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本編
第10話_妖しの訪ね人-3(R18)
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★年齢制限表現(微)有
烈の健康的に割れた腹が露出し、白く華奢な手がその浅黒い肌の上を滑り、鍛えられた胸筋へと辿っていく。
やがて手のひらは彼の右胸上に浮かぶ、炎を模した紅い紋様を撫でた。
「っ…!」
肌の上を這う彼の手の感覚に、身体がぴくりと反応してしまう。
蒼矢の股間に当てられた手は、彼の手により前後に動かされ始める。手のひらに、ズボンの中で柔らかく動く温かな局部の感触が伝わってくる。
見下ろす蒼矢の頬が更に紅く色付き、息を乱す。
「素直になれよ、烈。お前は俺のここをお前のものにしたい。…自分で動かしてみろ」
「……!」
美麗な彼の、妖しい光を灯す瞳と艶やかな唇が、烈に近付いていく。
さらりと垂れる焦茶の髪が、頬をくすぐる。
「…っ……!!」
ぎゅっと目をつぶり、再び目を開けると、烈は面差しに平静さを戻し、蒼矢を見つめ返した。
「やめてくれ、蒼矢。俺は、お前にこんなことをしたいわけじゃない。…して欲しくもない」
動きを止める彼へ、烈はまっすぐな眼差しを送る。
みずからの言葉に冷やされていくように、硬さを帯びていた中心は落ち着きを取り戻していく。
「確かに…俺の体は正直だ。お前の身体が欲しい。抱きたいとも思う。…でも、心では"お前"っていう人間を理解ってるつもりだ。…だから、手は出したくない。少なくとも、まだその時じゃない…と思ってる」
「……」
「…どうしちまったんだよ、蒼矢…お前は潔癖な奴だ。こんなこと、お前は一番したくないはずだ。お前は俺に、こんなこと求めてないはずだ。…そうだろ?」
烈は真っ直ぐな眼差しを送りながら、自分へ被さる幼馴染へ問いかける。
しかし蒼矢は、その内の思いが込められた視線を無感動な面差しで見返すだけだった。上気していた頬は一気に血の気が失せ、誘い文句を口ずさんでいた唇は、感情を殺したように真一文字に結ばれる。
ふたりの間に、長い沈黙が流れた。
「――残念だ、ロードナイト」
やがて蒼矢の口から、ぼそりと声が漏れる。
その"違和感"に烈が目を見開いた瞬間、首に空気を閉ざす圧がかかる。
「…っく…!」
「…俺の気持ちを解ってくれてるなら、俺のために大人しく死んでくれるか?」
蒼矢の両手が、烈の太い首を上から圧迫するように絞めつけていく。
「……そ…、や…っ…!」
「私の意に沿わないのなら、お前は必要無い。…消えろ」
烈の白んでいく頭の中に、モザイクのように声色を変える蒼矢の台詞が木霊し、薄くなっていく。
「……っ!」
…消えてたまるか…っ!!
気を失う寸前、烈は渾身の力を振り絞って蒼矢の胸部まで脚をあげ、彼の身体を引き剥がした。蹴り飛ばすことはせず、足の裏で一旦彼の上体を持ち上げ、手が離れたところで横へ振り落とす。
床へ落とされ、尻もちをついた蒼矢がやはり無表情で自分を見下ろしてくる気配を感じたが、烈は身体に力を入れられず、畳の上で仰向けになったまま息を弾ませていた。
「…っ…、……」
咳き込み、荒く呼吸を繰り返す彼の耳に、玄関の呼び鈴が鳴り響く音が届く。
「……」
繰り返される呼び鈴を頭の隅に聞きながら、少しずつ呼吸はか細くなり、意識が遠のいていった。
烈の健康的に割れた腹が露出し、白く華奢な手がその浅黒い肌の上を滑り、鍛えられた胸筋へと辿っていく。
やがて手のひらは彼の右胸上に浮かぶ、炎を模した紅い紋様を撫でた。
「っ…!」
肌の上を這う彼の手の感覚に、身体がぴくりと反応してしまう。
蒼矢の股間に当てられた手は、彼の手により前後に動かされ始める。手のひらに、ズボンの中で柔らかく動く温かな局部の感触が伝わってくる。
見下ろす蒼矢の頬が更に紅く色付き、息を乱す。
「素直になれよ、烈。お前は俺のここをお前のものにしたい。…自分で動かしてみろ」
「……!」
美麗な彼の、妖しい光を灯す瞳と艶やかな唇が、烈に近付いていく。
さらりと垂れる焦茶の髪が、頬をくすぐる。
「…っ……!!」
ぎゅっと目をつぶり、再び目を開けると、烈は面差しに平静さを戻し、蒼矢を見つめ返した。
「やめてくれ、蒼矢。俺は、お前にこんなことをしたいわけじゃない。…して欲しくもない」
動きを止める彼へ、烈はまっすぐな眼差しを送る。
みずからの言葉に冷やされていくように、硬さを帯びていた中心は落ち着きを取り戻していく。
「確かに…俺の体は正直だ。お前の身体が欲しい。抱きたいとも思う。…でも、心では"お前"っていう人間を理解ってるつもりだ。…だから、手は出したくない。少なくとも、まだその時じゃない…と思ってる」
「……」
「…どうしちまったんだよ、蒼矢…お前は潔癖な奴だ。こんなこと、お前は一番したくないはずだ。お前は俺に、こんなこと求めてないはずだ。…そうだろ?」
烈は真っ直ぐな眼差しを送りながら、自分へ被さる幼馴染へ問いかける。
しかし蒼矢は、その内の思いが込められた視線を無感動な面差しで見返すだけだった。上気していた頬は一気に血の気が失せ、誘い文句を口ずさんでいた唇は、感情を殺したように真一文字に結ばれる。
ふたりの間に、長い沈黙が流れた。
「――残念だ、ロードナイト」
やがて蒼矢の口から、ぼそりと声が漏れる。
その"違和感"に烈が目を見開いた瞬間、首に空気を閉ざす圧がかかる。
「…っく…!」
「…俺の気持ちを解ってくれてるなら、俺のために大人しく死んでくれるか?」
蒼矢の両手が、烈の太い首を上から圧迫するように絞めつけていく。
「……そ…、や…っ…!」
「私の意に沿わないのなら、お前は必要無い。…消えろ」
烈の白んでいく頭の中に、モザイクのように声色を変える蒼矢の台詞が木霊し、薄くなっていく。
「……っ!」
…消えてたまるか…っ!!
気を失う寸前、烈は渾身の力を振り絞って蒼矢の胸部まで脚をあげ、彼の身体を引き剥がした。蹴り飛ばすことはせず、足の裏で一旦彼の上体を持ち上げ、手が離れたところで横へ振り落とす。
床へ落とされ、尻もちをついた蒼矢がやはり無表情で自分を見下ろしてくる気配を感じたが、烈は身体に力を入れられず、畳の上で仰向けになったまま息を弾ませていた。
「…っ…、……」
咳き込み、荒く呼吸を繰り返す彼の耳に、玄関の呼び鈴が鳴り響く音が届く。
「……」
繰り返される呼び鈴を頭の隅に聞きながら、少しずつ呼吸はか細くなり、意識が遠のいていった。
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