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本編
第16話_罠返し-3
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「!」
水深深くへと進んでいた烈と葉月の視界に、黒い影がぼんやりと見えてきた。
ほぼ同時に気付いたふたりは、脳内会話へ切り替える。
「…居たっすね」
「こちらには…気付いてないとみていいかな?」
はっきりと形を確認出来るまで近寄り、息を潜める。
[霆蛇]は丸い目を閉じ、大きな体躯を水の底に休めていた。時折血色の悪い舌が口からはみ出し、自らの口髭や唇の上をぬめぬめと動き回り、やがて口腔へと戻っていく。
その気色悪い様子を目にしながら、エピドートは装具『雷嵐』を呼び出した。
「! エピドート、いきなり仕掛けるんすか?」
「僕たちは猶予が無い…1分1秒でも惜しい。周りを満たす水は、間違いなく電撃が効く。僕が[異形]を足止めするから、君はとにかく[侵略者]へ当たってくれ。…場合によってはサポートに入るから」
「…了解」
防御壁の中で、エピドートが巨大な斧槍を垂直に構える。全神経を集中させ、能力を雷嵐へ注ぎ込む。
次の瞬間、周囲の水域が白く閃いた。
「…ん゛んっ?」
突然の環境の変化に、寝入っていた[霆蛇]は半目を開け、あたりを見回す。
寝ぼけ眼に、自らのものではない白い雷が無数に落ちる光景が映る。
主以外の雷撃を受けた[水の異形]が周囲をかき回すように動き、激しい水流に安定しなくなった巨体が浮かび上がる。
覚醒した[霆蛇]は上方を見上げ、雷を操る風の戦士を目に留めた。
「!? お前…、なぜここまで来れた…」
次第に驚愕の面様へ変わっていく[霆蛇]の視界の端を、紅い何かがすり抜ける。
「ぎゃぁっ!!」
異変に気付くと同時に、躰の側面に熱さと痛みが走り、[霆蛇]は水中に咆哮を轟かせた。
片側の鰭を全て切断され、バランスの取れなくなった体躯が横倒しになる。
切断面が赤黒く焦げる様を見、太刀『紅蓮』を駆ったロードナイトはエピドートへ叫んだ。
「効きます!! こいつ、風属性っす!!」
水深深くへと進んでいた烈と葉月の視界に、黒い影がぼんやりと見えてきた。
ほぼ同時に気付いたふたりは、脳内会話へ切り替える。
「…居たっすね」
「こちらには…気付いてないとみていいかな?」
はっきりと形を確認出来るまで近寄り、息を潜める。
[霆蛇]は丸い目を閉じ、大きな体躯を水の底に休めていた。時折血色の悪い舌が口からはみ出し、自らの口髭や唇の上をぬめぬめと動き回り、やがて口腔へと戻っていく。
その気色悪い様子を目にしながら、エピドートは装具『雷嵐』を呼び出した。
「! エピドート、いきなり仕掛けるんすか?」
「僕たちは猶予が無い…1分1秒でも惜しい。周りを満たす水は、間違いなく電撃が効く。僕が[異形]を足止めするから、君はとにかく[侵略者]へ当たってくれ。…場合によってはサポートに入るから」
「…了解」
防御壁の中で、エピドートが巨大な斧槍を垂直に構える。全神経を集中させ、能力を雷嵐へ注ぎ込む。
次の瞬間、周囲の水域が白く閃いた。
「…ん゛んっ?」
突然の環境の変化に、寝入っていた[霆蛇]は半目を開け、あたりを見回す。
寝ぼけ眼に、自らのものではない白い雷が無数に落ちる光景が映る。
主以外の雷撃を受けた[水の異形]が周囲をかき回すように動き、激しい水流に安定しなくなった巨体が浮かび上がる。
覚醒した[霆蛇]は上方を見上げ、雷を操る風の戦士を目に留めた。
「!? お前…、なぜここまで来れた…」
次第に驚愕の面様へ変わっていく[霆蛇]の視界の端を、紅い何かがすり抜ける。
「ぎゃぁっ!!」
異変に気付くと同時に、躰の側面に熱さと痛みが走り、[霆蛇]は水中に咆哮を轟かせた。
片側の鰭を全て切断され、バランスの取れなくなった体躯が横倒しになる。
切断面が赤黒く焦げる様を見、太刀『紅蓮』を駆ったロードナイトはエピドートへ叫んだ。
「効きます!! こいつ、風属性っす!!」
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