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本編
第8話_二点同時戦闘-7
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弓の装具『陽光』は、『セイバーサルファー』にもたらされる第二の装具である。
サルファー最大の特徴が、初期装具『閃光』と後発装具『陽光』の同時運用で、ロードナイトなど他セイバーのように2種類の属性を使い分けず、覚醒から終始一貫して光属性のみ、かつ一切の防御技を持たない代わりに、同属性である2種の装具を同時に使うことができる唯一のセイバーである。
苦手属性の少ない光属性で、近接装具・遠距離装具の併用により全範囲を射程に捕えて[異界のもの]を一掃する攻撃スタイルが『サルファー』の最終形態で、役割色の強いセイバーの中でも"超攻撃役"として位置付けられている。
当然のことながら、サルファーの真骨頂は『陽光』を呼び出せるようになってからである。
それ以前のごく初期は、攻撃力が控えめな『閃光』による近接戦闘に限られる、またそのダメージが通らない場合は目くらまし援護しか出来なくなるなど制約が多く、割と不遇な立場となっている。
『サルファー』に覚醒してまだ半年を過ぎたばかりの陽は、いまだ初期装具しか駆れない不遇の時を過ごしているはずで、先代の発現状況と比較すれば、視界に映る彼は異例の早さで後発装具を手にしていることになる。
脳内が混乱をきたし、身体を固まらせる烈へ向けて、陽は構わず叫んだ。
「おい、ぼさっとしてるな!! 援護するから、体勢立て直せ!!」
「おお、おう…!」
「[侵略者]がいねぇのに、こんなところでうだうだ続けてたって不毛なだけだろ!! 意味ねぇことは早いとこ終わらせて、『現実世界』に還るぞ!!」
「…! わかった」
檄を飛ばされてロードナイトが正面へ向き直ると、光の矢が次々と頭の上から前方へ抜けていき、無数の[異形]の体躯へ穿たれていく。
サルファーはその一打一打に光属性を込め、矢継ぎ早に弓を引いて連続射撃を見舞っていく。
「……!」
ロードナイトは、矢が当たって怯む[異形]へ『紅蓮』でとどめを刺しつつも、隙を見てサルファーの挙動を観察し、先代サルファーのそれと照らし合わせていた。
ロードナイトの記憶に残る、先代が駆る『陽光』は、一度引き絞った弓から放たれる光弾数は視認できず、放射状に放たれる攻撃範囲は無限、はてはそれを頭上に配し、手で一切触れることなくオートサブウエポンとしても運用するなど、出鱈目な攻撃性能を有していた。
今のサルファーからうかがえる挙動は、引き絞る手に込めた光弾をひとつずつつがえて都度放つという、単発かつアナログな性能に留まっている。
…あれは、単に呼び出せるようになったってだけだな…
…『陽光』本来の特性を全く活かせてねぇ…使いこなせてるというには程遠いレベルだ。
…それでも、ダメージソースに遠距離が加わったのはでか過ぎるけどな…
「おらおらおら――!!」
気迫だけで正確性のかけらもないサルファーの射撃援護を受けながら、ロードナイトは残存体力をふり絞り、無限に思えていた敵勢力を少しずつ、確実に減らしていった。
サルファー最大の特徴が、初期装具『閃光』と後発装具『陽光』の同時運用で、ロードナイトなど他セイバーのように2種類の属性を使い分けず、覚醒から終始一貫して光属性のみ、かつ一切の防御技を持たない代わりに、同属性である2種の装具を同時に使うことができる唯一のセイバーである。
苦手属性の少ない光属性で、近接装具・遠距離装具の併用により全範囲を射程に捕えて[異界のもの]を一掃する攻撃スタイルが『サルファー』の最終形態で、役割色の強いセイバーの中でも"超攻撃役"として位置付けられている。
当然のことながら、サルファーの真骨頂は『陽光』を呼び出せるようになってからである。
それ以前のごく初期は、攻撃力が控えめな『閃光』による近接戦闘に限られる、またそのダメージが通らない場合は目くらまし援護しか出来なくなるなど制約が多く、割と不遇な立場となっている。
『サルファー』に覚醒してまだ半年を過ぎたばかりの陽は、いまだ初期装具しか駆れない不遇の時を過ごしているはずで、先代の発現状況と比較すれば、視界に映る彼は異例の早さで後発装具を手にしていることになる。
脳内が混乱をきたし、身体を固まらせる烈へ向けて、陽は構わず叫んだ。
「おい、ぼさっとしてるな!! 援護するから、体勢立て直せ!!」
「おお、おう…!」
「[侵略者]がいねぇのに、こんなところでうだうだ続けてたって不毛なだけだろ!! 意味ねぇことは早いとこ終わらせて、『現実世界』に還るぞ!!」
「…! わかった」
檄を飛ばされてロードナイトが正面へ向き直ると、光の矢が次々と頭の上から前方へ抜けていき、無数の[異形]の体躯へ穿たれていく。
サルファーはその一打一打に光属性を込め、矢継ぎ早に弓を引いて連続射撃を見舞っていく。
「……!」
ロードナイトは、矢が当たって怯む[異形]へ『紅蓮』でとどめを刺しつつも、隙を見てサルファーの挙動を観察し、先代サルファーのそれと照らし合わせていた。
ロードナイトの記憶に残る、先代が駆る『陽光』は、一度引き絞った弓から放たれる光弾数は視認できず、放射状に放たれる攻撃範囲は無限、はてはそれを頭上に配し、手で一切触れることなくオートサブウエポンとしても運用するなど、出鱈目な攻撃性能を有していた。
今のサルファーからうかがえる挙動は、引き絞る手に込めた光弾をひとつずつつがえて都度放つという、単発かつアナログな性能に留まっている。
…あれは、単に呼び出せるようになったってだけだな…
…『陽光』本来の特性を全く活かせてねぇ…使いこなせてるというには程遠いレベルだ。
…それでも、ダメージソースに遠距離が加わったのはでか過ぎるけどな…
「おらおらおら――!!」
気迫だけで正確性のかけらもないサルファーの射撃援護を受けながら、ロードナイトは残存体力をふり絞り、無限に思えていた敵勢力を少しずつ、確実に減らしていった。
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