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本編
第8話_二点同時戦闘-13
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水域から脱した蒼矢は、手近な氷塊に降りて影斗を横たえた。
「オニキス!! …オニキス、しっかり…!!」
頬を叩くと、酸素を失って一時失神していたオニキスがふいに息をふき返し、大量の水を吐き出す。
大きく咳き込みながら吐き続け、面持ちを苦悶にゆがめたまま荒い呼吸を繰り返す。
一応の生存を確認したアズライトは、わずかに安堵し息をつく。
が、ついで背後に殺気を感じ、再びオニキスを抱えて飛びすさる。
瞬間後、アズライトが膝をついていた氷の地表が割れ、氷片が四方へ飛び散っていく。
陥没した中心には青い三叉槍が深く突き刺さっていて、ぐらぐらと揺れて抜けると、水域からあがってきた[浬]の手中に戻る。
「口程にもない奴よ。…まあいい、動ける『守護者』の数は減らしておくに越したことはない」
四肢の筋肉を更に張る[浬]は得物を構え、足裏で地を削りながらアズライトへ迫る。
「我の狙いははなから汝のみ。千載一遇のこの機に、必ずその首を断つ」
いまだ意識の混濁するオニキスを氷塊の隙間に寝かせ、アズライトは『凍氷』に切り替えて防御を固め、『氷柱』を手にみずからも[侵略者]へ突っ込んでいく。
[浬]は自在に操る長髪を体躯の周りにうねらせ、得物を繰り出しつつアズライトの拘束を狙う。
アズライトは身体に絡みつこうとする髪を氷気で凍らせ、『氷柱』で応戦し続ける。
またしばらく一進一退の攻防が続けられるが、次第にアズライトの『凍氷』の威力が弱まっていく。
オニキスが微細な変化に目ざとく気付き、攻撃役を替わった時点でかなり疲弊していたが、そこから先も戦闘補助しながら『索敵』を試み続け、水中にのまれたオニキスを救い、そして今また[侵略者]への単独対峙と、体力と属性能力を酷使し過ぎたアズライトは、とうに限界を超えてしまっていた。
「…っく…!」
巨体から繰り出される打撃に耐えられなくなり、アズライトは得物が合わさる度に弾かれ、後退していく。
[浬]はのけぞるアズライトの脚を払い、三叉槍を大きく薙ぐ。
「あはっ…!」
体勢を崩したアズライトはふっ飛ばされ、後方の氷塊に打ちつけられた。
「オニキス!! …オニキス、しっかり…!!」
頬を叩くと、酸素を失って一時失神していたオニキスがふいに息をふき返し、大量の水を吐き出す。
大きく咳き込みながら吐き続け、面持ちを苦悶にゆがめたまま荒い呼吸を繰り返す。
一応の生存を確認したアズライトは、わずかに安堵し息をつく。
が、ついで背後に殺気を感じ、再びオニキスを抱えて飛びすさる。
瞬間後、アズライトが膝をついていた氷の地表が割れ、氷片が四方へ飛び散っていく。
陥没した中心には青い三叉槍が深く突き刺さっていて、ぐらぐらと揺れて抜けると、水域からあがってきた[浬]の手中に戻る。
「口程にもない奴よ。…まあいい、動ける『守護者』の数は減らしておくに越したことはない」
四肢の筋肉を更に張る[浬]は得物を構え、足裏で地を削りながらアズライトへ迫る。
「我の狙いははなから汝のみ。千載一遇のこの機に、必ずその首を断つ」
いまだ意識の混濁するオニキスを氷塊の隙間に寝かせ、アズライトは『凍氷』に切り替えて防御を固め、『氷柱』を手にみずからも[侵略者]へ突っ込んでいく。
[浬]は自在に操る長髪を体躯の周りにうねらせ、得物を繰り出しつつアズライトの拘束を狙う。
アズライトは身体に絡みつこうとする髪を氷気で凍らせ、『氷柱』で応戦し続ける。
またしばらく一進一退の攻防が続けられるが、次第にアズライトの『凍氷』の威力が弱まっていく。
オニキスが微細な変化に目ざとく気付き、攻撃役を替わった時点でかなり疲弊していたが、そこから先も戦闘補助しながら『索敵』を試み続け、水中にのまれたオニキスを救い、そして今また[侵略者]への単独対峙と、体力と属性能力を酷使し過ぎたアズライトは、とうに限界を超えてしまっていた。
「…っく…!」
巨体から繰り出される打撃に耐えられなくなり、アズライトは得物が合わさる度に弾かれ、後退していく。
[浬]はのけぞるアズライトの脚を払い、三叉槍を大きく薙ぐ。
「あはっ…!」
体勢を崩したアズライトはふっ飛ばされ、後方の氷塊に打ちつけられた。
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