ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-

独楽 悠

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本編

第10話_妖しの訪ね人-1

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その時分、葉月ハヅキのいる髙城タカシロ家から程ない距離にある花房はなぶさ酒店では、二十歳になったばかりの若い店主・花房 烈ハナブサ レツが店仕舞いを終え、今日の売り上げの勘定に電卓を叩いていた。
彼は、母と二人で切り盛りしているこの小さな酒屋の三代目で、いつもは主に商品の仕入れと取引先への納品・御用聞きと、専ら外仕事だが、今日は母親が夕方から町内会の会合に出席する用があり、配達から早くに戻って店へ入り、一人で閉店処理という名の留守居を任されていた。

「……よし、過不足無し!」

電卓をコイントレーの上に放り、本日の売上金を茶箪笥の金庫へしまうと、頭に結んでいた手拭いをほどいて居間の畳に大の字になった。

「あぁ…腹減った。母ちゃん早く帰って来ねぇかなー…」

しょぼくれた表情で母もとい夕飯を待つ彼のズボンのポケットから、着信音が鳴る。

「…葉月さん? お疲れっす。昨日は『転異空間あっち』行けなくてすんませんでした」
『ううん、烈も仕事毎日お疲れ様』
「うっす。そっちも無事終わったみたいで良かった」

烈も葉月たちと同じく『ガイアセイバー』で、アキラの従兄であり、蒼矢ソウヤと小学校に上がる前からの幼馴染でもある。3人がセイバーとなって『転異空間』へ行ったことは、彼ら同様に所持している、ガイアセイバーへの変身と『転異空間』を創造する力を持つペンダント――『起動装置』から把握済で、配達中にて合流出来なかったものの、参戦した3人のパーソナルカラーが明滅する鉱石を見、動向を案じてはいた。

『ごめんね、夜遅くに。まだ仕事中かな?』
「いや、丁度今終わったとこっす! 大丈夫ですよ、何かありました?」

寝転がりながら通話を続けていると、少し間を置いた後、やや重苦しいトーンの葉月の声が聞こえてきた。

『今…蒼矢、家に来てたりしないかな?』
「…は? …いや、来てないっすよ」
『…そっか…、そうだよね…』

あまり予想してなかった内容の問いかけに、少し面食らった烈が途切れとぎれにそう答えると、葉月は電話口でも判るくらい落胆した。

「…どうしたんすか?」
『実はね――』

そう葉月が言いかけた時、烈の頭の上でインターホンが鳴る。

「! ごめん葉月さん、来客みたい。今日母ちゃん出掛けてて、俺今家にひとりで。ちょっと出てきていいすか?」
『あっ…うん、わかった。大丈夫』
「すんません、すぐ済ませるんで! 保留にしときますねっ」

スマホを保留にしてこたつテーブルに置き、家の玄関へ向かう。
そして、引き戸を開けた向こうに立っていた人物に、目を丸くした。

「……蒼矢…!?」
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