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本編
第8話_二点同時戦闘-10
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しばらくお互いに譲らぬ攻防を続けていると、『転異空間』内に新たな気配が現れる。
急接近する気配――影斗は、双方の間へ割って入って一旦引き離し、蒼矢を後退させる。
「影斗先輩…!」
「お待たせ。どんな塩梅だ?」
「すみません…決め手がなくて、始まってから状況はなにも変わりありません」
[侵略者]へ睨みをきかせながら現状把握するオニキスへ、アズライトは手短に答える。
「いや、ここまで単騎で持ちこたえてただけでも御の字だ」
そう労いつつ、オニキスはちらりとアズライトへ視線をやった。
「…」
戦闘スーツが破れ、赤くなった肌が所々露出しているさまにも目がいったが、オニキスはそれ以上に、アズライトの上半身に注視する。
アズライトは、戦闘から離脱してもいまだ肩を小刻みに上下させ、浅い呼吸を繰り返していた。
防御を固め氷気を纏っているため判別しにくいが、肌の血色が鈍くなっているように見え、唇も薄桃から淡い紫に変色していた。
オニキスは、アズライトが後発属性能力の使い過ぎでオーバーワークしかけていると判断する。
「こっから先は俺がやる。お前はサポートに回れ。『凍氷』が望ましいが『水』でもいい」
「! でしたら」
脳内からやや鋭く指示を出すオニキスだったが、アズライトはすかさず口を挟む。
「弱点を探りながら援護します」
「は…? んなことできんのか?」
「おそらく可能です。邪魔にならないよう立ち回りますので、やらせて下さい」
アズライトの進言を聞きながら、オニキスは先日の臨海施設での一戦を思い出す。
…そういや確か、[侵略者]に捕まりながら装具なしで『索敵』してたとか言ってたな…
…戦闘こなすごとにアップデートでもしてんのか? OSかよこいつ…
『アズライト』に秘められているポテンシャルに興味をそそられる一方で若干引いてしまったオニキスだったが、一旦心を無にして要求を呑むことにする。
「…わかった。早く終わるに越したことはねぇ、任せるわ。…無理だけはすんなよ、黙まりしたらあとでしばく」
「了解です」
臨戦態勢に入るセイバーたちを、[浬]は恨めしげに見やる。
「毎度徒党を組みおって、品位の欠片もない奴らよ。…『下賤』がひとつ増えたところで、我にとってどうということはない。まとめて始末してくれるわ」
「半魚人みてぇな奴が殿様口調たぁ失笑だ。悪いが俺たちはなにをおいても"使命"第一なんでな、"品位"なんてお前ごとぶっ潰してやるよ」
装具『暗虚』を呼び出したオニキスは、アズライトを後衛に配して[侵略者]へ迫り、闇色の鉤爪をふり被った。
急接近する気配――影斗は、双方の間へ割って入って一旦引き離し、蒼矢を後退させる。
「影斗先輩…!」
「お待たせ。どんな塩梅だ?」
「すみません…決め手がなくて、始まってから状況はなにも変わりありません」
[侵略者]へ睨みをきかせながら現状把握するオニキスへ、アズライトは手短に答える。
「いや、ここまで単騎で持ちこたえてただけでも御の字だ」
そう労いつつ、オニキスはちらりとアズライトへ視線をやった。
「…」
戦闘スーツが破れ、赤くなった肌が所々露出しているさまにも目がいったが、オニキスはそれ以上に、アズライトの上半身に注視する。
アズライトは、戦闘から離脱してもいまだ肩を小刻みに上下させ、浅い呼吸を繰り返していた。
防御を固め氷気を纏っているため判別しにくいが、肌の血色が鈍くなっているように見え、唇も薄桃から淡い紫に変色していた。
オニキスは、アズライトが後発属性能力の使い過ぎでオーバーワークしかけていると判断する。
「こっから先は俺がやる。お前はサポートに回れ。『凍氷』が望ましいが『水』でもいい」
「! でしたら」
脳内からやや鋭く指示を出すオニキスだったが、アズライトはすかさず口を挟む。
「弱点を探りながら援護します」
「は…? んなことできんのか?」
「おそらく可能です。邪魔にならないよう立ち回りますので、やらせて下さい」
アズライトの進言を聞きながら、オニキスは先日の臨海施設での一戦を思い出す。
…そういや確か、[侵略者]に捕まりながら装具なしで『索敵』してたとか言ってたな…
…戦闘こなすごとにアップデートでもしてんのか? OSかよこいつ…
『アズライト』に秘められているポテンシャルに興味をそそられる一方で若干引いてしまったオニキスだったが、一旦心を無にして要求を呑むことにする。
「…わかった。早く終わるに越したことはねぇ、任せるわ。…無理だけはすんなよ、黙まりしたらあとでしばく」
「了解です」
臨戦態勢に入るセイバーたちを、[浬]は恨めしげに見やる。
「毎度徒党を組みおって、品位の欠片もない奴らよ。…『下賤』がひとつ増えたところで、我にとってどうということはない。まとめて始末してくれるわ」
「半魚人みてぇな奴が殿様口調たぁ失笑だ。悪いが俺たちはなにをおいても"使命"第一なんでな、"品位"なんてお前ごとぶっ潰してやるよ」
装具『暗虚』を呼び出したオニキスは、アズライトを後衛に配して[侵略者]へ迫り、闇色の鉤爪をふり被った。
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