身代わりで男装した王女は宮廷騎士の手で淫らに健気に花開く

酉埜空音

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:束の間の休息ー7:

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 マティスを見上げるローテローゼの瞳は潤み、唇も血色よく塗れている。が、ゆっくり瞬きをするとまつ毛が不安そうに揺れる。
 マティスが少し体重をかけると、ベッドがぎしりと音を立てた。それだけで、期待と不安とが混ざった複雑な色がその瞳と表情にありありと浮かぶ。
「あ、あの、マティス……」
 マティスは何も言わずにキスを再開した。大丈夫、と想いを乗せるがローテローゼに伝わるだろうか。
 軽く唇を触れ合わせ、離れる。またすぐ啄み、離れる。それを何度も繰り返して、ローテローゼの反応をうかがう。
 目を閉じたままのローテローゼの頬が紅潮し吐息が小さく漏れる。そのまま薄く唇が開き、ちろり、と赤い舌がのぞいた。
 さっきの続きをして欲しい、そんな意思表示だと理解したマティスは、誘われるように唇を寄せた。今度はーー触れるだけでは済まさなかった。マティスが舌を差し込むや否や絡んでくる小さな舌。
 珍しい。
 それに応えながら、マティスはローテローゼの髪を掬い、柔らかく撫でた。それすらローテローゼは気持ちがいいのか僅かに身を捩る。
「ローテローゼさま?」
「マティス、もっと、触って……?」
 ローテローゼがマティスの右手を取り、己の胸へと誘導する。中途半端に乱れていた服を、ローテローゼ自ら脱ぎ捨てる。白い肌が眩しい。
 当然快楽を求めるわけではない、かと言って投げやりや自棄になったわけでもない。ローテローゼの意思と覚悟がある気がするマティスである。
「貴方はーー脱がなくていいわ」
「……分かりました……」
 そのまま、柔らかい胸を優しく揉む。ローテローゼの表情に大きな変化は見られないが、先端は明らかな反応を返してくれる。指先で摘んで転がし、そのままそっと口に含む。
「ひゃん!」
 舌先で舐めて転がして……歯を立てないよう、ゆるやかに刺激をする。左手は、ローテローゼの下腹部や腰を軽やかに撫でる。
「あ、あ……」
 短い喘ぎが漏れた。恐怖や不安ではないことに、マティスはホッとした。
「可愛い……」
 そのまま、優しく全身を撫でたり胸を刺激したりしながらキスをする。
 もぞり、と、ローテローゼの太ももが動いた。
「……触れても?」
「……うん……」
 下生えを掻き分けてそっと指を差し入れた秘所は、たっぷりと濡れていた。
 指の腹で慎重に、襞や肉粒を刺激する。
 くちゅくちゅと水音とローテローゼの喘ぎが混ざり合い、それがローテローゼの羞恥を煽る。シーツを握ってみたり、赤くなった自分の顔を隠してみたり。
「……ローテローゼさま……可愛い」
 少し強めに刺激を送れば、ローテローゼの呼吸が大きく乱れ、腰がびくりと跳ねた。本来ならこのまま指を差し入れて解すところだが、マティスは何も挿入するつもりはなかった。

これだけで、軽く達したらしい。
 顔を覗きこめば、ローテローゼは、くったりとして目を閉じている。
「マティス……」
「はい」
 ローテローゼの手が動いて「ここに」と言いながらすぐ横をポンポンと叩いた。

 これは……安心したいのだーー

「承知」
 するりと体を横たえると、ローテローゼがすかさず抱きついてきた。
 香水とは違う甘い香りと、いつの間にか漂わせている色香がマティスを煽る。
「マティス、好きよ……」
「俺もですよ、姫」
「ありがと……」
 ローテローゼの目がとろんとしている。
 マティスは、ふと思いついてローテローゼが眠りに落ちるまでこのまま添い寝をしようと、体をずらした。
「やだ、マティス……」
「え」
「そのまま。ぎゅ、して……」
「ぎゅ、ですか?」
「そう」

ーーお願い、離さないで……

 そう聞こえた気がしてマティスはローテローゼの華奢な体を自分の方へぐっと引き寄せた。
 抵抗することもなく、ローテローゼは静かに目を閉じる。すぐに落ち着いた寝息となったが、マティスはそのまま動かずにいた。
 腕の中のローテローゼの重みが心地いい。そして今までになく愛おしい。

ーー必ず幸せにしますからね……
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