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◇第三章 レイモンド編◇ 毒舌家で皮肉屋の彼は私のことが嫌いみたいです
第十一話 「あなたの間抜け面を見たら、名案を思い付きましたよ」
しおりを挟む「……」
「何か言ってはいかがですか」
すぐには良い答えが見つからなくて、口をつぐんでしまった。そんな私を、レイモンドさんは一瞥《いちべつ》しただけだった。
何て答えれば正解? どうすれば、レイモンドさんが納得できるの?
嘘をついて誤魔化《ごまか》す? ……ううん、これまで散々誤魔化してきたのに、またそんなことしたら、余計不信感が増すだけだよ。すぐに見破られる可能性のほうがきっと高い。
どうしたらいいの?
焦りで、握りこんだ手のひらにジンワリ汗がにじんでくるのがわかる。
「私、は……」
何て答えれば、いいの――?
私の唾《つば》を飲み込んだ音が、やけに大きく室内に響いたような錯覚。緊張で、今立っているだけでも精一杯だけど。
『逃げることなんて許さない』って、レイモンドさんの目が言っていた。
飛び跳ねる心臓をなんとか落ち着けたくって、大きく深呼吸をした。うるさく騒ぐ鼓動にクラクラする。
握りこんだこぶしに、力を込める。
下げていた視線を上げたら、レイモンドさんと目が合った。
目を据《す》えて、彼を正面から見つめ返した。
「……私は、異世界から来ました」
「…………は?」
たっぷりの沈黙の後で、ポカンと口を開けて固まっちゃった。目を見開いて驚いてる彼にとっては、突拍子《とっぴょうし》もないことだったよね。
嘘も誤魔化しも、レイモンドさんには通用しないって思った。だったら、素直に話そうって覚悟を決めた。
……信じてもらえるかどうかは、別だけど。
しばらく絶句していた彼は、我に返って怪訝《けげん》そうな表情になった。
「本当、なんです。神様の手違いで、この世界に飛ばされて。元々私は日本っていう国にいたのに……」
言い募《つの》って虚しくなるだけでも、少しでも信じてほしくて。必死に説明しようと口を動かした。ところどころ言葉がつまったけど、そこは目をつむってほしいな。
「そのうち、戻れるみたいですけど……それがいつかはわからなくて……」
どうしよう。口を開けば開くほど、怪しい言い訳みたいになってるような……!?
レイモンドさんの沈黙が気まずくて、言ってる内容が最後には尻すぼみになっていく。
「だからその、何者って聞かれても……『私はただの普通の人です』としか……」
そうとしか言いようがない、よね。あえて言うなら異世界人、とか?
「にわかには信じられませんね」
「っ! そう、ですよね……」
ため息交じりに呟《つぶや》かれたレイモンドさんの拒絶に、肩を揺らしちゃった。……予想してたとはいえ、ちょっとつらい、かな。
きっとレイモンドさんからしたら、意味不明なことを言ってるだけだよね。嘘なんて言ってないのに。
「――ですが、信じざるを得ません」
「え……?」
どういうこと、なの?
目が合ったレイモンドさんは、深いため息を吐き出した。心底疲れた様子で、首を振ってる。
「あなたが今無事で立っていることが、その発言が偽りでない何よりの証明ですから」
「? どういうことですか?」
「…………ここには、特殊な魔法を展開する魔道具を設置しています。私以外の人間が嘘を吐くと、昏倒《こんとう》するほどの麻痺《まひ》がかかるようになっているのですよ」
「!?」
つまり、この部屋自体が嘘発見器ってこと?
う、嘘つかなくてよかったよ! もしもついてたら、レイモンドさんからの疑惑が真っ黒になってたよね!
「魔道具が支障をきたしている可能性も否定できかねますが……それはあり得ないでしょう。この開発者が失敗するような事態は、パンプ王国が転覆《てんぷく》するようなものです」
そんな重い事態なの!? それほど、その魔道具が正確ってことなのかもしれないけど。
眉間にできたしわをもみほぐしながら、レイモンドさんはまたため息をついた。
「私の予想の範疇《はんちゅう》を大いに外れた返答でしたので、安易《あんい》には受容できかねます。しかし…………違う世界に神……ファドール神ときましたか」
名前は聞けなかったから、その神様かどうかはわからないですけどね。唐突《とうとつ》に強制的にこの世界に落とされたから。
苦渋の表情のレイモンドさんは、必死に私の発言を消化しようとしてるんだと思う。
「……ハァ、何故私の周囲には面倒な者達が集うのですかね。これは一度、悪魔祓いを教会にしていただくしか…………」
ブツブツと文句をこぼしてるレイモンドさんのため息が深いよ! レイモンドさんから哀愁《あいしゅう》の空気が漂ってるような。く、苦労してるのかな?
「……ごめん、なさい?」
「疑問で言わないでください。謝意がないことしか伝わってきませんから」
ジロッと睨《にら》まれた!? 困って首を傾けると、レイモンドさんはまた特大のため息を吐いた。
「……ともかく、怪しい者であることには、なんら変わりはありません。幸いなのは、虫でなかったことくらいでしょうか」
「虫?」
え、なに? 私って人間以下の認識だったのかな?
聞き返したけど、レイモンドさんは「あなたには関係のない話です」って言って取りなしてくれない。……深く考えたらヘコみそうだから、流しておこうかな。
「それで?」
「?」
「あなたがここに勤務することを決意した要因は? 別にここでなくてもよかったのでは」
「ジョシュアさん達からの勧《すす》めがわたりに船でしたので。この世界の他の人達は知り合って間もないから、頼むのはちょっと……腰が引けたんです」
「なるほど。理にかなってはいますか」
私の返事に対して、レイモンドさんは頷《うなず》いた。
「いずれ自分がいた世界に帰還する時が不明だと言いましたが……」
「『なるべく早く帰してあげたいけど、死ぬまでに間に合わなかったら諦めて』みたいなことを言われました」
「は? それでは実質、確約はないではありませんか」
「……そうですね」
改めて口にしても、フワッとしてる約束だよね。『間違えた』なんて言ってたくらいだし、私がイレギュラーな存在なんだと思う。……だとしても、対応がおざなりなような気もするけど。
「そのまま神様に頼りっきりで待つのも不安ですから、一応自分でも帰る方法は探そうとしてます」
「……なるほど。そこでアルフォードからの王宮図書館の利用許可ですか」
やっぱりレイモンドさんって、察しがいいよね。そもそも、私がアルから利用許可証をもらってたことを覚えてるなんて。記憶力もいいのかな。
「あなたの事情はわかりました。理解はできかねますが」
「……です、よね」
うん、そうだと思うよ。レイモンドさんに嘘だって疑われることがないのは、気が楽だけど。
私だってもし実際に宇宙人が急に現れたりなんかしたら、映画の撮影だって勘違いするだろうし。きっと、レイモンドさんにとってはそんな感じだよね?
「……随分《ずいぶん》と、ご自身の置かれている現状を達観されていますね」
「達観なんて、してないです。割りきってるだけで……」
内心は落ち込んだり悩んだりで忙しいけど。でもそれをわざわざ、レイモンドさんに言う必要はないよ。
もしも日本に帰りたいって泣き続けてそれが叶うなら、きっとそうしてる。
でも、一度起こってしまったことは変えられないし、受け入れるしかないってことを知ってたから。
つらくても苦しくても、仕方ないことだって思わないと。
嫌だって駄々をこねたって、何も変わらないに決まってるから。
私の返事に、レイモンドさんは前よりも怖い顔になった。何か気にくわないことでも言っちゃったかな?
でも、思いあたることがないんだよね。困るよ。
思わず少しだけ首を傾けると、レイモンドさんはため息をついた。今日だけで何回ため息をついたのかな? あんまりしてると、幸せが逃げていきそう。
「事実は把握しましたが、あなたが怪しい者だというのは相違ありませんね」
「そうですね」
うん、全くもってその通りだよね。レイモンドさんの見解は間違ってないよ。
頷いて相づちを打ったら睨《にら》まれた。どうして?
「……弁明はしないのですか」
「? 実際にそうですから」
「…………ハァ。何ですかこのつかみ所のない生物は」
「? あの」
机上で肘《ひじ》をついて組んだ手におでこを乗せて、グッタリしちゃってる。レイモンドさんってば、どうしたのかな。
「もういいです。わかりました。あなたに関しては深くとらえないでおきます。思考するほうが馬鹿馬鹿しい。労力の無駄です」
「……」
えっと、けなされてる? それとも見放されてる? どう受け止めたらいいのかな?
「あの、もうさがってもいいですか?」
「ええ、用件は済みましたから。どこへなりとも行きなさい」
え、ええー……? 何その反応。勝手に呼び出しといて、今は『シッシッ』って手を振ってる。野良ネコじゃないんだけどな、私。
ムッとしたけど、私は大人だから口には出さないで黙っておく。だけど抗議の意味を込めて見つめといた。
「何ですか。拝見料集金しますよ」
「!?」
がめついですね!? 見てただけなのに!
慌《あわ》てて目を逸《そ》らすと、鼻で笑う音が聞こえた。さては、私のことからかってませんか!? もしくはバカにしてますよね!?
「……ふむ。あなたの間抜け面を見たら、名案を思い付きましたよ」
「間抜け面……」
自然とディスを混ぜてきましたね。レイモンドさんからは、口を開いたら毒舌か嫌味くらいしか言われてないような気がするよ。
それにしても、名案って?
「私と取り引きなさい」
「取り引き、ですか?」
そして聞きたいんですけど、選択肢じゃなくて決定事項なんですか。
拒否は……できない、よね。レイモンドさんにうまーく言いくるめられる未来しか見えないよ。
「あなたがいた処《ところ》にあるもので、こちらにないものを教えなさい」
「ここにはない物……?」
どうしてそんなことを知りたがってるの? 理由がわからないよ。
「なんで知りたいんですか?」
「あなた、バカですか」
また鼻で笑われた!?
「些細《ささい》な事柄であっても、情報は金に化けます。情報とは所有する者によって剣にもなり盾にも成りうる、万能な物ですよ」
「……つまりレイモンドさんは、私の知識で一儲《ひともう》けしたい、ってことですか?」
「有り体《てい》に言えばそうなりますが、何ですかその下品な言い様は」
顔をしかめられたけど、レイモンドさんの言い方が回りくどすぎるだけだと思う。
「思い当たった、その都度《つど》で構いません。詳細に明確に伝えなさい」
「あの、拒否権は……」
「あなたにそんな物は存在しませんが、何か」
「……」
うわー、清々しいほどの命令形。私のささやかな抗議の言葉すらわずらわしいのか、睨《にら》まれたよ。
取り引きってなんだっけ。これじゃ、強制だよね?
「……それを私がするメリットってなんですか?」
「情報に見合った報酬金額を支払いましょう。あとは情報を生かして何かを商会で商品化することがあれば、その試作した品を屋敷に取り入れる可能性もありますね」
情報料ってこと、なのかな? それより、レイモンドさんの言ってる内容の後半のほうが気になるよ。
試作した物を屋敷に設置するってことは、私がそれを使う機会とかあったりするってこと? それで便利になるのも利点ってことだよね。…………それはちょっと、魅力的かも。
「わかりやすく目の色が変わりましたね。所詮《しょせん》は金ですか」
「っ! 違います! そ、そんなことより、本当に試作した物を屋敷に置いてくれるんですか!?」
「は? ……ええ、実現可能ならばできる限り便宜《べんぎ》を図《はか》りましょう」
私の食いつきっぷりにレイモンドさんが怪訝《けげん》そうな顔をしてるけど、そんなの関係ない!
お金より私にとってはそっちのほうが大事だよ!
「じゃあ、もし! もし、私がいた世界でよく食べられてた物とかあって、この国であまり見られない物を取り寄せとかも……!」
「…………初回は少量にします。しかし価値があると私が判断した場合、増量することを考えましょう」
「!!」
ということは……お米が手に入る、かもしれないってこと!? それはすっごく助かるよ!
この世界に来てからパンばっかりだったから、ご飯が食べたくて仕方なかったんだよね。前に一度、市場を見てみたんだけど、お米は見かけなかったし。
「……ひとまず、さがっていただけますか。唾が飛んできそうで甚《はなは》だ不快です」
「!? す、すすすみません!!」
「…………ハァ」
いつの間に!? 興奮しすぎてたのか、身をのりだしてたなんて!? 気が付いたらレイモンドさんと顔の距離が近くなっててビックリしたよ。
……それにしても近くで見ても、レイモンドさんって美形だった。まつげなんて長くてバサバサで、うらやましいな。まさに、クールビューティって表現がぴったりだよ。
レイモンドさんの指摘を受けてから、急いで後ろに飛びのいた。勢いをつけすぎてよろけちゃったけど、なんとか持ちこたえる。
……恥ずかしい。体温がカッと上がってきて、暑く感じるよ。鏡を見たら、間違いなく顔が赤くなってるよ。
「金銭より食い気とは……。全く、あなたは淑女《しゅくじょ》とは程遠い存在ですね。それとも、異世界の者は皆そのような考えなのですか」
「そ、そんなことはない、と思います……」
「ということでしたら、あなた個人が食い意地がはっているということですね」
「それは…………そう、かもしれない、です」
ひ、否定できない。呆《あき》れた眼差しが突き刺さってきて痛いよ……! 完全に自業自得だけど。
気まずくて目を泳がせたけど、誤魔化《ごまか》せるはずがないよね。レイモンドさんからの特大のため息がその証拠だよ。
「気をはっていた自身が愚かに思えますね。あの野生児のような奴と同等の短絡《たんらく》さを兼《か》ね備《そな》えた輩《やから》だとは……」
「……その、すみません?」
「ですから、意思をともわない謝罪はやめなさいと言いましたよね」
あ、そういえばそうだったよね。でもなんとなく、謝らないといけないような気がしたんだよね。
レイモンドさんの声に気力がないくらい疲れたのが私のせいかなって思うと、どうしてもね。
「……横道に逸《そ》れましたね。では、先刻の件におきましては、交渉成立、ということで構いませんか」
「! あ……はい」
「よろしい。後日、正式な契約文書を渡しますので、目を通した上で署名をなさい」
「わかりました」
契約の紙まで用意するの? なんというか、レイモンドさんって本当にしっかりしてるよね。そんな細かいことまでするから、疲れたりため息をつきやすくなってるんじゃないのかな?
このまま部屋にいても迷惑だろうし、なによりレイモンドさんがお疲れな様子だから、さっさと退室しちゃおうかな。
「あの、今度こそ失礼しても……」
「はい。どうぞとっとと行きなさい」
また『シッシッ』ってやられた。何回見てもイラッとするんだけど、もしかしてそれを狙ってるのかな。
一応礼儀として、お辞儀をしてから部屋を後にする。廊下に出て扉を閉めて、やっとホッとできて息をついた。
まさかレイモンドさんに異世界から来たってことを打ち明けることになるなんて、思いもしなかったけど。その分収穫もあったし、結果オーライだよね。
それにきっと、たぶんだけど……。
「少しは、信用してもらえたのかな……?」
彼から『取り引きをしよう』って言い出すなんて、昨日までの態度からは予測できなかったことなのに。関わり合いすら嫌がって、屋敷から出てけっていう感じだったのに、一体どうして……?
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