上 下
86 / 106

:身代わり国王は騎士の手で花開くー7:

しおりを挟む
「ローテローゼさま、起きてください。仮王に即位する書類です。サインと王の印を……」
 と、マティスが書類を差し出したのは、ヴァーン皇子を尖塔のてっぺんに拵えた独房に押し込めることに成功した数日後の早朝のことだった。
 明け方まで絡み合っていたというのに、マティスは元気そのものだ。
「マティス……ベッドに仕事を持ち込むのはナシって言ったでしょ……」
「仕方ないでしょう、急ぎなのですから」
 気怠い体を起こして、ローテローゼは書類に目を通してサインをする。
「えっと、今日から仮王として正式にスタートなのね……」
「はい」
 民には告知も済ませ、本日ローテローゼ仮王のお披露目予定だ。急なことだが、民は混乱することなく受け入れてくれた――らしい。
「宰相と先王陛下からの伝言です。実績として念のため三か月ほどの執務を行って欲しい、とのことです」
「あら、そうなの……」
 ローテローゼが書類を読んでいる間に、マティスは手早く朝食を用意する。ワゴンで運ばれてくる料理を受け取り、テーブルに並べるのだ。
 焼き立てのベーコンとハーブ入りソーセージにたまご、トーストに薔薇のジャム。搾りたてのオレンジジュースもついている。
 いただきます、と、二人の声が揃う。こうして二人で朝食をとりながらも、話題は執務のことばかりだ。
「お兄さまはあと三か月は戻ってこられないのね……この重圧が三か月続くのね……」
「ただし、ひとついい知らせです。ベルナールさまをお迎えに行くのは我々の役割ですが、新婚旅行のついでで良いだろう、とのことです」
 新婚旅行、と、ローテローゼが嬉しそうな顔をしてマティスを見た。
「嬉しい!」
 事情が事情なだけに、マティスとの仲は婚約どまり、結婚式や国民へ向けた発表は後回しとなってしまっている。
「姫、旅行を楽しみましょう。どこへ行きたいか考えておいてください」
「はいっ!」
 微笑むローテローゼを眩しそうに見ていたマティスは、ナイフを置くとローテローゼをひょいと抱き上げ、ベッドへと押し倒した。
「ひゃ、マティス?」
「あなたがあまりに愛らしいので抱きたくなった……」
 ローテローゼのナイトドレスを脱がせ、胸を揉みながら谷間に舌を這わせる。かと思えば乳首をきゅっと摘まみ、先端をカリッと噛む。
「あ、あ……やぁ、それっ……」
「びくびく震えて……可愛いなぁ……」
 マティスの手が腹部から足の間に移動する。柔らかな茂みをかき分けて、襞をなぞる。ローテローゼの腹部がざわざわと震える。夕べの名残が、体に残っていて簡単に火が灯ってしまうのだ。
「あ、あっ……」
「ん、もう濡れているね……ほら、あっさり俺の指を飲み込んだ」
「ひゃ、んっ……」
「二本目も、召し上がれ」
 二本そろえられた指が、狭い道の中でぐにぐにと動かされる。
「姫のいいところは……みつけた、ここだな」
 一か所を、マティスの指が執拗に擦る。それに合わせてせりあがってくる波。
「いや、やめっ……だめぇ……」
「ダメってことはないだろう? きゅうきゅうと締め付けている」
 ああ、と、ローテローゼは吐息を漏らした。ダメ、ではないのだ。もっと欲しい、奥まで欲しい。はしたないとは思うが、マティスが与えてくれる快感と充足感の虜になってしまったのだ。
 それを知ってか知らずか、マティスの動きが早くなり、ローテローゼの呼吸も早くなる。
 脳裏で何かが弾けて急速に落下していく。
 その余韻を味わう間もなく、マティスがローテローゼの両足を開かせた。
「……いれるよ……」
 熱い肉棒が、じわじわと押し入ってくる。ぐっと一気に奥まで突かれ、ローテローゼの媚肉も反応する。
「は、うぅ……ああっ!」
「あ、ひ、姫、そんなに締めたら……」
 マティスがゆっくり抜き差しを開始する。その動きとローテローゼの呼吸が同調する。
「あっ、あっ……」
 なんとはしたなく淫らな声かと思うものの、止められない。ローテローゼの無垢だった体は、すっかり淫らに作り替えられてしまったらしい。
「姫、何を考えているのかな?」
 マティスが一度出て行ったあと、くるりとうつ伏せにされた。
「え、え、え?」
 ローテローゼの背中に舌を這わせたマティスがローテローゼの腰をぐっと掴んだ。
「もう一度入れるよ……」
「きゃ、ああっ……そんな、後ろからなんてっ……」
 獣のような体勢に、ローテローゼの羞恥心が煽られる。
「熱いよ……とても、気持ちがいい……」
「は、ん、うっ……」
 そこから先は、ローテローゼはあっという間に快楽の波にのまれてしまった。
 室内に響く卑猥な音と喘ぎ声。
「まだっ、朝なのにっ……」
「いいじゃないか……背徳的で」
 マティスの手が、ローテローゼの両胸を掴み、ぐにぐにと揉み解す。
「ふっ、あん、ああ……」
 皮膚と皮膚がぶつかる音を聞きながら程なくしてローテローゼは意識を飛ばし、マティスも果てた――。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...