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本編
第10話_看過-2
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当時別クラスだった蒼矢は、烈が会長になると同時期に担任教員から請われ、同じく児童会役員になった。
彼は、集会を重ねるごとに露呈していく烈の的外れな言動を受け、烈が司会する役員会や委員会の日程が近づくと、当日の議題について事前用意がなにもなくても読めば進行出来るような議題のレジュメを、前もって作って渡すようになった。
そんなお膳立てが何度かなされる内、烈も少しずつ自分の役目を自覚していき、蒼矢のレジュメを見様見真似で自作するようになった。
それほど時間をかけずに蒼矢製のレジュメは必要なくなり、真剣に取り組む様子を教員から見直されるようにもなったが、彼の助力がなければ、烈は最後まで迷走のトンネルを抜けだすことは出来なかっただろう。
校内の恒例行事などで、例年の段取りから自分なりに変えたいと思ったこと、やりたいことを提案しようと思った時も、一旦蒼矢に打ち明けて相談・検討し、実際に役員会や教員へ持ち込む時に彼にも帯同を請い、横から注釈や助言を入れてもらった。
烈のアイデアはどれもおおむね好感をもって受けいれられ、任期中の行事は例年に増して盛りあがり、多くの児童にいい思い出として残すことができた。
しかし、説明下手な烈が持ち込んだ提案が他の児童会役員や教員陣へすんなり受け入れられたのは、後ろ盾となっていた蒼矢の信頼性の高さがあってのことだったのだろうと、年月が経つにつれて気付かされていった。
みずからも最難関と名高い中高一貫国立高への外部生受験を控えながら、地元の工業高校への都立入試勉強に悪戦苦闘する烈を毎晩訪ね、試験対策を叩き込んでくれたのも蒼矢だった。
結果的に叶わぬ道にはなったが、バイクがとにかく好きだけれど展望はない、というふわっとした現状しかない烈へ、高校卒業後の進学先に機械整備系の専門学校を勧めてくれたのも蒼矢だった。
『セイバー』になった時でさえ、蒼矢が先に『仲間』としていてくれたことが、烈にとってどれだけ心強かったかわからない。
烈の人生の転機に蒼矢は必ず傍にいて、静かに導いてくれていた。
そういった過去をふり返ると、蒼矢が自分にとってかけがえのない存在だと改めて思い知らされた。
そして同時に、自分は常にはるか先を歩く彼の後ろ姿しか見れていないんじゃないか、彼と同じ場所に立っていても、同じものを見れていないんじゃないか…そんな疑問が、烈の中で少しずつ大きくなっていった。
考えれば考えるほど、烈は自尊心が押しつぶされていくように感じた。
自分は本当に、彼の"恋人"でいていいのだろうか。
自分に自信がないが故の、言いようもない不安が募っていった。
彼は、集会を重ねるごとに露呈していく烈の的外れな言動を受け、烈が司会する役員会や委員会の日程が近づくと、当日の議題について事前用意がなにもなくても読めば進行出来るような議題のレジュメを、前もって作って渡すようになった。
そんなお膳立てが何度かなされる内、烈も少しずつ自分の役目を自覚していき、蒼矢のレジュメを見様見真似で自作するようになった。
それほど時間をかけずに蒼矢製のレジュメは必要なくなり、真剣に取り組む様子を教員から見直されるようにもなったが、彼の助力がなければ、烈は最後まで迷走のトンネルを抜けだすことは出来なかっただろう。
校内の恒例行事などで、例年の段取りから自分なりに変えたいと思ったこと、やりたいことを提案しようと思った時も、一旦蒼矢に打ち明けて相談・検討し、実際に役員会や教員へ持ち込む時に彼にも帯同を請い、横から注釈や助言を入れてもらった。
烈のアイデアはどれもおおむね好感をもって受けいれられ、任期中の行事は例年に増して盛りあがり、多くの児童にいい思い出として残すことができた。
しかし、説明下手な烈が持ち込んだ提案が他の児童会役員や教員陣へすんなり受け入れられたのは、後ろ盾となっていた蒼矢の信頼性の高さがあってのことだったのだろうと、年月が経つにつれて気付かされていった。
みずからも最難関と名高い中高一貫国立高への外部生受験を控えながら、地元の工業高校への都立入試勉強に悪戦苦闘する烈を毎晩訪ね、試験対策を叩き込んでくれたのも蒼矢だった。
結果的に叶わぬ道にはなったが、バイクがとにかく好きだけれど展望はない、というふわっとした現状しかない烈へ、高校卒業後の進学先に機械整備系の専門学校を勧めてくれたのも蒼矢だった。
『セイバー』になった時でさえ、蒼矢が先に『仲間』としていてくれたことが、烈にとってどれだけ心強かったかわからない。
烈の人生の転機に蒼矢は必ず傍にいて、静かに導いてくれていた。
そういった過去をふり返ると、蒼矢が自分にとってかけがえのない存在だと改めて思い知らされた。
そして同時に、自分は常にはるか先を歩く彼の後ろ姿しか見れていないんじゃないか、彼と同じ場所に立っていても、同じものを見れていないんじゃないか…そんな疑問が、烈の中で少しずつ大きくなっていった。
考えれば考えるほど、烈は自尊心が押しつぶされていくように感じた。
自分は本当に、彼の"恋人"でいていいのだろうか。
自分に自信がないが故の、言いようもない不安が募っていった。
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