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本編
第8話_二点同時戦闘-6
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引き続き[獣の異形]の群れを相手に奮戦する烈だったが、全身に負傷と疲労を重ねて動きに精彩を欠き、少しずつ防戦に追い込まれていく。
無数の爪に戦闘スーツを裂かれ、露出する肌が赤く染まっていく。
腕や脚に喰らいつく牙をふりほどく度に体勢を崩され、『紅蓮』を振るう手の動きが鈍くなっていく。
迎撃をくり出す頻度を減らしていく『敵』の動向を察した[獣の異形]は、攻撃手法を爪牙による斬撃から、体躯をそのまま叩きつける突進へと変化させていく。
「っく…!」
八方からふりかかる体当たりが重く刺さり、損傷が身体の奥深くへ蓄積していく。
「ぐうっ…!!」
『紅蓮』の刃をかいくぐった[異形]のひとつがみぞおちを狙って入り、ロードナイトは片膝を落としかける。
…まずい…、俺ひとりじゃもう身がもたねぇ…!!
…せめて、属性攻撃が効きゃあ、突破口が開けるんだけどなぁ…
そう、もはや選択肢として断たれている活路へ思考を巡らせ始めたロードナイトの頭の片隅に、「絶望」の二文字がよぎる。
…あそこで軽はずみに『炎』を使ってなければ…
…あとひとり頭数が揃ってたら…
とり戻せない後悔と、叶わない願望が脳内を少しずつ埋めていき、ロードナイトの意識が薄らいでいく。
攻撃の手を鈍らせ、闘気を失っていく赤のセイバーへ、黒い獣たちが鋭い爪牙と共に押し寄せる。
と、正面から口を開いて襲いかかった[獣の異形]が、なにかに弾かれたように突然仰向けにひるがえり、後方へ倒れ込んだ。
その周囲にいたいくつかも同じように後方へ飛ばされ、赤茶けた砂地に体躯を叩きつけられる。
倒れた[異形]は再び起きあがることがないまま蒸発して消えていき、塵になっていく同胞を見、ロードナイトを囲っていた[異形]たちが攻勢から一転して距離を取り、身構え始める。
「……?」
にわかに目の前で起きた異変と、一寸前に耳そばで響いた風切り音に、遠のきかけていたロードナイトの意識がとり戻される。
状況が飲み込めないままに再び体勢を整えると、頭の後ろから鋭い叫び声が届いた。
「ロード、踏ん張れ!! 手を休めんな!!」
耳に染みついている従弟の声色と横柄な檄に、正面へ圧を与えつつもちらりとふり返ったロードナイトは、およそ予想もたてられなかった光景に、我が目を疑った。
「……!!?」
背後にはみずからが造った球体状の灼熱の防御壁があり、その内部には、自分が先ほど投げ飛ばした少年セイバーが、全身を焼け焦がしながらも大股を広げ、堂々たる佇まいで立っていた。
片手には、彼の背丈を優に超える巨大な弓が握られ、その身を包む戦闘スーツと揃いの金色の輝きを放っていた。
ロードナイトは弓がなにかを解りつつも、現状ではあるはずがないそれが視界に映っている事実に絶句し、頭の中が真っ白になる。
……『陽光』…だと…!?
…いや待て、あれは『サルファー』の後発装具だろ…先代も、覚醒してから発現までに年単位かかったって言ってたはず…
…陽が後発発現したってこと…なのか…!? まだ『セイバー』になって一年も経ってねぇぞ…!?
…ありえるのか、そんなこと…!?
無数の爪に戦闘スーツを裂かれ、露出する肌が赤く染まっていく。
腕や脚に喰らいつく牙をふりほどく度に体勢を崩され、『紅蓮』を振るう手の動きが鈍くなっていく。
迎撃をくり出す頻度を減らしていく『敵』の動向を察した[獣の異形]は、攻撃手法を爪牙による斬撃から、体躯をそのまま叩きつける突進へと変化させていく。
「っく…!」
八方からふりかかる体当たりが重く刺さり、損傷が身体の奥深くへ蓄積していく。
「ぐうっ…!!」
『紅蓮』の刃をかいくぐった[異形]のひとつがみぞおちを狙って入り、ロードナイトは片膝を落としかける。
…まずい…、俺ひとりじゃもう身がもたねぇ…!!
…せめて、属性攻撃が効きゃあ、突破口が開けるんだけどなぁ…
そう、もはや選択肢として断たれている活路へ思考を巡らせ始めたロードナイトの頭の片隅に、「絶望」の二文字がよぎる。
…あそこで軽はずみに『炎』を使ってなければ…
…あとひとり頭数が揃ってたら…
とり戻せない後悔と、叶わない願望が脳内を少しずつ埋めていき、ロードナイトの意識が薄らいでいく。
攻撃の手を鈍らせ、闘気を失っていく赤のセイバーへ、黒い獣たちが鋭い爪牙と共に押し寄せる。
と、正面から口を開いて襲いかかった[獣の異形]が、なにかに弾かれたように突然仰向けにひるがえり、後方へ倒れ込んだ。
その周囲にいたいくつかも同じように後方へ飛ばされ、赤茶けた砂地に体躯を叩きつけられる。
倒れた[異形]は再び起きあがることがないまま蒸発して消えていき、塵になっていく同胞を見、ロードナイトを囲っていた[異形]たちが攻勢から一転して距離を取り、身構え始める。
「……?」
にわかに目の前で起きた異変と、一寸前に耳そばで響いた風切り音に、遠のきかけていたロードナイトの意識がとり戻される。
状況が飲み込めないままに再び体勢を整えると、頭の後ろから鋭い叫び声が届いた。
「ロード、踏ん張れ!! 手を休めんな!!」
耳に染みついている従弟の声色と横柄な檄に、正面へ圧を与えつつもちらりとふり返ったロードナイトは、およそ予想もたてられなかった光景に、我が目を疑った。
「……!!?」
背後にはみずからが造った球体状の灼熱の防御壁があり、その内部には、自分が先ほど投げ飛ばした少年セイバーが、全身を焼け焦がしながらも大股を広げ、堂々たる佇まいで立っていた。
片手には、彼の背丈を優に超える巨大な弓が握られ、その身を包む戦闘スーツと揃いの金色の輝きを放っていた。
ロードナイトは弓がなにかを解りつつも、現状ではあるはずがないそれが視界に映っている事実に絶句し、頭の中が真っ白になる。
……『陽光』…だと…!?
…いや待て、あれは『サルファー』の後発装具だろ…先代も、覚醒してから発現までに年単位かかったって言ってたはず…
…陽が後発発現したってこと…なのか…!? まだ『セイバー』になって一年も経ってねぇぞ…!?
…ありえるのか、そんなこと…!?
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