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本編
第9話_惨劇のあと-2
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予想だにしていなかった『現実世界』の状況に、陽はぽかんと眼前の惨景を見やっていたが、我に返ったか次第に顔を蒼白にし、全身を震わせ始める。
「…!? …そ…そんな…っ、…月兄…っ…」
「! …陽…!」
「嘘だろ…!? こんなことになるなんてっ…、嘘だ!!」
現実を受けとめられずに動転し、血で染まる玉砂利へ駆けていこうとする陽を、烈はすかさず掴まえて引き戻す。
「陽!! 落ち着け!!」
「嫌だっ…嫌だあぁ!! 月兄ぃっ!!!」
羽交い絞めにされながらももがき、喚き、涙を零す陽を見、警察官たちも少し戸惑う様子を見せる。
ついで言いあぐねるように表情を曇らせたあと、烈へ再び口を開く。
「…事後の目撃者しかいなくて、なにが起きていたかまだはっきりしてないんだけど…事件というよりは事故だろうと推測してる。救急隊からの第一報では、負傷してはいたけど人為的なものには見えなくて、おそらく"動物"に襲われたんだろうと」
「…! 動物…」
「さしあたって、この近辺で中型犬以上の犬を飼ってる家を聴取してみるつもりだけど、野生動物の線も高い。このあたりは雑木林が多いからね」
「くれぐれも、ここだけの話にしておいて。あと、しばらくは暮れてから不用意に出歩かないようにね」
「はい、…わかりました」
取り乱した陽への同情からか、警察官たちはややつっこんだ部分まで話して聞かせた。
烈は小さく頷いてから、ついで尋ねる。
「…あのっ、苡月は…楠瀬さんの弟は、無事なんすか…? 一緒に住んでたはずなんすけど」
「! ああ…弟さんも近くに倒れていてね、一緒に運ばれていった。でも目立った怪我はしてなかったって聞いてるよ」
「お兄さんが体張って守ったのかもしれないね…」
「…そっすか」
「運ばれた病院はあとで親族宛に連絡がいくと思うから、知りたい場合はそちらから聞いてくれる? 一応守秘義務があるから」
「…はい」
最後はそう形式じみた文句で告げ、警察官たちは再び現場検証へと戻っていく。
嗚咽する陽を抱えながら、烈は彼らの後ろ姿へか細く返事を返した。
「…!? …そ…そんな…っ、…月兄…っ…」
「! …陽…!」
「嘘だろ…!? こんなことになるなんてっ…、嘘だ!!」
現実を受けとめられずに動転し、血で染まる玉砂利へ駆けていこうとする陽を、烈はすかさず掴まえて引き戻す。
「陽!! 落ち着け!!」
「嫌だっ…嫌だあぁ!! 月兄ぃっ!!!」
羽交い絞めにされながらももがき、喚き、涙を零す陽を見、警察官たちも少し戸惑う様子を見せる。
ついで言いあぐねるように表情を曇らせたあと、烈へ再び口を開く。
「…事後の目撃者しかいなくて、なにが起きていたかまだはっきりしてないんだけど…事件というよりは事故だろうと推測してる。救急隊からの第一報では、負傷してはいたけど人為的なものには見えなくて、おそらく"動物"に襲われたんだろうと」
「…! 動物…」
「さしあたって、この近辺で中型犬以上の犬を飼ってる家を聴取してみるつもりだけど、野生動物の線も高い。このあたりは雑木林が多いからね」
「くれぐれも、ここだけの話にしておいて。あと、しばらくは暮れてから不用意に出歩かないようにね」
「はい、…わかりました」
取り乱した陽への同情からか、警察官たちはややつっこんだ部分まで話して聞かせた。
烈は小さく頷いてから、ついで尋ねる。
「…あのっ、苡月は…楠瀬さんの弟は、無事なんすか…? 一緒に住んでたはずなんすけど」
「! ああ…弟さんも近くに倒れていてね、一緒に運ばれていった。でも目立った怪我はしてなかったって聞いてるよ」
「お兄さんが体張って守ったのかもしれないね…」
「…そっすか」
「運ばれた病院はあとで親族宛に連絡がいくと思うから、知りたい場合はそちらから聞いてくれる? 一応守秘義務があるから」
「…はい」
最後はそう形式じみた文句で告げ、警察官たちは再び現場検証へと戻っていく。
嗚咽する陽を抱えながら、烈は彼らの後ろ姿へか細く返事を返した。
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