ガイアセイバーズ9 -萌える若葉を摘む獣-

独楽 悠

文字の大きさ
上 下
86 / 109
本編

第9話_惨劇のあと-4

しおりを挟む
レツの話を黙って聞いていた影斗エイトは、深いため息を漏らした。

「…考えようによっちゃあ、知らねぇ奴に発見されて、病院送りにして貰えてよかったかもな」
「そう思う。俺ひとりじゃ、怪我まみれの葉月ハヅキさんをどうすることもできねぇもん。病院に連れてったところで、どんな理由つけても苦しくなっちまうだろうし…」
「それに、面識ある奴が第一発見者になってたら、まぁまぁ面倒なことになってたかもしれねぇしな」
「…うん…、間違いなく、真っ先に疑われるよなぁ…」

影斗の考察に、実際には"第一発見者"である烈も、対応にキャパオーバーを想像し同意する。

「まぁ葉月はあれでタフだから、命さえ繋がってりゃなんとかなるだろうよ」
「葉月さんの回復力に期待するしかねぇな…」
苡月イツキの方は本当に無事なんだろうな? 『転送』前に見るだけ見たんだろ?」
「! うん…」

影斗から問われ、烈はくすのき神社へたどり着いた当初を思い出し、一度頷きながらもすぐに首を横にふり直した。

「…いや…悪い、たぶんとしか言いようがねぇ。病院からは特に話なかったみたいだから、怪我してねぇことは確かだけど、それ以外・・・・は…なにも」
「そっか。アキラは?」
「一応落ち着かせはした。楠瀬家ここでなにがあったのか聞き出そうかと思ったんだけど、戻ってきた神社でも病院でもパニックになるし、泣くし…それどころじゃなくなっちまった」

烈は一連のトラブルに加え、陽のなだめすかしにもかなり神経をすり減らされたようだった。
しかし疲れた息を吐き出しつつも、憂うような面持ちでテーブルを見つめた。

「…こうなったのは自分のせいだって思っちまってるな、あの様子は…」
つき兄弟といたところに単独ピンで接触しちまったんだから、どうあっても被害不可避だったろ」
「そうだな…状況は俺もいまいちわかってねぇけど、[侵略者]と[異形]に同時に当たっちまってたとしたら、きっと対処しきれねぇだろうな」
「葉月をったのが[侵略者]なのか[異形]なのかはっきりしねぇが、面会できるようになったら、苡月の経過も含めて全員に聞いて回りゃいい」
「…うん」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...