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本編
第14話_糸手繰るもの-2
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『転異空間』へ転送してきたセイバーたちは、『現実世界』から様変わりするその空間にやはり様変わりする装いで立ち、辺りをゆるりと眺め回す。
初見の烈――『セイバーロードナイト』と影斗――『セイバーオニキス』は平然と受け入れ、辺りを見やっていたが、二度目である葉月――エピドートと陽――サルファーの面差しは幾分か曇っていた。
「さて、どうしようね。探すしかないんだけど…」
「[侵略者]は下に隠れてるんでしたっけ?」
「うん…前戦は、蒼矢に場所をつきとめてもらったんだけど…」
「あーもー、頭数揃ってたって、俺らじゃ何もわかんねぇじゃんか! たりぃー」
一同が手をこまねきだす中、オニキスはおもむろに籠手の装具『暗虚』を呼び出す。
「面倒くせぇな、割ってみりゃいい。水属性なんだろ? エピドートが雷喰らわせてやりゃ飛び上がってくるんじゃね?」
「え゛えっ!? 嫌だよ、割ったところからヒビ入って落ちたらどうするんだ…!!」
「前回やったみたいに防御壁張ればいいだけだろうが」
「そ、そうだけど…、待って! まだ心の準備が…っ!!」
「うるせぇな。アズライトが手遅れになってもいいってのか?」
『暗虚』の鉤爪を地面に振り被ろうとするオニキスの腰にエピドートがすがる中、彼らをあわあわと見守っていたロードナイトとサルファーの視界の端で、薄青の地にぴしりと亀裂が入る。
気付いた二人の眼前で、丸く切り取られるように地面が下へと消え、気味が悪いほど真っ青な、大きな水溜りが現れた。
「!」
動きを止め、全員が目を見張る中、丸い池はその中心から徐々に黒くなり、ドーム状に水面を押し上げ、滑らかな漆黒の塊が浮かび上がる。
現れた侵略者・[霆蛇]は、黒い体躯に顔面の両端まで割ける灰色の口を真一文字に結び、ふたつの眼をぎょろりとセイバーたちへ光らせた。
条件反射的に、セイバーたちは装具を呼び出し戦闘態勢に入る。
が、[霆蛇]は口の上に生やした太い髭をしならせてから口端を嫌らしくにやつかせると、再び水の中へその巨体を沈めた。
「っ!! あいつっ…」
追うように池の縁へ駆け寄ろうとしたサルファーだったが、目線上に感じた別の気配に足を止めた。
サルファー以外のセイバーも、[霆蛇]が消した水面から視線をそちらへと移し、驚愕の表情を晒す。
「…アズライト…!」
初見の烈――『セイバーロードナイト』と影斗――『セイバーオニキス』は平然と受け入れ、辺りを見やっていたが、二度目である葉月――エピドートと陽――サルファーの面差しは幾分か曇っていた。
「さて、どうしようね。探すしかないんだけど…」
「[侵略者]は下に隠れてるんでしたっけ?」
「うん…前戦は、蒼矢に場所をつきとめてもらったんだけど…」
「あーもー、頭数揃ってたって、俺らじゃ何もわかんねぇじゃんか! たりぃー」
一同が手をこまねきだす中、オニキスはおもむろに籠手の装具『暗虚』を呼び出す。
「面倒くせぇな、割ってみりゃいい。水属性なんだろ? エピドートが雷喰らわせてやりゃ飛び上がってくるんじゃね?」
「え゛えっ!? 嫌だよ、割ったところからヒビ入って落ちたらどうするんだ…!!」
「前回やったみたいに防御壁張ればいいだけだろうが」
「そ、そうだけど…、待って! まだ心の準備が…っ!!」
「うるせぇな。アズライトが手遅れになってもいいってのか?」
『暗虚』の鉤爪を地面に振り被ろうとするオニキスの腰にエピドートがすがる中、彼らをあわあわと見守っていたロードナイトとサルファーの視界の端で、薄青の地にぴしりと亀裂が入る。
気付いた二人の眼前で、丸く切り取られるように地面が下へと消え、気味が悪いほど真っ青な、大きな水溜りが現れた。
「!」
動きを止め、全員が目を見張る中、丸い池はその中心から徐々に黒くなり、ドーム状に水面を押し上げ、滑らかな漆黒の塊が浮かび上がる。
現れた侵略者・[霆蛇]は、黒い体躯に顔面の両端まで割ける灰色の口を真一文字に結び、ふたつの眼をぎょろりとセイバーたちへ光らせた。
条件反射的に、セイバーたちは装具を呼び出し戦闘態勢に入る。
が、[霆蛇]は口の上に生やした太い髭をしならせてから口端を嫌らしくにやつかせると、再び水の中へその巨体を沈めた。
「っ!! あいつっ…」
追うように池の縁へ駆け寄ろうとしたサルファーだったが、目線上に感じた別の気配に足を止めた。
サルファー以外のセイバーも、[霆蛇]が消した水面から視線をそちらへと移し、驚愕の表情を晒す。
「…アズライト…!」
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