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本編
第12話_封じられた眼-9
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酒屋の仕事を休ませてもらった烈は、午前中から葉月・苡月兄弟が入院する病院へ見舞いに行っていた。
念のための検査入院である苡月とは、親族付き添いなしでの面会が叶い、病棟の団らんコーナーでふたりきりで会うことができた。
同じ病院にいるからか、苡月は兄の状況を漠然と把握していて、精神的にやや不安定になってしまっていた。
烈は慰め、励ます一方で、昨日起こったこと――とりわけ苡月自身が被った覚えのある苦痛・恐怖をはじめ、なんらかの違和感がなかったかなどを聞き出し、彼の身に起きた[異界]絡みの異変の有無を探ろうとした。
しかし、自室に入った直後から記憶がないということ以外は覚えていない、またその前後で身体にも特に変わりはない、という回答しか得られなかった。
それ以上の情報を引き出せるとしたら、少なくとも苡月の精神状態が現状より落ち着かなければならないだろうと結論し、精密検査の結果がでたら伝えてもらえるよう、最低限の約束をとりつけた。
ICUから出たばかりの葉月とはもちろん面会できず、そうして烈はなんの収穫もないまま、早々と病院をあとにしたのだった。
烈は空振りに終わったことを悔やんだものの、セイバーズのグループチャットにありのままを伝え、気持ちを切り替えて病院帰りのその足で、髙城邸へ向かう。
烈の立場からすれば、自分のあずかり知らぬところで[侵略者]と交戦・負傷し、自宅で療養している蒼矢も気がかりだった。
[異界のもの]勢力を一旦は退けたものの、[侵略者]2体同時出現という初事例の苦境を味わったセイバーたちは、今までに類を見ない危惧を抱えていた。
今回出現した[侵略者]のどちらも仕留められておらず、双方近日中の再戦が確定していながらも、いつまたどのような形で接触してくるか、予測がたて難くなっていた。
そんな、セイバー全員下手な動きができない状況で、明確な標的かつ満足に動けない蒼矢を独りにさせていくことは、かなり大きなリスクだと言えた。
蒼矢から"毎日会いに来て"と請われた体にはなっているが、彼の許しさえあれば言われなくても毎日様子見に通うつもりだったし、本音では常に傍にいたいと思っていた。
念のための検査入院である苡月とは、親族付き添いなしでの面会が叶い、病棟の団らんコーナーでふたりきりで会うことができた。
同じ病院にいるからか、苡月は兄の状況を漠然と把握していて、精神的にやや不安定になってしまっていた。
烈は慰め、励ます一方で、昨日起こったこと――とりわけ苡月自身が被った覚えのある苦痛・恐怖をはじめ、なんらかの違和感がなかったかなどを聞き出し、彼の身に起きた[異界]絡みの異変の有無を探ろうとした。
しかし、自室に入った直後から記憶がないということ以外は覚えていない、またその前後で身体にも特に変わりはない、という回答しか得られなかった。
それ以上の情報を引き出せるとしたら、少なくとも苡月の精神状態が現状より落ち着かなければならないだろうと結論し、精密検査の結果がでたら伝えてもらえるよう、最低限の約束をとりつけた。
ICUから出たばかりの葉月とはもちろん面会できず、そうして烈はなんの収穫もないまま、早々と病院をあとにしたのだった。
烈は空振りに終わったことを悔やんだものの、セイバーズのグループチャットにありのままを伝え、気持ちを切り替えて病院帰りのその足で、髙城邸へ向かう。
烈の立場からすれば、自分のあずかり知らぬところで[侵略者]と交戦・負傷し、自宅で療養している蒼矢も気がかりだった。
[異界のもの]勢力を一旦は退けたものの、[侵略者]2体同時出現という初事例の苦境を味わったセイバーたちは、今までに類を見ない危惧を抱えていた。
今回出現した[侵略者]のどちらも仕留められておらず、双方近日中の再戦が確定していながらも、いつまたどのような形で接触してくるか、予測がたて難くなっていた。
そんな、セイバー全員下手な動きができない状況で、明確な標的かつ満足に動けない蒼矢を独りにさせていくことは、かなり大きなリスクだと言えた。
蒼矢から"毎日会いに来て"と請われた体にはなっているが、彼の許しさえあれば言われなくても毎日様子見に通うつもりだったし、本音では常に傍にいたいと思っていた。
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