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本編
第10話_看過-5
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烈はうつむきながら、ぽつりと懺悔する。
「…悔しいよ。俺もそっちに行けてたら、お前をそんな風に傷つけることはなかったんじゃねぇかって」
「…お前のせいじゃない。あの時残された選択肢の中で、最善を尽くしたまでだよ」
「うん、わかってる…さっきも言った通り、単なる俺のわがまま。今日ほど体ふたつあればいいのにって思ったことはなかった。…"誰か"を守るって、ほんと難しいな…」
深く息をつきながらそう言葉を吐露する烈を、蒼矢は心配そうに見あげていた。
「お前のこと大切に想ってるのに、全然うまくできなくて…不甲斐無くてごめんな」
「! そんなことは…」
「うん、いつまでも後悔してたってなんの糧にもならねぇから、そろそろやめとく。影斗にも言われたからさ、無いものねだりしたって仕方ねぇって。…切り替えて、引き続き精進するわ!」
蒼矢を抱きしめたい欲望を捨て去った烈は、見守る彼の前でそう言いきり、自分の頬を両掌で思い切り叩く。
小気味のいい音をさせ、自分自身へ喝を入れると、顔をあげた烈は晴れやかな顔で笑ってみせた。
「今日最後にお前の顔見れてよかった。だいぶ回復した!」
「……」
「じゃ、今日こっちであったことはまたすぐ連絡するから。具合悪いとこ、起こしちまってごめんな。引き続きゆっくり寝ててくれ」
そう言い、ひとり切りあげてリビングを去ろうとした烈だったが、正面にいた蒼矢に阻まれる。
「? 蒼矢…?」
「誰が帰っていいって言った?」
つい今まで怪訝な面持ちを浮かべていた蒼矢の表情はがらりと変わっていて、きょとんと視線を落とす烈を眉を寄せて睨んでいた。
「…お前ひとりでなにかが自己完結したみたいだけど、俺にはなにも伝わってないし、俺の気持ちはまだなにも満たされてないんだけど」
「!! あ…」
機嫌の悪そうな低い声色から指摘され、今しがた反省したばかりの"独りよがり"を早速再びやってのけてしまったことに気付いた烈は、途端に青くなる。
「ひとの顔見て自分だけ満足するな、ずるい」
今まで静かに聞き役に徹していたところで、突如怒り顔をあらわにした蒼矢は、烈に迫り両手で肩を掴む。
そのまま押され、後方のL字ソファへと後ずさりさせられていく。
なんとなく意図が読めた烈は、慌てて蒼矢を押し戻そうとする。
「っ蒼矢、だめだって…! 怪我してるのに!」
「そんなのどうでもいい」
「俺にはどうでもよくないんだってば…って、うゎはっ…」
蒼矢の腕力は烈の想定を大きく超えていて、身体の支えが利かなくなったふたりは、一緒にソファへと倒れ込んでいく。
「…悔しいよ。俺もそっちに行けてたら、お前をそんな風に傷つけることはなかったんじゃねぇかって」
「…お前のせいじゃない。あの時残された選択肢の中で、最善を尽くしたまでだよ」
「うん、わかってる…さっきも言った通り、単なる俺のわがまま。今日ほど体ふたつあればいいのにって思ったことはなかった。…"誰か"を守るって、ほんと難しいな…」
深く息をつきながらそう言葉を吐露する烈を、蒼矢は心配そうに見あげていた。
「お前のこと大切に想ってるのに、全然うまくできなくて…不甲斐無くてごめんな」
「! そんなことは…」
「うん、いつまでも後悔してたってなんの糧にもならねぇから、そろそろやめとく。影斗にも言われたからさ、無いものねだりしたって仕方ねぇって。…切り替えて、引き続き精進するわ!」
蒼矢を抱きしめたい欲望を捨て去った烈は、見守る彼の前でそう言いきり、自分の頬を両掌で思い切り叩く。
小気味のいい音をさせ、自分自身へ喝を入れると、顔をあげた烈は晴れやかな顔で笑ってみせた。
「今日最後にお前の顔見れてよかった。だいぶ回復した!」
「……」
「じゃ、今日こっちであったことはまたすぐ連絡するから。具合悪いとこ、起こしちまってごめんな。引き続きゆっくり寝ててくれ」
そう言い、ひとり切りあげてリビングを去ろうとした烈だったが、正面にいた蒼矢に阻まれる。
「? 蒼矢…?」
「誰が帰っていいって言った?」
つい今まで怪訝な面持ちを浮かべていた蒼矢の表情はがらりと変わっていて、きょとんと視線を落とす烈を眉を寄せて睨んでいた。
「…お前ひとりでなにかが自己完結したみたいだけど、俺にはなにも伝わってないし、俺の気持ちはまだなにも満たされてないんだけど」
「!! あ…」
機嫌の悪そうな低い声色から指摘され、今しがた反省したばかりの"独りよがり"を早速再びやってのけてしまったことに気付いた烈は、途端に青くなる。
「ひとの顔見て自分だけ満足するな、ずるい」
今まで静かに聞き役に徹していたところで、突如怒り顔をあらわにした蒼矢は、烈に迫り両手で肩を掴む。
そのまま押され、後方のL字ソファへと後ずさりさせられていく。
なんとなく意図が読めた烈は、慌てて蒼矢を押し戻そうとする。
「っ蒼矢、だめだって…! 怪我してるのに!」
「そんなのどうでもいい」
「俺にはどうでもよくないんだってば…って、うゎはっ…」
蒼矢の腕力は烈の想定を大きく超えていて、身体の支えが利かなくなったふたりは、一緒にソファへと倒れ込んでいく。
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