか過ぎたわね……」
すっかり日も落ちたころ、ローテローゼが湯船に浸かったまま呟く。
湯船の脇に置いた簡易テーブルには書類が積み上げられ、羽ペンやインク壺まで置いてある。
書類の束から暦をひっぱりだし、新年まであと何日かしら、と数える。びっしりと予定が書きこまれているそれは、見るだけで眩暈を覚えるほどだ。
「ローテローゼさま、こんな時くらい仕事は置いてください」
「あっ、ごめんね、マティス……」
リラックスできるように、と、水面には赤い薔薇が無数に浮かべられ、花びらがぺたりとローテローゼの白い肌にいくつも張り付く。
「しかし……大変な一年でしたね、ローテローゼさまにとっては」
「こんな大変な一年、はじめてよ……はぁ……」
お兄さまが駆け落ちするなんてね、と囁くように言う。
つい数日前、ローテローゼとマティスがロウサンテの町まで兄王夫婦を迎えにいってきたのだ。新年を迎えるにあたり、国王と王妃の不在はまずかろうという配慮と、アナスタシアのお腹がはっきり大きくなってきたため見知らぬ地で次期国王を産むのはいかがなものかという配慮の結果、ベルナールとアナスタシアは帰国が許された。
ようやく連れ戻したものの、ベルナールは罰として後宮の一室に幽閉されているためローテローゼはまだ仮王のままだ。
「こんな大変な年は、二度とないと思いたいですね」
「ホントにね」
くすくすと笑うローテローゼは、可憐でいて艶めかしい。水面が揺れて、花びらが一枚、首筋にぴたりと張り付いた。ふわり、芳香が一瞬強くなる。
それを指先でそっとはがしたのはマティス。ローテローゼを抱きしめるような形で湯船に浸かっている。二人で入浴などめずらしい。
マティスが、花びらがあった場所にキスをする。かり、と歯を立てればローテローゼの体がひくりと動いた。
「ああっ、だめ……痕が……」
「っ……それは、こちらのセリフです……きつ、い……」
「あ、やあ、マティス、だめよ……」
ローテローゼが体をくねらせた。
マティスの剛直が、ローテローゼの中にピッタリと納まったのだ。
「するっと呑み込みましたね」
「ずる、いわ……不意打ちなんて……」
「おや、では抜きましょうか」
いやいや、と、首を横に振る。小さな笑い声とともに雄芯がどくりと脈打ち、ローテローゼは震えた。
「ふあ、ああ……」
「可愛らしい声だ……もっと聴きたい……」
恥ずかしいと言いながら首を横に振るが、マティスの手はローテローゼの白く豊かな二つの胸をゆっくり揉みはじめる。
「ローテローゼさま、ほらよく見て……」
マティスの手の中で厭らしく形を変える己の胸を、ローテローゼは嫌でも見ることになる。
ぷっくりと尖り、固くなった先端にいきなり爪を立てられてローテローゼの体を電流が走った。
「あ、も、それっ、やぁぁ……」
「淫らで美しいですよ」
「淫ら、なんてっ……」
「いいことです」
「どこ、がっ……」
マティスは小さく笑うと、仰け反ったローテローゼの細い首筋に舌を這わせ、腰をゆるやかに動かす。
「ん、んっ、マティス……」
「はい、もどかしそうですね?」
官能と羞恥で真っ赤になるローテローゼを強く抱きしめ、マティスは腰の動きを速めた。
「はっ、あ、あ、ん……」
「いい、声ですね……」
その後ぐったりしたローテローゼをタオルで包んでベッドに運んだマティスは、すぐにローテローゼに覆いかぶさった。
「え? ま、まって……」
「あれだけで俺が満足するとでも?」
ローテローゼの手は、マティスの下腹部へと運ばれた。
「え!? だって、いま……」
ローテローゼの下腹部はじんじんと熱を持っている。
「……掻き出しますよ」
「ひゃ、う……んっ」
どろりとしたものが溢れていく。
「足らない……ここ最近、あなたを抱く回数がとても少なかった……今夜はあなたをじっくり味わいたい」
ローテローゼの両足が、左右に大きく開かれた。恥ずかしいと思う間もなく、マティスが自身を押し当てる。
ローテローゼの体は、それを拒否することなくあっさり迎え入れる。
「ま、ティス……あ、んああ……」
「年明けも、こうやって二人で一緒にいられたら……あなたを独り占めしたい」
「だ、めよ……」
「わかっています……」
ローテローゼの薄桃色に染まった体の至る所にキスを降らせながら、マティスが切なげにつぶやいた。
「あなたは――王族ですからね、年越しはお仕事です……」
ローテローゼが腕を伸ばしてマティスの背中に回す。細い腕がしっかりしがみつく。
「マティス……好きよ……」
「ありがとうございます」
なかなか、ローテローゼを自分だけのものにできない。
彼女の立場上、それは仕方がないことではあるし、彼女の伴侶となると決めた時から覚悟している。だが、時折、ローテローゼを攫って閉じ込めて、自分だけのものにしてしまいたくなる。
「ああ、ローテローゼさま……」
このノワゼット王国でもそれは同じだった。
「一年、なんとか過ぎたわね……」
すっかり日も落ちたころ、ローテローゼが湯船に浸かったまま呟く。
湯船の脇に置いた簡易テーブルには書類が積み上げられ、羽ペンやインク壺まで置いてある。
書類の束から暦をひっぱりだし、新年まであと何日かしら、と数える。びっしりと予定が書きこまれているそれは、見るだけで眩暈を覚えるほどだ。
「ローテローゼさま、こんな時くらい仕事は置いてください」
「あっ、ごめんね、マティス……」
リラックスできるように、と、水面には赤い薔薇が無数に浮かべられ、花びらがぺたりとローテローゼの白い肌にいくつも張り付く。
「しかし……大変な一年でしたね、ローテローゼさまにとっては」
「こんな大変な一年、はじめてよ……はぁ……」
お兄さまが駆け落ちするなんてね、と囁くように言う。
つい数日前、ローテローゼとマティスがロウサンテの町まで兄王夫婦を迎えにいってきたのだ。新年を迎えるにあたり、国王と王妃の不在はまずかろうという配慮と、アナスタシアのお腹がはっきり大きくなってきたため見知らぬ地で次期国王を産むのはいかがなものかという配慮の結果、ベルナールとアナスタシアは帰国が許された。
ようやく連れ戻したものの、ベルナールは罰として後宮の一室に幽閉されているためローテローゼはまだ仮王のままだ。
「こんな大変な年は、二度とないと思いたいですね」
「ホントにね」
くすくすと笑うローテローゼは、可憐でいて艶めかしい。水面が揺れて、花びらが一枚、首筋にぴたりと張り付いた。ふわり、芳香が一瞬強くなる。
それを指先でそっとはがしたのはマティス。ローテローゼを抱きしめるような形で湯船に浸かっている。二人で入浴などめずらしい。
マティスが、花びらがあった場所にキスをする。かり、と歯を立てればローテローゼの体がひくりと動いた。
「ああっ、だめ……痕が……」
「っ……それは、こちらのセリフです……きつ、い……」
「あ、やあ、マティス、だめよ……」
ローテローゼが体をくねらせた。
マティスの剛直が、ローテローゼの中にピッタリと納まったのだ。
「するっと呑み込みましたね」
「ずる、いわ……不意打ちなんて……」
「おや、では抜きましょうか」
いやいや、と、首を横に振る。小さな笑い声とともに雄芯がどくりと脈打ち、ローテローゼは震えた。
「ふあ、ああ……」
「可愛らしい声だ……もっと聴きたい……」
恥ずかしいと言いながら首を横に振るが、マティスの手はローテローゼの白く豊かな二つの胸をゆっくり揉みはじめる。
「ローテローゼさま、ほらよく見て……」
マティスの手の中で厭らしく形を変える己の胸を、ローテローゼは嫌でも見ることになる。
ぷっくりと尖り、固くなった先端にいきなり爪を立てられてローテローゼの体を電流が走った。
「あ、も、それっ、やぁぁ……」
「淫らで美しいですよ」
「淫ら、なんてっ……」
「いいことです」
「どこ、がっ……」
マティスは小さく笑うと、仰け反ったローテローゼの細い首筋に舌を這わせ、腰をゆるやかに動かす。
「ん、んっ、マティス……」
「はい、もどかしそうですね?」
官能と羞恥で真っ赤になるローテローゼを強く抱きしめ、マティスは腰の動きを速めた。
「はっ、あ、あ、ん……」
「いい、声ですね……」
その後ぐったりしたローテローゼをタオルで包んでベッドに運んだマティスは、すぐにローテローゼに覆いかぶさった。
「え? ま、まって……」
「あれだけで俺が満足するとでも?」
ローテローゼの手は、マティスの下腹部へと運ばれた。
「え!? だって、いま……」
ローテローゼの下腹部はじんじんと熱を持っている。
「……掻き出しますよ」
「ひゃ、う……んっ」
どろりとしたものが溢れていく。
「足らない……ここ最近、あなたを抱く回数がとても少なかった……今夜はあなたをじっくり味わいたい」
ローテローゼの両足が、左右に大きく開かれた。恥ずかしいと思う間もなく、マティスが自身を押し当てる。
ローテローゼの体は、それを拒否することなくあっさり迎え入れる。
「ま、ティス……あ、んああ……」
「年明けも、こうやって二人で一緒にいられたら……あなたを独り占めしたい」
「だ、めよ……」
「わかっています……」
ローテローゼの薄桃色に染まった体の至る所にキスを降らせながら、マティスが切なげにつぶやいた。
「あなたは――王族ですからね、年越しはお仕事です……」
ローテローゼが腕を伸ばしてマティスの背中に回す。細い腕がしっかりしがみつく。
「マティス……好きよ……」
「ありがとうございます」
なかなか、ローテローゼを自分だけのものにできない。
彼女の立場上、それは仕方がないことではあるし、彼女の伴侶となると決めた時から覚悟している。だが、時折、ローテローゼを攫って閉じ込めて、自分だけのものにしてしまいたくなる。
「ああ、ローテローゼさま……」
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