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本編

第15話_凍てつく刃-2

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本能的に咄嗟に及んだ自らの行動と、拳に感じた感触に、ロードナイトの顔が固まった。
その光景を目にしていた後方のオニキスとエピドートも、表情を強張らせる。

「…おいおい、こっちの攻撃も通っちまうってことか?」
「…おそらく。そして…伊豆の一戦であった通り、『凍氷』へは『灼熱』だけが有効だ」
「……!!」

頭の中で交わされる彼らの会話を聞き、眼前には依然鋭く見据えてくるアズライトを捉え、ロードナイトは背に冷や汗を流す。

彼らの思考回路を見透かすように、再び足元からくぐもった声が伝わってくる。

「ようやく状況が飲み込めてきたようだな。しかし…解ったところでお前たちには手の施しようが無いだろう。アズライトを仕留めるのであれは別だが」
「……!」
アズライトそれを使ってお前たちを手中に収めようとしたが、手に入らない物は仕方がない、潔く諦めよう。せいぜい同士討ちでもして、目障りなその頭数を減らせばいい。…意中に適わぬ物に未練はない」

そう言い残し、地面を震わせていた[霆蛇]の気配が、それきり水奥へ消えていく。

[侵略者]がくらまし、沈黙が降りた空間で、影斗オニキスは忌々しげに舌打ちした。

「てめぇの都合通りいかなくなった途端お払い箱ってか。…糞ったれが」
「とはいえ、意識はいまだ[侵略者]の支配下にある。毒の効果ははっきりとはわからないけど、多分[侵略者]が生存している限り続くだろうね…」
「…どうすんだ、[魚]は逃げちまったし、アズライトあっちる気満々だぞ?」
「困ったね…なにしろ、装具無し・・・・では分が悪過ぎるよ」

ロードナイトは初期属性に『火炎』、後発属性に『灼熱』を持ち、攻撃性が高く装具のある火炎に対して灼熱は防御性の能力で、装具は無い。
灼熱で造る防御壁は属性変更後も持続力があるが、装具は灼熱へ切り替えた瞬間に消え、再び火炎へ切り替えなければ呼び出せない。
『灼熱』は『凍氷』に対して優位性のある属性ではあるものの、リーチが長い大剣持ち相手に身ひとつで近接戦闘は、不可能に近い。
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